リザと二人
次に目を醒ました時、俺はベッドの上だった。
「体中が痛い…………当然か」
今回は大分無茶をしたし、失敗もしたな……んっ?
ベッドの中に誰かがいる。
捲ってみると、
「リザ……」
目元には泣いていた痕が残っていた。
「ごめんな……」
撫でてあげようと思ったが、右腕はギブスのようなものが撒かれていた。
ならば、左手を思ったが、こっちもギブスが巻かれている。
「本当にボロボロだな」
「私の言うことを聞かなかったからだ」
リザが目を開ける。
「……起きていたのか」
「今起きた。…………なぁ、ハヤテ、怪我をしていないところはどこだ?」
なんでそんなことを聞く?
それに怪我をしていないところって言われても、体中が痛い。
唯一、無事なのは……
「頭部くらいかな」
するとリザは「そうか」と言い、ゴツン、と頭突きをした。
本気じゃない。
本当に軽くぶつかった程度だ。
「私は止めた」
でも、とても重かった。
ゴツン、とまた頭突きをする。
「本当に死んだと思った」
ゴツン。
「ハヤテは英雄じゃない」
ゴツン。
「ハヤテは自分でそう言ったのに」
ゴツン。
「もう少しで英雄どころか」
ゴツン。
「英霊になるところだった……!」
リザは泣き出す。
「リザ、本当にごめんな。だけどな……」
今度は俺がゴツンとやり返す。
「お前はまた逃げようとせずに死のうとしたよな?」
リザと出会った森でトロールと戦闘になった時、一度は負けそうになった。
リザは俺を置いて逃げることも出来たのに、一緒に死のうとした。
「ハヤテのいない世界になんて未練、ない……」
「俺はどんなに頑張ってもお前より長くは生きられない。遥かに早く死ぬ」
人間とハーフエルフの寿命には差があり過ぎる。
「それは分かってる。ハヤテがお爺さんになって、その頃までには私も耐えられるくらい強くなるように努力する。でも、今は駄目だ。今は耐えられない。今、ハヤテがいなくなったら、私は生きることを努力できない……」
俺はリザを叱るべきなのだろうか?
でも、そんな気持ちにはなれなかった。
「分かったよ。これからは、いや、これからも生きることを努力するよ。だけど、知っての通り、俺はとっても弱い。だから、これからも守ってくれよ」
「任せろ。それに私だけじゃない。アイラもいる。香たちも帰って来た」
「そうだな、みんなに守ってもらうことにするよ」
頭を撫でるとリザは笑った。
でも、すぐに暗い表情になる。
「…………ハヤテ、どうしよう。私、アイラやナターシャたちに酷いこと言った……」
リザの声が震える。
「アイラたちは私の大切な友達なんだ。でも、怒っているよな。もう口も聞いてもらえないかもしれない」
そんなことはないと思うけど……
それに怒っていないとは思う。
「謝ればいいさ。元々は俺が一人で突っ走ったのが原因だし。俺も一緒に行こうか?」
区切りとして謝るのは必要だろう。
「ううん、一人で謝る。でも、それは後にする。今は……」
リザは俺を抱き締めた。
「こうさせてくれ」
「分かったよ。俺も疲れた。もう少し寝る…………」
リザとここまで密着して寝るのは本当に久しぶりな気がする。




