30 自然に還れ
( 最近、キャンプしたり小屋に住んだりしている若者が増えているというニュースを見たが、都市の幻想を信じられなくなったんだろうか、、、)
目の前の広大なキノコの森を見ながら、オレはふとそう考えていた。どんなに景気が悪くなろうが、ひとりで山で過ごせたら生き残ることができるのだ。ハイパーインフレ時には金も土地も建物もなんら意味をなさない。
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嘉玲に大量の納品を済ませ、代金も多額だったので、最近額がうなぎのぼりに上昇してよくわからなくなっている銀行口座にいれてもらうことにしておいた。
事業は順調に次ぐ順調であり、常に商品は欠品状態だ。しかし、あえて生産は無理をしないのが重要らしい。
有名なワインのシャトーも年間140000本しか作ってなかったりするから、ブランドの価値は制限することにあるとかなんとかなんか難しい話を嘉玲がし始めたので、とりあえずおっちゃんにきのこご飯を作らせて食べた。
うますぎて泣けてくる。嘉玲も気づいたらすぐ隣に座っていて泣いている。新しいこのキノコさんで更に事業が安泰になるからだろうか。
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翌日、小さめのリュックで、身軽な格好で来ている。最近は速いし頑丈だしで変な動物にあっても負けることはないだろう。試したことはないが、本気で殴れば木の一本くらい叩き折れそうだ。
この前苦いハーブティーをご馳走になった爺さんの小さな石造りの家の前まであっという間に着く。ドアを叩いたら返事がない。もういなくなったのだろうか、いや、畑仕事に出ているのだろうと自分を納得させた。
会えたとしても、気まずいだけだ。
担いできた米袋を2袋ほど、ハーブティーのお礼も兼ねて置いておく。もうここに来ることはないであろう。
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街道を歩いていく。草原も多く、人の手が入ったところばかりではない。土地が痩せているのか、他に阻害要因でもあるのだろうか?
遠目に森が見える。少しおどろおどろしい印象を受ける。森に暮らしていたはずの人間の祖先だが、いつから森に怖いイメージを有するようになったのだろうか。木登りができなくなって猛獣から逃げにくくなったから? あるいは森にもっと恐ろしいものでも誕生したのだろうか。
・・・。
無為に思考を働かせつつ、ぼんやり歩いていたら遠くに土煙が見える。人の叫び声もだ。
あれは、、、馬車だ。
何かに襲われている様子だ。




