表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/24

23話 姉2

「ヴェル! 久しぶりね! 元気そうで本当に良かったわ。じゃあ早速、剣の腕をお姉さんが確認してあげる。修練場に行くわよ!」


 そんな言葉でドラヴェルトの一日は始まり、気づけば修練場にいた。


「ふ、フレリオーネ姉さま。僕にも準備というものが……」


 朝食も食べていない。

 それに服も寝間着のまま。

 

「日が昇るまで寝ていたヴェルが悪いのよ。それとそんな気持ちの悪い他人みたいな話し方は好きじゃないわ。昔みたいにリオ姉って呼ばないとお姉ちゃん怒るわよ」

「ではリオ姉さん……と」

「リオ姉よ」


 これは自分の対応が悪いのか?

 近くで静かにこの様子見守っているアシュレットに目線を送る。


 だがアシュレットはニコリと微笑むだけ。


(顔も性格も母上そっくりじゃな……)


 ドラヴェルトは心の中でため息を吐く。


 こういう類の人間に常識的な道理は通じない。

 害がない範囲で素直に従った方が賢明。


 この人生において新しく得たあまり嬉しくもない学びだ。


「はぁ……わかったよリオ姉。これでいいですか?」

「この姉をちょっと下に見ているような気がするけど……。まあいいでしょう。それじゃあ今あなたが持っている剣を見せなさい」

「剣って言われても今起きたばかりで何も持ってませんよ」


 それくらい見れば一目でわかるだろうに。


「それは良くないわヴェル」


 フレリオーネは顔を押さえ、首を振る。


「フォルノスパーダ家に連なる者は、いついかなる時も剣は持っておくべきものよ。ああ、どうしてそんな風になってしまったのかしら、お姉ちゃん悲しいわ」

「はぁ……。そうですか」

「私の言ってること正しいわよね?」


 フレリオーネはアシュレットの方を見て尋ねる。


「もちろんでございます。フレリオーネ様」

「ほら見なさい」


 コイツ裏切ったな。

 

 アシュレットを睨みつける。

 だが目を逸らすどころか手を振り、微笑み返された。


(本当にこやつは儂の従者なのか?)


 そんな風に疑いたくなることが時々ある。

 堅苦しいよりかは良いが、これでは従者というより仲のいい友人だ。


「仕方ないわね。あなたが昔よく使ってた短剣をあげるわ。だからこれを機に常に携帯してくことね。あとこれは訓練用」


 古びた鞘に入った短剣と木剣を受け取る。


 この柄にある龍を背景に剣が斜めに入ったマーク。

 フォルノスパーダ家の家紋か。

 古いがそれなりの剣のようだな。


「じゃあヴェル。お姉ちゃんが実力を見てあげる。さあ勝負するわよ。初手は譲るわ、どこからでも掛かってきなさい」

「掛かってこいって言われても……」


 ドラヴェルトは、剣を構えるフレリオーネを見て困惑する。


 アシュレットと軽い打ち合いくらいはしたことがある。

 だが本格的な勝負となると初めてだ。


 だからどう攻めていいかよくわからない。


 もちろん戦いの経験自体はそれなりにあると自負している。


(だが騎士との戦いは、すべて一方的なものじゃったからのう……)


 防御魔法越しに必死に剣を振るう騎士を眺めていた記憶しかない。

 しかし当時は興味の欠片もなかった。

 だから役立つことなど何一つとして覚えていない。


「遠慮しなくていいのよ。あなたが全力で斬りかかってきたとしても、あなたの姉は傷一つ付かないわ。私はこう見えても強いのよ?」

「だけど……」

「そう。来ないのなら怪我をしない程度に手加減するしかないわね。でも一週間くらいは動けなくなることを覚悟なさい」

「えっ」

「ただこのままだとあまりにも不公平だから制約として私はフォースを使わないし、右腕一本だけで戦ってあげるわ」


 そう言ってフレリオーネは左腕を後ろに回す。


「じゃあ行くわよ」

「えっ、まっ――」


 姉が木剣を振り被ったのを見て、ドラヴェルトは慌てて木剣を構える。

 だが気づけばドラヴェルトの胴横に剣がそっと添えられていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ