28 もっとキャンプしたいのに都会には場所がない
洗足池ほとりのカフェのほとぼりが冷めたと思って、財布を握りしめて向かった。
食い逃げではなく、支払いをしたかどうか確信が持てないので念のため確認しにきたというテイだ。それでもオレはやってない。
しかし、店員が言うにはそんな事実は無かったということだ。オレが覚えられていないだけかもしれないが、その日にオレも来ていないはずと言われた。
どういうことだ・・・?
空恐ろしい気持ちになりながら、まあしかし気にしてもしょうがないので、ちょうどブランチの時間だったこともあり、ランチプレートとコーヒーを頼んで店側の利益に貢献してやることにした。
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オレは今、森にキャンプに来ている。
キノコさんの在庫は嘉玲のところにまだ十分にあるものの、二週間後には心持ち心もとなくなりそうだったので、新調した巨大なリュックと共に仕入れにやってきたのだ。
あの洞窟を抜けた先の森をじっくりと味わうのだ、そう、そこにいたキノコたちごとな! そのついでに仕入れもすると。
荷物は一泊だし必要最低限だ。テント、ミニテーブル、グリル、ダッチオーブン、ナイフ、ウェットティッシュなどその他細々したもの、七輪、岩手県産なら木炭、着火用固形燃料、網、菜箸、醤油、塩、バターだ。
ん? 七輪以降は別に必要なものではない? いやいや、キノコを楽しむためには七輪は必須だろうが! 焚き木だと水分が出るからな、炭だとじっくりとしっかり食材を加熱してくれる。化学式だと、C+O2=CO2だ。
黒炭や成形炭やオガ炭も良いが、国産木炭をお勧めする。備長炭は高いし、火の付け方が上級者向けだ。
こうして準備万端なオレは、梅雨の日本から、いそいそと秋の景色広がる小春日和な山々にやってきた。
火に舐められた木炭から徐々に鳴る鈴のような音色は雨の音と似ている。人間の心を癒す自然への畏敬を我々にもたらしてくれるのだろう。
プロメテウスが人類に火をもたらすことにより、人は人たりえるようになった。
きっとその時プロメテウスは単なる木材にではなく、永く保つよう、木炭に火を付けて人間に渡してくれたはずだ。
そのことこそが、神の怒りを買ったのかもしれない。




