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29 火に見入る本能


焚き火は最高だ。


グリルの上の火を眺めているだけで本能的になぜか落ち着く。火を怖がる動物も多いというのに・・・。


そりゃあかがり火を使ったゲームが流行るわけだわ。


七輪で適当に採ってきたキノコさんを焼く。


既にリュックサックの中はパンパンだ。オレの速さには誰もついてこれていない。オレ自身も若干置いていかれている。


ダンジョンの中のキノコさんたちとは違って、ここのキノコさんは泡沫(うたかた)のように消えはしない。ので全身丸ごと味わえるのだ。


最近はキノコの気持ちが分かるというか、触っただけでそのキノコが食べられるかどうかがなんとなく判る。毒キノコでも意外と食べられそうだが・・・。


ん?これは、、、食べられるが一週間ほど禁酒を強いられそうだ。やめておこう。暗殺とかには使えそうだが。




ポルチーニは別名"きのこの王様"であり、干しても利用できる。干したほうが風味が増すものも多いところがきのこの不思議だ。シイタケとか、干すと旨味が凝縮され、天日干しするとビタミンDも増えるスゲェやつだ。

冷凍しても良い。エノキとブナシメジは食感的に避けた方がよいが、旨味はいずれにせよ凝縮される。


七輪の網に、ポルチーニ、エリンギ、アンズタケ、アミガサタケ、クロラッパタケ(trompette de la mort)に似たやつを載せていく。サイズは大幅に違うが遠近法(perspective)が違うだけだ。


七輪でポテンシャルを最大限発揮できるのは、鶏肉、きのこ、一部の野菜だ。他もだいたい美味しいが、他の調理法でも美味しいので、差が大きくでるわけではない。


塩、醤油、バターを組み合わせて食べていく。バターはフランス産のエシレバターだ、高額関税と乳業界の闇規制もなんのその、お金の力で解決した。


エシレバターは薄味で繊細系なので、パンには合わないがさつまいもやお菓子、料理、きのことのマリアージュが良い。


醤油は岡山県産のもので、備前焼の大甕(おおがめ)で長期熟成されたこだわりのものだ。


「うまい・・・」


こうして美味しいものを食べると感謝の意しか湧いてこない。やはり飢餓、食欲、食べ物といったものから神や宗教は誕生するのだなと思った。インドでも絶食が修行の一環であるのは、食べないことこそが神そのものであることに気づいているのだ。


まあ、人間界を脱しても、天人五衰が待っているので、インド人はよほどこの世の中を不完全と罵りたかったのだろう。。。


きのこご飯にして食べようかなあ、龍門のおっちゃんに作らせようと考えつつも、意識の端にはこの森の向こう側にある爺さんの家やまだ見ぬ都市に対する意識の小片がこびりついていた。

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