第三十四章 グリフォンとペガサス?いや馬しかいませんけど
夜もすっかり明け朝方。
ヒヒーん。
馬のいななく声。
ひゅんという鞭の音。
ガタンごトン、ガタンごトン。
ゆれる車輪の音。
石や、木の根っこを乗り越え、進んでいくときに出る音。
普段は荷車として使ってるらしく、そのため、座り心地は最悪。
幌馬車って言えばわかるかな。
椅子もなくて、何なら、荷物詰んである。
しかも坂道なので、右へ左へ重心がいったりきたり。
で窓もないし。後ろの入ってきた入り口だけが開いた構造。
なので、お尻がイテテテ。
地上の馬車はみんなこうなのかな?
天界ではペガサスやグリフォンが車を引くから乗り心地はサイコーなんだけど…。
なんななんなんだろこの差は…。
飛ぶか飛ばないか?
ハイテクな地上の文明とは…いったい?
そういえばあのヒトの女の子、イブちゃんはどうやって来たんだろ?
けっこう距離もありそうだけど…。
まさか、徒歩!?
というか、なんで、あんなところまで?
飛行機ってやつとかないのかな?
「ね、見て。」
マリアの声。
馬車の外を見ると、ちょうど、馬車が森を抜けるところ。
そこに広がっていた景色は緑の木々とは打って変わってあたり一面、赤茶色の大地。
地面はひび割れ、船は地面の上に打ち捨てられている。
思わず身を乗り出してみてしまう。先ほどの景色との境目。
遠くには日干し煉瓦の住宅が見える。
あれが村なのかな?
水車も見える。もちろん水車は止まっていて、川底には少しの水たまりもない。
馬車が通り過ぎるのは橋ではなく、川底。
あたりにぽつぽつと広がるのは魚の死骸や水を求め、さまよったであろう動物の骨。
そこには聞いていた地上とは違う、荒涼とした景色が広がっていた。
「つきましてなのじゃ。」
ゴオオゥゥン。
馬車から降りるとものすごい熱気。
足の裏がすごく熱い。暑すぎて景色が歪んで見えるくらい。
「アチッ。アチ、アッチチ」
まるで灼熱地獄のよう。
「よくはだしで平気ですね?」
「いや、熱いのじゃ。」
「熱いのかよ‼」
カンカンと照り付ける太陽に…。
地面はひび割れ。
木は幹だけ。
葉っぱはなく、枝があるだけ。しかも、真っ黒になって焼けこげている。
空っぽになって、砂に埋もれた井戸に。
干からびてひび割れた泉。
砂にまみれた石畳。
半分砂に埋まった家。
村の景色はとても荒涼としていた。
「数年前までは、緑あふれる土地だったのじゃが…。今はこの通り、草のひとつも生えないのじゃ。」
村長はそういって悲しそうに地面の砂をすくう。砂はその指の隙間から漏れ、地面に山を作る。
「大丈夫です。」
村長の砂を抱えた手を砂がこぼれないようにそっと包み込むあたし。
「あたしたちがこの村を救いますから‼」




