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魔導兵器の正体

 階段がある。

 下へ続いていた。


 俺たちが階段を下りていくと光が見えてくる。


「ボルデック!」


 あいつは部屋の中心の祭壇のようなところにいた。

 何かを握っている。


 錆びた短剣か?


「一足遅かったですね」


 ボルデックは短剣を俺たちに向ける。


「今更、そんなものでどうするつもりだ?」


 リザ、アイラ、フィールレイがいる。

 短剣一本でどうにかできる状況ではないはずだ。


「おい、その短剣を捨てろ」


 アイラが緊張した声で言った。

 見るとリザやフィールレイも戦闘態勢だ。


 その様子であれがただの短剣でないことは分かった。

 まさか……


「それが魔導兵器なのか?」


「そう、これが魔導兵器ですよ!」


「だとしても、さっき、パトラティアが自分の存在が必要だと言っていた!」


 リザが叫んだ。

 確かにそうだ。


「ええ、この錆びた短剣の封印を解くためにはあの蛇人の血が必要だったんですよ」


 パトラティアの血?


「そんなもの、ここには……あっ!」


 ない、と言いかけた時、ボルデックがパトラティアを殴ったのを思い出す。

 奴の手にはパトラティアの血がべっとりとついていた。


 パトラティアの血を錆びた短剣に当てると、短剣は一瞬だけ強い光を放つ。

 そして、光が消えた時、錆びていた短剣は黒い短剣になっていた。


「それをどうするつもりじゃ? おぬしに扱える品物ではないぞ!」


 アイラが叫んだ。


「本当はラウルさんを利用するつもりでしたが、仕方ありません。どうせ、このままだったら、私は殺される。だったら、お前たちも道連れだ。竜人、エルフ、人間、私を馬鹿にしたことを後悔させてやる!」


 ボルデックは正気を失った笑みを浮かべた。

 奴は追い詰められたことで、今まで出来なかったであろうことを決断する。

 

 ボルデックは自分の左胸に短剣を突き立てた。

 奴の体を黒い霧のようなものが囲む。


「なんだこれは!? うわぁぁぁぁ!!」


 ボルデックの体は黒い霧に飲まれた。


「愚かなことを……」とアイラが言う。


「何が起きているんだい?」


「あの短剣はあいつの魔力を極限まで増大させている。こんな力に代償がないわけない! 使用者は暴走し、自我を失う。化け物になるだけだ。あれは人の手で扱えるようなものじゃない!」


 リザは強大な魔力を感じ、怖がる。


「ハヤテ、逃げるぞ!」


 アイラが即決した。


「スバラシイ……チカラダ……ハジメカラ……コウスレバ……ヨカッタンダ……!」


「驚いたの。まだ、僅かに自我が残っているらしい」


 ボルデックの声は酷く聞き取りにくかった。

 俺にもアレが危ない存在なのは分かる。


 『地底竜』は現在のソウルポイントでは使えない。

 俺たちは来た道を必死に走って戻った。


「『波動』!」


 先ほどの崩れた部屋に入るとアイラが障害物を一掃する。


「ハヤテ!」とアイラが言い、俺を抱き抱えた。


 あの~、こういう〝お姫様抱っこ〟は普通、男がするものではないだろうか?


 ナターシャはフィールレイが抱き抱えていた。

 リザは後ろをチラチラ見ながら、最後尾を守ってくれる。


 今更言ってもしょうがないが、立場がないなぁ……。


 やがて地上が見える。

 地下遺跡から脱出した先には、パトラティアとライリーさん、それからスタンレンさんやライアンさんがいた。

 どうやら動ける人たちを連れてここまで来たらしい。


「ハヤテ殿、一体何が……」


 俺たちの慌てようを見て、スタンレンさんが聞く。


「失敗しました」


 俺が結論を言うとパトラティアとスタンレンさんは深刻そうな表情をする。


「一体、何が……」


 ライアンさんが事情を聞こうとした時だった。

 地面が揺れる。


「とにかくこの場から離れましょう」


 パトラティアが言う通りだ。

 全員が急いで遺跡の出口へ走った。


 遺跡を出て、スタンレンさんたちが襲われた辺りまで戻った時、

「なんだあれは!?」

とリザが叫ぶ。

 ここからでも視認できるほど巨大な真っ黒い巨神兵が現れた。


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