16 男は変わらず女は変わる
「平岡くん、元気にしてた?久しぶりだね」
嘉玲ははにかみながら、久しぶりの知り合いと出会う不自然さを殺そうとにこやかにオレに話しかけた。
女性について語る際、その外見から説明するのは失礼に当たるが、女性は外見から自分を創造する存在なのだから仕方あるまい。嘉玲は端的に綺麗になっていた。
男が、殊に男女の機微について女性の直感を凌駕するほど仮装隠蔽が得意であったことは有史以来なかったであろう。
オレは分かりやすくどもって
「うっ、うん...ぼちぼちやってるよ...」
「なんで久しぶりうちに?あっ、ご飯でも食べにきてた??この店の娘が言うのもなんだけど、外食ばかりだと身体に悪いよ?」
「ココは身体にいいモノしか出さないアル!」
「いや、、、今日は食べにきたわけじゃないんだ。そうだな、、、おっちゃんに料理を習いにきてたんだ」
「ふ〜ん、そんな嘘つくくらいならわたしに会いにきたっていう嘘をついてくれれば良いのに」
「いや!うっ、嘘じゃないんだ、なあ?おっちゃん?」
窮しておっちゃんにすがると、
「この平岡さんのぼんはウチに変な食材を売りにきたアルヨ」
えげつなく売られた。
「食材を売りに!?普通のサラリーマンじゃなかったっけ?農業でも始めたの?良いなあ」
「まだ会社は辞めてないぞ。今も虎ノ門に通っている。この前ちょっと田舎に行った時に面白そうな食材を見つけただけだ」
「その混ぜご飯?なんだかシンプルだけど美味しそうね。わたしにもちょうだい」
そういって、嘉玲はオレの使い終わった茶碗を手に取り、キノコごはんをよそって口に入れると、ぴょいんと飛び上がった。




