まさかの…
戦いが終わり、森に静けさが戻った。
リク、カイ、エルナはそれぞれ、荒い息をつきながらも微笑み合っていた。
勝利の余韻と、確かな絆の手応えを感じていたからだ。
だが——
その瞬間だった。
「──遅すぎる。」
低い、氷のような声が響いた。
次の刹那、空気がねじ曲がる。
ズバァアッ!!!
リクたちの真横を、見えない“刃”が駆け抜けた。
大地が裂け、巨木がスパッと斜めに倒れた。
「っ!?」
カイが反射的に飛び退く。
リクはエルナを庇うように引き寄せた。
森の影から、漆黒のコートを纏った男が歩み出る。
片手に、異様な光を帯びた「剣のようなもの」を持っていた。
それは剣であり、同時に世界の法則を切り裂く“存在そのもの”だった。
■ 敵襲来:第六監視官
「ターゲット確認。リク=フォルナ……及び、接触者カイ、エルナ。対象に認定」
ヴィクトールは一歩ずつ近づきながら、無感情に告げた。
「コード抽出プロセス開始。
生体データ、魂データ、すべて解析後──無に帰す」
その言葉が終わるよりも速く。
──ヴィクトールが、瞬間移動した。
(──消えた!?)
リクが反応する前に、背後に気配が現れる。
「リクッ!!」
カイが叫び、間に飛び込んだ。
ガギィンッ!!!
カイの剣がヴィクトールの一撃を受け止めた。
だが、その衝撃は想像を絶していた。
カイが一瞬で吹き飛ばされ、数メートル先の木に激突する。
「ぐっ……!!」
「カイ!!」
リクが叫んだと同時に、ヴィクトールの目がリクに向けられる。
「起源級存在。破壊を優先する」
ヴィクトールが剣を振り上げる。
殺意に満ちた一撃が、容赦なくリクを断ち切ろうと迫る!
だが——
「させない!!」
エルナが叫び、両手を広げた。
彼女のスキル、《リンク・ブレイン》が再び発動する。
リクとカイの感覚を強制的に繋ぎ、互いの危機感を即座に共有させた!
リクはギリギリで回避、カイはその隙に剣を投げつけた!
ヴィクトールがそれを無表情で弾き返す。
だが、そのわずかな隙に——
「素材起動!」
リクが叫ぶ。
地面に散らばる鉄屑、倒れた木の樹皮、石。
すべてを瞬時に統合し、スキルを創り上げる。
■ スキル創造:《オーバーフォージ・ランス》
──全素材を融合・鍛造して創り出す超強化型武装。持ち手の魂波動を増幅する特性を持つ。
ゴゴゴゴゴッ!!
リクの手に、黒鉄のランスが現れた。
「エルナ、カイ!」
「わかってる!!」
三人が、意志を一つにする。
◆
リクは《オーバーフォージ・ランス》を携え、
カイは剣を構え、
エルナは意識を研ぎ澄まし、感情の流れを完全に掌握する。
だがヴィクトールは、静かに剣を構えたまま言った。
「無駄だ。力の次元が違う」




