20 気がつけばそこにだんじょん
「こういう来方もあるのか、、、」
オレの目の前には、見間違えようもない、最近毎日のように来た所為か自分のアパートより親近感のあるダンジョンの景色が広がっていた。
昼間は池の近くで意識を失うとここに来ることができると。流石に一度深夜によどむ渦に入水しない限りは無理なんだろう。そうでないと、池の近くで寝転んで休むホームレスや、まどろむ老人たちがここに来ない筈がない。キノコさんに負けるほど激弱だった可能性もあるが。
( はて、、どうするか、、、)
今一度うずまく渦に身を投ずれば、池のほとりに戻ることができるだろう。しかし、カフェの支払いは済ませておらず、エクストリーム食い逃げ状態だし、戻って姿を見られて下手に勘違いされたら、警察は呼ばれないだろうが、気まずくなること必至だ。
とりあえず判断を先送りし、問題を棚上げするために、夜までこのダンジョンに篭っていよう。
何回も潜って体感的に分かったことだが、ここと外との時間の進みは同じのようだ。ここが今昼なのか夜なのかは分からないが、ここで2時間程度キノコさんと戯れていたら、外でも2時間程度夜鴨が鳴き鳴き池のほとりの草むらで眠っているのだ。
( とはいえキノコさんのドロップ品を入れるリュックも持ってきてないしなあ、、、 )
ミュートでひとりごちたオレは、てくてく、始めはアンダンテで、、、、、、次第にアレグロ、、、、盛り上がってヴィヴァーチェ、、気づけばプレストで洞窟を走狗のように駆けていた。
(速い、、速すぎる!10mを1秒くらいで駆け抜けているぞ!)
まだまだ速くなれそうだったが、これ以上は曲がりくねっている壁に衝突しかねない。ただでさえ進路上にいたために巻き込まれたキノコさんが吹き飛ばされ続けているのだ。これ以上の犠牲は必要ないんだ。
30分ほどそうしてジョギングを楽しんだ。
茸尽くしの長いドウクツを抜けると森であつた。




