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66 台湾旅行


「ここが我とわぬしの棲むところかの?」


アパートに戻ってきた。


「なんで、急にそんな現代風なしゃべり方になったんだ?」幼女に問うと、

「木に聞いたのじゃ。木は集合記憶生物じゃから、人の話し方も分かっておる」


なにそれ、気になる木。


「でも歴史的仮名遣ひだった理由にはなってないぞ」

「前の男の話をするほど我は無粋ではないぞよ」


・・・?別にお前と付き合ってねーし。


「なにが目的なんだ?」

「生きることじゃ。木はもはや茸に恭順するしか道はなくての。石油に人が手を出したからじゃ・・・」


そう訳の分からないことを言って、エメラルドグリーンの瞳を閉じた。


ぷかぷかすやあ・・・


??? まあいいや。とりあえず寝よう。

ヴィオラって重いから疲れるんだよな。今の身体だと全然大丈夫だが、気分の問題で。


__________


今オレは嘉玲(ジャーリン)と台湾に来ている。初たいわんだ。


「よく休みがとれたな」

「良い指導者の仕事は、部下に任せられる体制をつくることなのよ。ましてや今の時代、メールで大体の指示はできちゃうわ」


そういって楽しそうに笑う嘉玲はできるビジネスウーマンって感じだ。

といっても台湾は片道4時間程度で気軽にこれちゃう旅行先だ。おススメである。

オレひとりなら泳いでもこれるところだ。


この前北海道の礼文島(れぶんとう)に行った時は夏なのに涼しかったが、

今は秋なのに熱い。さすが亜熱帯気候だ。


「食い倒れツアーかなあ」

「台湾はなんでも美味しいわよ。特にお勧めなのは、海鮮と豚肉ね。野生のシャコなんて日本のシャコの3倍くらいの長さがあるわよ。店の生簀(いけす)の獲れたてシャコを甘辛ソースで炒めたりしたら最高ね。沖縄のアグー豚は台湾経由で渡来した説があるけど、量だけのヨークシャーとは違う本当に美味しい豚肉が台湾にはあるわ。1997年に口蹄疫が発生して台湾の豚肉は日本に輸出できなくなったけど、それまでは一番台湾の豚肉が日本で食べられていたのよ。今は、アメリカ・カナダばかりだけどね。台湾新北市には神猪(シェンチュー)と呼ばれる神の豚祭りがあるわ。盛大な祭りで、豚の体重を計って競ったり・・・」


なんだか凄いこだわりだ。さすが中華料理屋の娘。豚博士か。


初心者なので、まずは台北をぶらり。阿正厨坊というレストランに連れて行ってもらったが、台湾料理と西洋料理が見事に調和していて最高だった。ティラミスはイタリア大使も驚愕させたとかなんとか。


その後、夜市もいく。フライドチキン、焼き小籠包、胡椒餅(フージャオピン)、海鮮スープ、フルーツかき氷等々、目についたもの片っ端から胃に放り込んでいく。うますぎるぞ、安いのに。


「良くそんなに食べられるわね・・・」


そんなこと言う嘉玲も通常の女性の3倍分くらいは食べてるぞ。


最終日、故宮博物院にいった後、まだフライトまで時間があったので、腹ごなしに陽明山に登ることにした。


山頂からの景色をぼんやり眺める。一部、紅葉が始まっている。


「なんとも美しいな・・・」

「そうね」


嘉玲の一族は台南地方の出身だが、よく台北も来ていたらしい。日本式新幹線ができてすぐ来れるようになったそうだ。


帰り、温泉にも立ち寄る。


露天風呂に入る。なんとも贅沢だな。金を貯めて、金を使い、金を必要としない自然を求めるとは矛盾の感があるが。


「お兄さんは日本人かね?」


ん?老人に話しかけられた。




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