25 美しい空だけを見る
爺さんのポツリポツリとする呟きに適当な相槌を打ちつつ、苦いハーブティーを呑んだ。
「爺さん、お茶ありがとな。それと食べるものも。助かったよ」
「お前はこの道の先の都市に行くつもりか?」
「いや、、、どうかな。とりあえず今日は森で寝ようと思っている」
「そうか、、、森で暮らしてたんだから大丈夫と思うが、モンスターには気をつけるようにな」
モンスター? キノコたちのことか・・・?
「ああ、気をつけるよ。爺さんも身体に気をつけてな」
爺さんはそれには答えず、椅子に座りなおした。
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オレは嘉玲に一言いって、一週間程度の旅に出ることにした。この前大量にキノコを納品したから大丈夫だ。
嘉玲は特段何も言わなかった。じっと見つめられただけだ。
MIAT航空を使い、成田空港からウランバートルへ飛ぶ。
久しぶりにこの世界の自然を実感したかった。
都市は空虚と夢幻に満ちている。
ポツンと草原に佇む小さな空港に着いた途端に多くのタクシーの客引きに出迎えられるが、オレはリュックサック一つだ。車は必要ない。ほんとうになんにも持っていないんだ。
チンギスハーン国際空港から歩いてウランバートルまで。
日本の4倍の面積に40分の1の人口が住んでいる。人口の2分の1はウランバートルに住んでいる。
広場の近くの適当なホテルを宿として取る。
一週間分のお金を払い、もしかしたら帰ってこないで他の町の宿に泊まるかもしれないと伝えて出る。
日本語の流暢なしたたかそうな女将はお金を受け取ったことに笑みを浮かべてこころよく了承した。
相撲賭博で良く儲けているらしい。
・・・。
モンゴルの価値は首都にはない。
なにもないところにあるのだ。
ひたすら東に走る。草を踏むのが気持ちいい。
気づけば暗くなったので寝ることにした。
身体は元気だが、休むことも必要とした方が人間らしかった。
ご飯もそんなに食べなくて大丈夫だ、食べるときは尋常じゃない量を食べられるようになったが。
頑丈になったものだ。大兵肥満というやつか。いや、筋肉は確かについてきており、引き締まってきている、、、はず。
見渡す限り人のいない場所が良くある。山もない。ときたま小さく積まれた石の山があるだけだ。
夜は満点の空だけ見えた。
無限の星を見ているとちっぽけな地球にいることを実感できる。
風の歌だけが聞こえる。
ヒトの声は聴こえない。
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ひたすらに走っていると、鉄を剥がれた無残な車両の残骸に気づいた。
近づいてみると、陰からモフモフの猫が飛び出してきて歯をむき出しにして威嚇してきた。にゃにこれカワイイ。
マヌルネコだ。
東の端のノモンハンまで来てしまった。




