第三十九章 巨人の足跡
「出口よ。」
再び、ぎしぎし音のする重たい扉を開けて暗い水路へと戻るあたし達。
「もう、村はすぐそこのはず…なんだけど…。」
松明を手に再び進むあたし達。
行き止まり?
あたしたちの前に立ちふさがったのはおおおおおきな壁?というか岩。
トンネル全体を覆い隠すように鎮座している。
足元の水も途切れている。
「この辺りって…。」
地図とコンパスを見比べるマリア。
「ちょうど、村の井戸のあたりだわ。」
「ということは…。もしかしてこれが原因?」
「というか、これね。どうみても、完全に塞いじゃってるし、水が出てこないわけだわ。そもそも、あの砂の下にこの岩があるのだから。村に雨が降らないのはまた別の原因だと思うけど…。この水は森の地下水のでしょうし…。」
ひょこ、かさかさかさ。
岩の上を歩く、物体。
黒くてそしてすばしっこい。
これは…。まさか…。嘘だよね…。
天使の天敵。
殺虫剤でもなかなか死なない、小さな黒い奴。
またの名を…。
G…。
「アリア?これ黒トカゲよ。ほら、最初に村の井戸を調査した時の。」
マリアが松明で照らしてくれる。
松明で照らされたソレは確かにアイツのフォルムではなく、あの地上でみた黒トカゲだった。暗くて見間違えたみたい。
ちょっと安心。
「でも、この子がいるってことは…。」
「ええ、ここが村の井戸の真下でしょうね。」
☆☆☆
「ってことはこの岩をどかせば、万事解決。ハッピーエンド。ってことだよね?」
「そうね。ただ問題はどうやってどかすかよね。材質も違うからもともとここにあったものではないと思うんだけど。」
ついでにカンカン叩いて見せるマリア。
「うーん岩ではなさそうなんだけど…。」
「よしじゃあっ。さっそく…。」
「うぬぬぬぬぬ…。」
作戦その①、ありったけのばか力で引っ張る。
「うぬぬぬぬぬぬ…。」
力にものを言わせた脳筋作戦。
「はぁはぁ。」
真っ赤になる手。
岩は1ミリも動いていない。
「次‼」
「じゃ、次はこれ。てってれー。」
「ハンマー‼」
「えっいつのまに?そんなのあったっけ?」
「その辺のモグラから拝借した‼」
「これで割っちゃうよ。」
「えーい。」
がっきーん。
げほげほっ。
体に伝わる振動。
「ごめん、やっぱ無理だわ…。」
☆☆☆
「じゃあ、爆薬でどっかーんするのはどう?映画みたいに?」
「どこからそんなもん持ってくるのよ。危険じゃない。」
その辺に落ちてる爆弾は。
それだとあたしたちが吹き飛んじゃうか。
それに危なくて触れん。
「それだったら岩の上で焚火をすればいいわ。いつか割れるわよ?」
「それって、どのくらいかかるの?」
「さあ?神のみぞ知るかしら。」
「えー。」
かさかさ。
視界の隅で動く黒い影。
「ん?また、さっきの黒トカゲ。」
するするするっと岩の上を移動するとぱっと消えた。
小さな隙間にでも隠れたのかな?
でもこの岩一枚岩だよね?
????
私の頭の中でぐるぐる渦巻く疑問。
「アリア、ここ照らして‼」
「ここ?」
「うんそこ‼」
黒トカゲのちょうどいなくなったあたりに松明をかざす。
そこには…。
「なんだろ?これ?」
明らかに不自然な盛り上がりがあった。
2026/6/6 文量を増やしました




