2度目の突撃
焚き火の灯りの中、リクとカイは肩を並べて座っていた。
森の静寂を破ったのは、リクの提案だった。
「……カイ。
お前自身にスキルはない。だけど──“スキルを込めた武器”なら、使えるかもしれない」
「……スキルを、込める?」
カイが怪訝そうに眉をひそめた。
リクはうなずく。
「俺の創造スキルなら、魔力の中に《起動式》を組み込んだ武器を創れる。
それを、持ち主が振るうことで、スキルを一時的に発動できるんだ」
カイは目を見開いた。
「そんなことできるのか……!」
「試してみるしかない」
リクは膝に置いた手をぐっと握った。
「ただし──俺の作る《スキルウェポン》は“使い手の意志”を引き出す構造だ。
覚悟がなきゃ、動かない」
「……」
カイは短く息を吐いたあと、拳を握りしめた。
「やる。
このままじゃ、エルナも、お前も……誰も救えねぇ!」
リクは微笑んだ。
「よし──じゃあ、始めるぞ」
◆
リクは地面に素材を並べた。
黒鉄石、霊銀の欠片、竜牙樹の樹皮。
魔力を指先に集中し、スキルを発動する。
■ スキル発動:《スキル・エンチャントクラフト》
──物質にスキル構造式を織り込み、起動型アイテムを創造する。
素材が光に包まれ、リクの手の中で形を変えていく。
──カイのために。
──カイが戦えるために。
その願いを込めて、リクは創った。
やがて、リクの手の中に、一振りの剣が現れた。
全体は深い蒼黒色。
刃の中心に、淡く光る紋章が刻まれている。
「……完成だ」
リクは静かに言った。
「この剣には、重力魔法を仕込んである。
振るえば、重力場を局所的にねじ曲げられる。……カイ、お前の腕力と組み合わせれば、破壊力は相当だ」
カイは、震える手で剣を受け取った。
重くも、軽くもない。
だが、掌に馴染む確かな感触。
「これが……俺の……」
リクがにやりと笑った。
「試してみろ」
カイは頷き、立ち上がった。
剣を振りかざし、一気に振り下ろす。
──ズゥンッ!!!
地面が、局所的に凹んだ。
重力場が一点に集中し、岩を押し潰したのだ。
「……っ!」
カイは自分の手を見つめた。
確かに、今、自分の手で“スキル”が発動した。
リクが言う。
「これで、戦える」
カイは強く頷いた。
「リク……恩に着る。
絶対、エルナを取り戻そうぜ」
リクもまた、静かに拳を握った。
「──ああ。
今度は、負けない」
二人の誓いが、夜空に響いた。
そして、新たな反撃の夜明けが、静かに始まろうとしていた。




