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戦いの終結

 リントブルムが地上に着地した。

 俺はリザを抱え、痛む体をどうにか動かして、リントブルムから降りる。


「ハヤテ!」


 まずは香が走って来た。


「また会えた……本当に……本当に良かった……」


 香は泣いていた。

 なんだか雰囲気が変わった気がする。

 それに俺と会えたことが奇跡のように感じているようだった。


「君にも君の物語があったんだね。それを聞いてあげたいけど……」


 どうも体が限界だ。


「そうですね。落ち着いたら、私の話を聞いてください。私が目的を達成した話を……」


 香の声が震える。

 達成した、ということは香は自分の師匠を殺したのだろうか?

 

「うん、聞くよ。……あれ? パトラティアは?」


「アンペンダープの元へ向かったぞ」


 もうアンペンダープは消滅したなのになんでだ?


 俺も向かおうとしたが足が動かなかった。


「大丈夫か、ハヤテ?」


 倒れそうになった俺をローランが支えてくれた。


「ちょっと一人じゃ歩けそうにないや。二人とも肩を貸してくれないかい? アイラ、君も限界だろ? リザとここで待っていてくれ」


 俺はリザをアイラに預けた。


「構わんが、起きた時におぬしがいなかったら、またリザは怒るぞ」


「心配ないさ。……あっ、フラグじゃないからな。これ以上の問題はごめんだよ」


 アイラは「儂もじゃよ」と苦笑いを浮かべた。


 俺は香とローランの肩を借りて、パトラティアの後を追った。


 リザとリントブルムの連携攻撃『アブソリュート・フレイム・ストリーム』は周囲の物を全て焼失させていた。

 ここが砂漠で良かったと思う。

 森とかだったら、火が燃え広がって、とんでもない被害になっていただろう。


「パトラティア……って、おい!」


 パトラティアは黒い何かと対峙していた。


「ソンナ……シニタクナイ……」


 黒焦げの人型の何かがパトラティアへゆっくりと向かっていく。


「驚いた。あの獣人、まだ生きているのか。だが、もう……」


 フィールレイが言う。


「なんだ、あれは? あれがあの化け物を動かしていたのか。だが、もう魔力が、いや、命が尽きかけている。あれは助からないぞ」


 ローランが言った。

 俺もそんな気がしたが、やっぱり助からないのか。


 だったら、パトラティアはどうしてボルデックの元へ行ったんだ。


「クルシイ……アツイ……サムイ……タスケテ……オレハ……タイリクノ……ハシャニ……」


「そんなものにはなれないわ。それにもう覇者なんて時代遅れよ。この大陸には覇者なんて必要ないわ。…………元女王パトラティア五世の名の元にあなたを裁きます。土魔法『砂塵金剛刃』」


 パトラティアは砂塵で刃を作り出した。

 その刃でボルデックの首を飛ばす。


 ボルデックは斬首される着前に「ア…………」と短く声を漏らしただけで大した抵抗をしなかった。

 抵抗する力など残っていなかった。



 体が崩れ、消し炭のようになる。

 最後にはあの黒い短剣が残ったが、それも数秒後には砕け散った。


「あの方、とても優しいですね」


 香が言う。


「途中参加の私には分かりませんけど、今消えた人が今回の元凶ですよね。その元凶になった相手が少しでも苦しまないように止めを差したのだと思います」


 蛇人族の法律の中にも死罪は存在する。


 しかし、公開処刑はない。

 俺の世界で中世には西洋東洋問わず、当たり前のように公開処刑が行われていた。

 

 公開処刑が廃止されたのは近代の話だ。


 砂漠の国ではパトラティアが女王になった時に廃止させた。

 彼女は罪人を必要以上の辱めを行わない姿勢を示したのだ。


「パトラティアは人格者だな。やっぱり人の上に立った人間は違う……」


 全部が終わった。

 ホッとしたからからだろう。

 それに本当の限界だった。


「おい、ハヤテ!?」


「ハヤテ、しっかりしてください!」


 ローランと香の声が随分と遠くに聞こえる。

 そこで俺の意識は途絶えた。

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