44 生きるために働く、働くために生きる
「いいな、、、欲しいな、、、」
オレはこの一週間毎日武器屋に入り浸り、トランペットに憧れる黒人少年のように、剣を舐めるように見ていた。最低200フランの値段からで、今は手も足も出ない。日本の金を金に変えて持ってこればいいのだろうか?いや、貨幣を認可している領主にしょっぴかれそうだ。
「ヒラー、またここにいたのかい。店主の迷惑じゃないか。君はまだそんなにお金を持っていないだろう。そもそも剣がなくても充分強いし、剣を扱うスキルもないじゃないか」
スキル?
「うるさい、使えなくても男は剣に憧れるものなんだよ」
「僕は男だが、憧れてはいない。反証終わり」
「まあよせ、ヒラーの気持ちは俺にはわかる、剣は漢の浪漫だ」
「エペのおっさん! 流石だな、分かってる。じゃあ今日はあそこにある青い剣を見せてくれ・・・」
「まったく、ヒラーには困ったものだ。剣より槍や棍棒のほうがモンスターを倒しやすいし、壊れにくいじゃないか。まあ趣味だから好きにしたらいいさ。さて、昼ごはんでもどうだい?」
オレたちは気分が乗った日か、お金が足らなくなったら壁外に出て、薬草を採ったり、モンスターを蹴散らしたりした。毎日働くようなもんじゃないらしい。中世ヨーロッパでも、天才カルヴァンとそのプロテスタンティズムの倫理の登場を待たなければ、毎日働かなかったような。
江戸時代もそうだった。しかし、社会が安全になり、安定的に高齢化できるようになると、日々働かなければならないという強迫観念が逆説的に生じるということなのだろうか。神の救いもなしに。。。
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「今日は鶏の香草焼きにするか」
今日も元気だ、飯がうまい。
とはいえ、剣が欲しいからもっと働くか、、、ゴブラン400匹くらい、オレのスピードなら直ぐに達成できそうだ。しかし、ニヴォーの確認もしたいんだよなあ、異様なスピードで上がってたら不審に思われるだろうしなあ。
一旦、日本に戻るか。目の端にチラチラと映るジャンヌを無視しながらそう考えた。しつけーな、コイツ。
「今度、一稼ぎしたら、一度武者修行の旅に数週間出ようと思う。その間一人にさせるが、すまないな」
「了解。僕は大丈夫さ。ヒラーこそ、僕がいないとおかしなことをしそうで心配だよ、森の奥に分け入ったり」
「いっ、、いやだな、、、オレがそんなことするわけなかろう?」
「口調が変だよ。まあいいや。じゃあ、今日の午後にでも外に行くかい?」
「そうしよう」
「そうでしたら、今日の晩はわたくしの館に招待させてくださいませ」
「今日は薬草の採集にするかい?モンスターの討伐にするかい?ツノうさぎの角はなかなか高値の薬の材料になるよ」
「蹴りやすいし、うさぎにするかなあ」
「じゃあ、食後の休みを取ったら壁外に向かおうか。北の森だよ」
「そ う で し た ら、今日の晩はワタクシの館に招待させてくださいませ」
しつけーな、コイツ。まあ粘り賞として行ってやるか。
「じゃあ最高級の晩餐を用意しとけよ」
「親友が行くのなら僕もついていくべきだね」
「あら、私の恩人は一人だけですわ」
「じゃあこの話は無しだ、ジャンヌ」
「ぐぬぬ、、、致し方ありませんわ。お二人ともいらしてくださいまし。。」
「僕は安いワインは身体に合わないんだ、高いワインをよろしく頼むよ」
「よござんす!!ヒラー様のために高級なものを用意させますわ!それでは、日が沈む頃に迎えを遣りますので」
ラッキー、旨いワインが只で飲めるぞ〜!
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うさぎを20匹ほど蹴り殺し、角と肉をギルドに納品する。捌くのはエミールが一時でやってくれた。
鋭い角も当たらなければどうということはない。
もっと倒しておけば、剣を買える日がもっと近づいていたかなあ、、、でも人と違うことがバレて居辛くなるよりはマシかなあ、、、モンスターが直接お金を落としてくれればいいのに。
結局、換金のスピードが変えられないことにはなあ、、、武者修行と称してニヴォーをまず上げて、もうすこしランクの高い狩場に行くか、、。この都市トロイの近くだとあまりないらしいが、森の奥に行けば危険だが高ランクのモンスターもいるらしい。とはいえ急激に危険度が増すのでほぼほぼ自殺行為なので、止められるらしい。うーん、悩ましいなあ・・・
エミールの家で休みながらこうして考えていると、ドアが唐突にノックされる。こんな時間に誰か用だろうか・・・?
「オルレアン家ジャンヌ様の使いです。お迎えにあがりました」
あっ、そいえばジャンヌのおうちにお呼ばれされてるんだったは。やべやべ、忘れてて準備してなかった。




