興味深い
広場に残されたのは、崩れ落ちたリクと、それを支える仲間たち。
エルナの呼びかけ、ノクスの魔力制御、カイの拳――すべてが噛み合い、リクの暴走はようやく止まった。
「……ごめん……みんな、俺……」
リクがうつむき、かすかに涙をこぼす。
だがその静寂を、重低音のような声が打ち破った。
「――感動的な友情劇だ」
空間が震えた。声は、明らかに“上”から響いた。
全員が一斉に空を見上げる。
白銀の髪。漆黒のローブ。無表情な仮面。
背後に連なる浮遊する無数の魔導球体。
ホログラムのようなもので姿が映し出されている。
「はじめまして……諸君。私は《Dr.オーダ》。世界コードの監理者にして、君たちの“存在理由”を問い直す者だ」
リクが、顔を強ばらせる。
「……お前が……コラプサーを……!」
オーダはあくまで落ち着いた口調で答える。
「コラプサーは、ただの“対創造者兵装”。君を制御するための試金石に過ぎない。むしろ私は興味がある。君が何を“創るか”ではなく、何を“壊すか”に、だ」
ノクスが即座に詠唱を開始し、エルナは弓を構える。
「こんな所に、なぜ……!」
「答えは簡単。君たちの介入によって、“予定された未来”が乱れはじめた。ならば調整しに来たまでのこと」
Dr.オーダの手元に浮かぶ球体が、鋭く振動し始める。
「さあ、ここからが本番だ。創造者の魂がどこまで“世界の論理”に抗えるか、見せてもらおう」
そして――
■ コード起動:《因果干渉式・ゼロ相律》
空が割れ、空間が歪む。
それは“法則”すらねじ曲げる、超越者の干渉だった。
-------------静まり返る制御室。-------------
Dr.オーダは、膨大な魔力演算式が交錯するモニターを睨みつけていた。
「創造者の能力は、“定義”すら拒む……だからこそ、私が“再定義”してやる必要がある」
彼の背後にそびえるのは、“封印構造体”と呼ばれる黒い球体。
その中心には、リクから取得された《魔力断片》が封じ込められていた。
かつて、リクが創造した無数のスキル……その副産物の一部が、彼の知らぬうちに回収されていたのだ。
「既に私は、“観察”を終えた。“再現”の段階も順調だ。
残るは……“融合”――そう、《創造因子》を、私自身の存在に取り込むだけだ」
彼の目が鋭く光る。
「創造とは“神の領域”だ。
この世界の“法則”を超える唯一の力。
それを制御できるのは、神か……あるいは、“私”だけだ」
オーダは傍らの小型デバイスに指を伸ばした。
映像が流れる
「リク=アルディア。君の存在そのものが、私の“神性昇華計画”に不可欠なのだ。
私は君を殺さない。
――完全に取り込み、創造の力ごと、“私自身”へと再構築する」
彼が見つめるモニターには、今も暴走と理性の間で揺れるリクの姿。
「さて、君の“限界点”は……そろそろ見せてもらおうか」
その言葉と同時に、地下に封じられていた巨大な装置――
■ 寄生式魔導機構《融合炉:オメガ・コア》が、ゆっくりと起動を始める。
“創造者の力”を吸収し、制御し、自己の存在と融合する――
それが、Dr.オーダの最終目的であった。




