第十七章 森の中で見つけたおおっきな☆三角屋根のし×で×
そこはどこまでも真っ暗な空間。
松明がなければ何も見えないし、何があるかもわからない。
というかあたし達入り口までしか見てないし、入り口があんなに大きいということは中も相当大きいはず。
ただ、入り組んでないし、モンスターいないから迷宮じゃないと思うんだよね。
「さすがに迷宮とかではないはずなんだけど。」
マリアもそう言ってる。
それに一応、奥まで確認しとかないと、獰猛で危険な地上の生き物がいるかもだし。
迷宮だったらミノタウロスとかいるだろーし。
そんなのに襲われて、ハイサヨナラはまっぴらごめんなのだ。
まあ、テセウスよろしく、倒せばいいんだけど。
「わっ。」
あっ、あたしの足が今、枝みたいなの踏んだ。
ぱきっという音がはっきりと聞こえる。
「いま…なんかいたよね?」
先陣を切るのはあたし。
マリアはあたしの後ろをついてきてる。
明るい松明を見失って、暗闇の中に取り残されないように。
「うううん、あたしが枝踏んだ音。」
「なんだ。」
とまあ、かっこよくいってみたけど…。
ただ、単にマリアは暗闇が怖いだけなのだ。
おまけにお化けに悪魔や怪異も苦手なのだ。
「怪異なんて、ワンパンしてやれば、やっつけられちゃうのに…。」
「いや、それ、ヤるのアリアだけでしょ?」
「まあね。」
行先が分からなくならないよう、石の壁に手を付けながら前へと進む。
「今のところ、一方通行だから、アリアドネの糸は使わなくてよさそ…。きゃっ、コウモリ?」
「うわっ、蜘蛛の巣だ。ばっちぃ。今、口に入った。うえ。」
「どんな味?」
「無味。」
「アリアぺっぺしなさい。ぺっぺ。」
時折でてくる蜘蛛の巣や蝙蝠をよけつつ、時に蜘蛛の巣に顔面ごと引っかかりながら前に進むあたしたち。
え?蜘蛛の巣食べるのはごめんだよ。
「もう人はさすがに住んでいなさそうな雰囲気だね。」
「まあ、こんだけ真っ暗だし、朽ちてるし、埃たまってるし、かび臭いし、同居人はコウモリ。あたしでもここに住もうとは思わないよ。」
「でも、今晩はここに泊まるんでしょ。」
「そりゃ、ほかに泊まると来ないじゃん。この辺に五つ星ホテルなそうだし、尾頭付きの鯛が出てきそうな旅館もない。というかここ以外だと野宿だし。それにそのための探索だから。」
「ただ、人の姿を一回も見てないのが気になるのよね…。雨だから今日はお部屋でゆっくりしちゃおってわけでもないでしょうし…。」
「少なくともここは住んでないよね。」
ただ、本当に人は住んでいなさそうな雰囲気を感じる。
それに人は夜は明かりを灯すらしいし。
夜な夜なプールで遊び惚ける種族もいるとかなんとか。
あれはなんていったけ?たしか〝ぱりぴ〟?ってやつ。
いくつか人間も種族が分かれてるみたいだからその一種なんだろう。
詳しくは私も知らないけどとにかくアゲアゲらしい。
会ってみたくは…ないな。ここは遠慮して進ぜよう。
どこか、外とつながっているのか、ザーザーと外の雨の音が聞こえてくる。
壁伝いに移動していると、ぱっといきなり壁がなくなった。
もう手をついて移動できるような壁はその先にはない。
どこか広い空間へでたのだろうか。
この先が奈落の底って言うわけでもなさそうだし。
床はちゃんとあるし。
怪物のいそうな気配もない。
ただ、松明をかざしてみたけど、奥までは見えない。
「結構広そうな雰囲気ね。」
「何かの施設だったのかな?」
「少なくとも個人宅ではなさそうよね。公共性のある施設なのは間違いないけど…。」
うーんと悩むマリア。
「まだ、もう少し調べてみないと…。結論は出なさそうね。」
「これはイス?」
松明で照らしてみるとだだっ広い空間にはたくさんの長椅子。
「こっちにもあるわね。」
その前にも、その横にも広がっている。
「こんなに椅子必要なとこって、結構限られるよね?」
「学校とか?ってことだよね。」
「うんでも、その割には机が…見当たらない。どちらかというと…。」




