48 人無くんば金成らず
とはいってもなあ、、、美味いもの食いたいなら龍門のおっちゃんのとこ行けばいいし、あるいはキノコスパイスを卸している店に行けばいい。優待券ももらってるし、タダで食える。
マンションか家でも買うかなあ、、、それだとオレの稼いだ金が単に地主にいくだけだかんなあ、、、既に巨大な24階建のビルを嘉玲が建てている。オレがそれより小さいものを買っても二番煎じだし、そもそも管理に手が余る。
今度嘉玲とは一緒に台湾に行くことになった。とはいえ、仕事が忙しく当面は時間が取れないらしい。オレの資産のためでもあるらしいから、あまり強くは言えない。そんな金ばかりあってもしょうがないのに。
連絡とってすぐに遊べるような友人はもう社会人時代に絶滅したからなあ、、、学生時代はあんなに毎日会ってても飽きなかったのに。会社でそれに代替するような関係も生じない。
「金があってもしょうがないな・・・」
ヘリコプターからばらまいて他の人に使ったもらった方が世の中のためなのかもしれない。
旅行するにしても、走っていけるんだよな。最近、身体がおかしくて、食いだめというか、しっかり食べておけば2週間くらいは全然問題ないようになってしまっている。
「すぐにダンジョンに戻って武者修行するのもしゃくだし、、、」
夏だし、海に泳ぎに行くか。
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「ここは、、、?」
三日間くらいプカプカしてたら、気付いたら北海道の礼文島に来てしまっていた。三陸沿いにやってきて、途中、対岸に移ったが、あれが津軽海峡だったのか。
「あっぶねー、もう少しでロシアの樺太じゃん!」
昔は日本の領土だったらしいが、流石にいまはユジノサハリンスクだ。やーざぶぃーるかくがばりーちぱるすきー。
とりあえず今回の旅は北海道だな。
「ウニでも食べるか、、、おっ、あそこにいるのは海女さんかな?すいません!」
「あれー、お兄さん、どこから来たの?ここ、波が強いし流れが変なところもあるから、泳いでると溺れちゃうよ?」
三島由紀夫の潮騒に出てきそうな、顔だけ良く日焼けしている、高校を卒業したばかりくらいの女の子だ。美人というより輝きと可愛さとが優っている。スーツに隠された身体はかえって青魚の駿馬のような筋肉を予感させる。
「なんか泳いでたらここについたんだよ。ところで、ウニを獲って食べさせてくれるか?自分でもとれそうだが」
「密漁はダメだよ、おにいさん。わたしにまかせれ」
そう言うとざぷんと海に潜っていく。洗足池より潜りやすそうだ。
「北海道はいいなあ、、、」
こんこんと積もる雪景色も良いが、夏の北海道も良い。涼しいし、控えめな緑が儚げで可愛らしい。
こんな暑い時に人は密集して都市に集まるべきなんだろうか。クーラーやらヒートアイランド現象で外の気温は暑くなるばかりで、都心で涼をとるのは一苦労だ。お金を出して高層マンションの最上階に住めば少しは違うんだろうか。
「おまたせ〜」
目の前の若い海女と同じ経験を得るために都市の人間はいったい幾ら払えば良いのだろうか。
「したっけ、このスプーンで食べてけれ」
割られたばかりのつややかなウニが目の前にいる。利尻昆布ばかりを食べた贅沢なやつだ。
「これは、、!!!ウニなのか!?うますぎる!いつものウニと全然違うぞ!」
「そりゃー、ミョウバン漬けのものとは違うさー」
これだけでも大金叩いてここに来る価値あるな。オレは泳いできたからタダだが。どちらでも海女に渡るお金の額は一緒だ、交通及び流通に搾取されるのが現代社会だ。東京で食べる最高級の寿司の値段の殆どが土地代と流通費用じゃないか?職人の技や漁師の頑張りに本当はお金を払いたいのに。
オレは少しだけ気持ち多めの額を海女ちゃんに支払い、札幌に向かうことにした。カレーとラーメンも食べたいのだ。夏だから、アスパラガス、かぼちゃ、メロン、新そばもいいな。
生クリームにかぼちゃを混ぜたものを焼きたての薄いワッフルで挟んだスイーツ☆を食べたのだが、頰が抜け落ちるかと思った。
地方にはまだキノコスパイスの必要のない美味しいものが残っているんだな。




