第十九章 王様?皇帝?巨大石像の謎
☆お知らせ☆
2026/2/23 19時改稿 細かな描写と会話をましましにしました。
雲が通り過ぎ、月明りでだんだんと、明るくなってくる暗闇。
天上に空いた穴からところどころに光が落ちてきて、さっきまでは暗闇が広がっていた建物の奥まで見える。
手前には思ったよりもたくさんのイスがあって…。
真ん中にはところどころ穴の開いた古びた赤いカーペット。
そして一番奥には…。
「なにあれ?」
とっても大きな何かがあった。
☆☆☆
「これは石像?」
そこにあったのは天井まで届きそうなくらいに高い彫像。
ホントに奥の奥、一番奥に安置されている。
さっきまでの暗闇じゃ、全然見えなかった。
ちょうど、像の真上に窓が開いていて月の光があたり、よく見える。
大理石かなんかなのかな?全体的に白っぽいよくある彫像…。
しばらく誰もきていないのか、ところどころに埃と蜘蛛の巣。
あたしたちが近づくと蜘蛛の巣に張り付いた蜘蛛さんがいくつあるかわからない目でこっちを見てくる。
警戒でもしてるのだろうか?
それとも久々に人型のものを見て緊張しているのか。
「それにしても、何の像だろ?」
顔は埃をかぶっていてよくわからないし、あちこちに蜘蛛の巣があってその上から埃が堆積しているから、さらにもっとよくわからない。
「というか像の原型もこれじゃ、読み取れないわ。」
「人間の偉い人の像じゃない?いわゆる偉人ってやつ。」
「んー。それにしてはこう体積がでかくないかしら?後ろにもなんか装飾ついてるわよ?そもそもこれ人間なの?」
確かにマリアの言う通り、後ろにもなんかついてる。
「これ後ろについてるのロケットじゃないわよね?」
なんかぶつぶつ言いながら、マリアが像の後ろに回り込み調べているけど…。
「いや、人間にロケットはついてないでしょ?そんなに人間って丈夫?」
「まあ、でも、生身で宇宙行くとかそれ、私たちでも難しいからね。」
「それか薪とか背負子、まさかりでもしょってるとか?」
「いや、そんな形じゃないと思うけど。覗き込んでも、分からないわね。少なくとも、筋骨隆々の全裸の像とかではないのは確かなのだけど…。」
「うーん。あたしが見てもさっぱりだよ?」
というか人間見たことないし、あたしたち。
でも普通の人間と違うならちょっと特殊なヤツ?
これがその〝ぱりぴ〟っていう特殊な種族なのかもしれない…。
ということはあの後ろの装飾は、もしかして浮き輪?
夜な夜なプールに集うための?
え、でも〝ぱりぴ〟の偉人ってなんだ。
そんな奴いるのか?
「いや、でも偉人の像か…一理あるかもしれないわね。私たちの学園にも、初代校長先生の像とか有名な音楽家の像とか飾ってあるし?アリア覚えてる?」
「なんとなく。ずっとこっち見つめてくるやつだよね?あとたまに首が取れる。」
「いや、私、七不思議の話してないから…。というかそれ、美術部の子が落として割っただけよ?ずっと見つめてくるのはこっちが興味津々でずっと見てるからだから…。校長先生のは覚えてるでしょ?」
「???いやまったく。」
全然興味のないものは覚えない…あたしはそういう主義の人間である。
そもそも、音楽室の彫像もよく覚えていない。
変なことだけはよく覚えているのだ。
「覚えてないか?でも有名な人の像には間違いないと思うわよ。それに像って高いし。」
「有名な人って言うと人間でいうと王様とか皇帝とか…。そういうこと?」
「そうね…。私たちで言うと大天使とか神様だけど。人間で言うとそうなるわね。」
「あとは岩飛…。」
「なぁに?イワトビって?」
首をかしげるマリア。
「人間の中でもものすごく眉毛が太い種族?なんだよ。なんだ、マリア?知らないの?」
で、確か、眉毛は黄色。
あたしってば物知りだな。
もしかしたらあたし、ちゃんと授業聞けば、ラジエルぐらいは抜けるのでは?
「なんか自慢げにしてるとこ悪いんだけどさ。それ…二足歩行は二足歩行でも人間じゃなくてぺ・ん・ぎ・んってやつだけど。」
「ぺ・ん・ぎ・ん?」
「ぺ・ん・ぎ・ん。に・ん・げ・ん。語感的にはほとんど一緒だけど。だいぶ違うよ?魚食性で常にスクワット状態の筋トレ系、鳥類だよ?」
「…なんか強そうだね。普段は足枷してるってことでしょ?本気出したらやばい奴。」
「いや、結構、可愛いけど。えっとね。図鑑かなんかに載ってたはずだけど。持ってきてないんだよね。見せたいけど。」
「なーんだそれなら、これで検索すればいいじゃない。」
カミホを取り出して、検索かけるあたし。
ぺんぎん…っと。
えっ…。
「ん?圏外?え?使えないの?」
電波マークにバツ印がでて画面はトイレの渦みたいにぐるぐる。
「うん、ここ電波飛んでないからカミホは使えない。私たちの知識だけが頼りよ。」
「えっとね。ペンギンさんはこんなのだよ?私、絵、得意じゃないからだいたいだけど。」
台座の厚く埃の積もったところに指で絵を描き始めるマリア。
「まずくちばしでしょ。あとプリッとしたおめめとぷっくりしてもふもふのお腹と翼、かわいい黄色いアヒルみたいな足。」
「え?なんかかわいくない?天界にはいないの?」
「そりゃ、飛べない鳥だからね。天界には来れないよ。」
マリアがふっと指についた厚い埃を息で吹き飛ばしながら答える。
なんかダイヤモンドダストみたい。
いや、タダのダストなんだけど。
「それにしても…これって…どこかで見たような気が。」
台座の部分を見つめるマリア。
「そこさっき落書きした隣だよね?」
「そう…なんだけど。これたぶん、書いてあるわよ。何の像なのか?」
そこにあったのは像によくある、石板。
「ちょっと埃でよく見えないけど。アリア、ここ照らしてもらえる?」
本体は蜘蛛の巣と埃でわかんないけど、ここを見れば一目瞭然ってわけね。
さすがマリア。
「よっと。」
一時的にその辺に立てかけてあった松明を台座に近づけるあたし。
松明の燃えるジッジッッという音が響く。
そこには何かしらの文字のようなモノ。
よくは見えないけど何か書いてある…。
「えっと。ミ…?」
埃がついていてよく見えない。
ためしに指で文字の埃を拭ってみるあたし。
「カ?」
長年の埃…。ばっちい。
指には1㎝ほどの分厚いほこり。
指をフリフリして、ぱっぱと払う。
「これなんか、手で触るもんじゃないね。ダイヤモンドダスト(ダスト100%)があたしの手の上で闊歩してるよ。」
思わず、くしゃみが出ちゃいそうなほど、分厚い埃。
はっくちゅん。
「アリア大丈夫?」
周囲に舞い上がる埃の束。
心なしか、月明りに照らされ、輝いているように見える。
なんてロマンチック。
「とりあえず、手で拭うのやめよ。ばっちい。」
「実はさっきその辺で雑巾拾ったんだけど…。」
「え?なんだ、あるじゃん。」
マリアからそれを受け取るあたし。
「でも茶色いな…。」
経年劣化でもしてるのかな?
「でも、指で拭う方がヤバくない?」
「ヤバい。」
それに賛同するあたし。
指で先ほどふき取った部分に続く、文字列についた埃を経年劣化した古雑巾で拭いとる。
「エ?」
「ル?」
続けて読むと…。
「ミ…カ…エ…ル。」
「えっ。それって。」
『ミカエル様?』




