第十八章 森の中で見つけたおおっきな☆三角屋根の神殿
「ね、これとか使えそうじゃない?」
椅子は半分くらい朽ちているものもあるけど。
半分くらいは使えそう。
使えそうというのは今日は地べたで寝なくて済みそうということ。
地面じゃ、背中痛いし、羽擦れるし。
さすがにベッドまではないけれど。
「試しに座ってみる?」
と、勧めてくるマリア。
「よっと。」と腰を下ろすあたし。
「どう?いい感じ?」
「いや、なんかちょっとギシギシしてて、危うい感じだけど。」
「ふーん。私も座ろっかな。ずっと立ちっぱだったし。」
「でも、なんか、ギシギシするよ?二人はやめといたほうがいいかも。ほらこう左右に重心をかけて揺らしてみると…。」
次第に大きくなるギシギシ音。
そして、臨界点に達したのか、次の瞬間、バキッという音。
ドスンと思いっきり尻餅をつくあたし。
「いててててっ。」
お尻をさすりながら立ち上がる。
「大丈夫?」
と言って手を貸してくれるマリア。
見れば、長イスの足がぽっきり折れていた。
「ちょっと、腐ってたっぽいね…。」
☆☆☆
「で、アリアは今日はこの椅子で寝るってことでいいの?」
「いや、寝ません。」
「でもほらちょうど、足折れたことで角度がついて。いい感じだよ?」
「いや、このパターンはきっと、まだ無事なほうのイスの足に重心をかけたとたん、また、ぽっきりいくやつだよ。」
☆☆☆
今日の寝る場所探しに夢中になっている私たちのもとに真上から光が差し込んでくる。
「もしかして、雨あがった?」
「うん、たぶんね。月みたいなものも見えるし。」
あれは月でいいのだろうか?
天界で見るのより、だいぶ小さいけれど…。
暗雲が晴れてさっきより明るくなったのでよりはっきりと見える。
天井にいくつか穴が開いていてそこから、光の筋みたいなものが差し込んでいる。
これはたぶん月の明かり。
どのくらい雷雲の中を進んでいたのかわからないけれど…。
もう、地上は夜ということらしい。
「どうしたの。アリア、月なんて見上げちゃって。珍しくとも何ともないでしょ?」
そう声をかけるマリア。
「ずいぶん遠くに来ちゃったんだなって。思ってさ。だって月があんなに小さく見える。天界だと手を伸ばせば届きそうなぐらいにあったのに。」
「まあ、地上の方が月とは距離があるし…。当たり前だけど…。確かに今までいたところが遠くの世界に思えちゃうわね。降りてくるのはあんなに一瞬だったのに。」
届かない月に手を伸ばすあたし。
「まさか、本当に地上までこれちゃうなんてね。」
「なあに?アリア唐突に…。椅子で頭でも打った?それとも、独り言?」
「そういえば、月ってだれか住んでるのかな。」
ふとそんなことを思うあたし。
「月?そりゃまた、さらに荒唐無稽な話ね。行ったことないから分からないけど…。ま、いるとしたら、ウサギさんとかじゃない?餅つきでもしてるんじゃないかしら?」
あたしの問いかけに半分冗談で返すマリア。
「案外、あたしたちみたいに本当に住んでたりしてね。そしたら主食はにんじんになるのかな?」
「いや、ウサギって結構何でも食べるわよ?ニンニクとかはダメみたいだけど…。」
「え?そうなの?」
「うん、私も飼ったことないから分からないけど。あと、チョコもダメっぽいわね…。」
「ウサギさん、チョコダメなの?」
「いや、草食動物だからね?」
「え?聖ウァレンティヌスの日とかどうするの?」
「いや、それ、チョコじゃなくてもいいんだよ?というかウサギさんにその習慣はたぶんないと思うわよ?」




