第四十五章 はじまりの森
「えっ?パーティ?」
「うん、ちょうど女神様が村を助けてくれてから十周年なんだって。」
「ほら女神様、こっちこっち。」
村の中心に作られた特設会場。
噴水の前にはたくさんテーブル。
その上にはたくさんのフルーツと料理。
「たくさん、食べてきな。」
お酒を飲み、わいわい騒ぐ村の人たち。
あっという間に、楽しい夜は過ぎ、外は真っ暗に。
ランタンには明かりがともり、家々も明かりを放ち始めるころ。
宴会場のあちこちからはいびきが。
「ぐがっ?」
「も…お、たべれnいぜ…。」
そっと、村人たちを起こさないようにその場から立ち去るあたしたち。
「女神様、もういっちゃうの?」
後ろからイブちゃんの声。
「うん。」
「そっか。」
「天界の仲間もしんぱいしてるだろうし。」
「ね!また、戻ってくるよね?」
ちょっぴり涙目になるイブちゃん。
「うん、必ず。」
「うん、絶対だよっ。ゆびきりげんまん、はりせんぼんのーます。」
「ゆびきった、やくそくっ。」
☆☆☆
再び、古い神殿に戻ってきたあたしたち。
あれから何年たったのだろう。かつて、村人たちが踊りあかした広場も草がぼうぼうに生えている。
それをかき分けながら進むあたしたち。
きれいにした神殿にはツタがはびこっていた。
でもそれはそれできれいかも。
白と緑のコントラストが。
神殿の前に穴を掘り、大きな種を埋める。
そしてマリアが村から持ってきたジョウロでお水を上げる。
「こんなので、ほんとに、向こうに帰れるのかな?」
「もうー。忘れちゃったの?」
「先生が授業で言ってたでしょ。」
「伝説では地上から天にまで届いたって。」
「ここは地上よ。何があっても不思議じゃないわ。」
「ほらっ。」
ちょこんと地面から顔を出す双葉。
そして、本葉。
そしてどんどん、見ている間に伸びていくツル。
「うぉぉおおおおお。」
どんどん、ねじれて、幹のようにどんどん伸びていく。
「ね?言ったでしょ。地上では何があっても不思議じゃないって。」
そしてあっという間にあたしたちが昇れるくらいの大きさに。
「ほら、早く乗ろ。」
葉っぱの上に乗り、マリアに手を伸ばす。
「ええ。」
あっという間に伸びていくツル。
あたしたちが乗っている葉っぱを上へ上へと押し上げる。
あっという間に森の木の高さを超え、さらに上と、ぐんぐん上へと伸びていく。
もう神殿ははるか下。
そして、昇ってくる太陽。
真っ暗だった大地が明るい光で照らされていく。
ゆっくりと回る風車に。
金色に輝く、畑。
今日はどんな野菜が取れるのかな。
イブちゃん家の畑には人影。
心なしか、手を振っているようにも見える。
「またねー。」
大きな声でそういって手を振り返すあたしたち。
そして次第に見えてくる広大な大地。
緑色の草原、砂漠、雪の積もる山、大海原、そして、雲海。
だんだん遠くなっていく地上。
葉っぱの上に座りながら眺めるあたしたち。
やがて、雲の中に入っていくツタ。
止まることを知らないのかどんどん上へと伸びていく。
そしてもう下に雲しか見えなくなったころ、ツタの成長が止まった。
ここからは登るしかないか。
重い腰を上げ、幹をよじ登っていくあたしたち。
そして…。
キーンコーンカーンコーン。
授業の始まりの鐘がなった。
☆お知らせ☆
物語も終盤に入ってきました。
ページ下部よりもう一つの連載作品、魔王として転生したのですが、聖属性だったので、配下の魔物たちを浄化してしまったのですが、これからどうすればいいですか?に飛べるリンクを追加しました。
なぜか、魔王として転生した主人公が色んなものを浄化しまくるおはなしです。
こちらも併せて読んでいただければと思います。
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