リクとのたたかい
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激しい力と力の衝突が繰り返される戦場。
カイとリクが真っ向から激突し、ノクスは影を縫うようにオーダの動きを封じていた。だが、敵の力は未だ衰えず、幾度も状況を覆すほどの創造と兵器の連携が襲い来る。
その中で、エルナの瞳が閃いた。
――今しかない。
「……光よ、私を包んで」
彼女は胸元に手を当て、深く息を吸う。
体内の魔力が空になりかけている中、精神は集中の極致に達していた。
「《アストラル・フォーム》――!」
エルナの身体から一筋の光が溢れ出す。
周囲の自然――風、草、石、水、そのすべてが微細な粒子となって彼女へと吸い込まれていく。
その背に、輝く六枚の羽のような魔力の残像が浮かび上がった。
「……これは……!」
リクが一瞬、手を止める。オーダの機械眼も、脅威の接近を検知する。
「この輝き……何だこれは?」
「これが、私の覚悟よ。今だけは、魔力の枯渇なんて恐れていられない……!」
大気から、生命から、空間から魔力を吸収し、エルナの体が眩いほどに光を放つ。
そして、彼女が構えたのは――
《ルミナ・エクリプス》
圧倒的な輝きが矢に凝縮されていく。更に、その背後に浮かぶ幻影の弓が無数に重なり始める。
「――ミラージュ・クラフト」
エルナの第二の必殺技が連動し、ルミナ・エクリプスの複製矢が幾重にも生まれていく。
光の矢は、いまや星雨の如く空を埋め尽くしていた。
「リク、あなたに届いて……!」
エルナが引き絞るその一矢が、戦場の運命を決めようとしていた――。
空を覆うほどの光の矢。
アストラル・フォームによって無尽に強化され、ミラージュ・クラフトで幾重にも複製されたルミナ・エクリプス。
その矢先が、リクとオーダを貫かんと煌めいた。
「――いけッ!」
エルナが叫び、弦を放つ。
刹那、時が止まったかのように感じられた。
放たれた矢は、光の彗星となって空間を裂き、轟音と共に戦場を切り裂く。
「チッ……!」
オーダの片眼が光り、無数のオーダシューターが展開され、迎撃態勢に入る。
だが――
「遅いよ、オーダ……!」
その声とともに、ノクスの影移しが発動。
矢の軌道が、影を滑るように跳ね、シューターの網をかいくぐる。
「なっ……影ごと矢を……!」
光の矢が、至近距離でオーダの胸を貫いた。
爆発的な閃光が迸り、オーダの身体が弾き飛ばされる。
「……ま、まだ……!」
その直後、リクに向けられた第二射が放たれる。
リクは、わずかに目を見開いた。
そこには、かつての仲間の瞳――揺るぎない決意が映っていた。
「……やはり、君たちは……変わらないな」
そして、矢がリクの身体を直撃。
ただし、その瞬間、リクの周囲に創造された結界が砕け散り、魔力の奔流が空に放たれた。
「ぐっ……!」
リクは膝をつき、咳き込む。
内側にあった何かが、砕けていく――そんな感覚が彼を襲っていた。
「届いた……のか……?」
カイが立ち上がり、傷だらけの身体でリクの名を叫ぶ。
「リク!!」
だがその時――
「まだ終わってなどいない!」
血まみれのオーダが、崩れかけた身体で立ち上がる。
背後から無数の黒いコラプサーが空に浮かび、再び戦場を地獄に変えようとしていた――。
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「……もう遅いよ、カイ。僕はもう、戻れない」
リクの声は冷え切っていた。
エルナの矢が打ち砕いた結界の中で、かすかに揺れた心は、すぐさま強固な信念に包み直された。
「人類は、過ちを繰り返すだけだ。何度でも、何百年でも。僕が止めなければ、未来はない」
カイの目の前で、リクの両腕に複雑な魔紋が浮かび上がる。
それは新たな創造の兆し。今や彼は、神にも等しい存在として戦場に立っていた。
「ククク……美しいぞ、リク」
傷だらけのオーダが不気味な笑みを浮かべ、震える指を天にかざす。
「これが最後の演奏だ。聞け、コラプサーども!」
空間が歪み、黒い裂け目が広がっていく。
その中から、無数の進化型コラプサーが現れ、咆哮を上げる。
通常型とは異なり、個体ごとに異なる能力と形状を持ち、あらゆる防御を貫く凶悪な兵器へと進化していた。
「行け……すべてを喰らい尽くせ!」
オーダが叫ぶと同時に、コラプサーたちは一斉にカイたちへと突撃を開始。
空は黒く染まり、地が裂ける。戦場はまさに終末の光景だった。
「くっ……!!」
ノクスが影を伸ばし迎撃に出るが、コラプサーの一体がそれを吸収し、影の中から逆襲を仕掛ける。
「私の……ミラージュ・クラフトが通じない!?」
エルナの複製矢すら、分厚い装甲に弾かれた。
カイは、剣のない拳を握りしめる。
彼の中にある《断誓のカゲヨロイ》が、再び静かに目覚めようとしていた。
「リク……本当に、俺たちを、終わらせるつもりなのか」
だが、その問いかけに、リクはただ背を向け、静かに言った。
「……人類が滅びても、悲しむものはもういない」
空を覆い尽くすコラプサー。
仲間を守りながら、彼らはこの絶望を超える術を探していく――。




