65 オケTUEEE!!!
チャイコフスキー作曲、交響曲第六番≪悲愴≫。
序奏のヴィオラによって提示される曲全体のイメージ・・・
暗く、重く、まるで人類の苦悩そのものを表現するかのような音色。
この異世界産の木材で作られたヴィオラから出る音は、人の生と死を体現していた。
聴く者は、頬をつたう雫も気づかないほど心を揺さぶられる。
ああ、、、本当はこんな曲だったんだな。。。
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作曲家はこの曲の初演後に急死した。すなわち遺作である。
これほどまでに、ヴィオラが重要とされる、またヴィオリストが重要視する曲はないであろう。
この曲によってヴィオラは”誕生”したと言っても過言ではない。人間の苦悩を表現するには、天使の歌声を模したヴァイオリンでは分不相応なのだ。この流れはマーラーが引き継ぐことになる。
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「三岳くんのヴィオラ、とんでもないわね」
コンサートミストレスの鏡子さんは、このアマチュアオーケストラの団長でもある美人さんだ。
まあ、そんなに可愛くなくても上手く弾けていたら可愛く見えるよね、ぶっちゃけ。
「そんなことないっすよ、デュフフ」
おっと、変な口癖が出てしまった。
都内のアマオケはだいたい弦楽器が不足している。オケをやりたい金管木管楽器がオケにおいてはさほど人数を必要としていないので、ブラスバンドからあぶれでた奏者がアマオケ団体を乱立するのだ。
弦楽器の中でヴィオラはさらに希少だ。そもそもヴィオラはなぜか不人気な楽器という理由もある。まったく、理解に苦しむね。
そんな状況でめちゃ上手なヴィオリストがいれば、もはや神である。
オレTUEEEができちゃうわけである。キノコさんを蹴ってから、身体能力も上がっており、左手の運指も、右手の弓さばきもプロ並みである。
あとなんでか知らないけど、どこらへんの木材の部分を響かせれば良い音が鳴るかなんとなく分かるんだよね、シチューの鍋の底の焦げた部分の旨みをこそげるように、裏板の底を響かせればよさげだ。今はなぜかできないが、魔素で強化しても良いのかもしれない。
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練習後の飲み会ではちょっとしたハーレム状態だった、ただし始めだけ。
「三岳くん、どんなお仕事してるの?」
「え、、、公務員の仕事は辞めて、今は食品関係の、、、」
「へー、辞めちゃったんだ。今のは具体的になにやってるの?」
「キノコ狩りかな」
「えっ、、茸?山に登って?なんか変わった仕事だね」
それだけ聞いたオーボエ吹きのギャルっぽい女の子は別のグループのところに行ってしまった。
絶対情報共有している。間違いない・・・。
見かねた鏡子さんがビールを注いでくれる。やさしいなあ。
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まあ、人間って感動を忘れるから生きていけるんだよね。あと硬い職業じゃないと評価されにくい・・・。
言わなかったが、オレは巨万の富をもってるんだぞー!具体的には嘉玲におんぶにだっこ状態だけどな(泣) ましてやゴブランを片手でひねることができるっていっても、ポカーンとされるだけだ。
「わぬしの演奏、良かったのぢゃ。われの木とわぬしの茸とが結合すれば何も怖くないぞ」
ん・・・? ぷかぷか浮いてる幽玄幼女からも謎のフォローが。
ってか、ちょっと言葉遣いが現代風になってる?




