第十六章 森の中で見つけたおおっきな☆三角屋根の〇×△×
ザッーと雨の降る中、森の中を走って行くあたしたち。
目指すはさっき見た人が住んでいそうな建物。
雨はいっそう、勢いを増して降ってくる。
「すごい雨。」
「早く、雨宿りしたいわね。」
服はもうびしょびしょ。
レインコートのポケットからは水。
それでも、ぬかるんだ、地面をブーツで蹴り上げ、前に進んで行く。
「見えた!!」
雨粒のシャワーの先にあったのはおおっきな三角屋根の白い石造りの建物。
雨雲のせいで…それとも地上では夜だからなのかな。
外観がよく見えないけどけっこう大きな感じがする。
雨の中、急いで駆け込むあたしたち。
☆☆☆
「ごめんくださーい。」
入り口には扉があるわけでもなく、何本もの柱の並んだ空間があるだけ。
「人は住んではいなさそうね。蜘蛛の巣張ってるし…。」
建物の隅に貼られた蜘蛛の巣を見て言う、マリア。
「しばらく使われていないのかしら?」
それを近くに落ちていた枝でくるくると巻き取りながら、払いながら進むあたし。
通路の中は真っ暗。
使われていないであろう古ぼけたチェストには分厚いほこり。
指でぬぐうと跡もくっきり。
「やっぱり、誰も住んでいないのかな?」
ひとまず、びしょびしょのリュックサックを入り口で下ろすあたしたち。
レインコートから滴る大量の水。
建物の外は相変わらずの大雨。
服を絞れば、これまた、大量の水。
そしてブーツを脱げば、中から大量の水とそして…魚。
ぴちぴちぴちっと床の上ではねる。
きみ、今日の晩御飯第一候補ね?
☆☆☆
「いったいどこで?入ったんだろ?」
「川じゃない?ほら、途中にあった。雨で増水してたし…。」
「じゃあ今日の晩御飯、これに決定だね。というかこの魚って食べて大丈夫なヤツ?」
「…。見たところ、ブルーギルってやつじゃない?だいぶ小さいけど。」
しゃららん(謎効果音)
「今日のごはん~たまたまブーツに入ったおさかなを添えて~」
「いや、食べれるけど…。水質悪いところのはおいしくないわよ。というかちっちゃくて食べるとこないし、ギルで鯛でも釣ったらどう?」
☆☆☆
「とりあえず。まずは、火よね。それに服を乾かさないと。」
入り口は外からの光で多少、明るいけど、中は暗め。
明かりも欠かせないし、何より、寒い。
それにかび臭くて湿っぽい。
あと、虫よけ。
夜はブンブン、ブンブンうるさいし。
朝になったら、血を全部吸われてミイラになってるかもしれないし。
明るい火をたいて、魑魅魍魎の類を寄せ付けないようにするのだ。
地上はキケンでいっぱいだしね。
あと、濡れた服も干さなきゃ。
そばにあったイイ感じの木を物干しざおにして…。
イイ感じのかどっこに掛ける。
これでよしっ。
あとは…。
火だね。
「ええっと、まだ、湿ってなさそうなやつ…。」
その辺に落ちているまだ、湿っていない乾いた枝と落ち葉を集めるあたし。
外に近いとこの落ち葉はだいぶ湿ってて使えなさそうだから、奥の方の吹き溜まりになってるやつを使う。
下は腐葉土になってて虫さんのすみかだから上の方だけ頂戴して。
「あっ。ダンゴムシ。いや、きみは食べてもおいしくなさそうだから逃がして進ぜよう。」
あっ、丸まっちゃった。
そして同じくその辺に落ちていた石?というか建物のはがれた破片みたいなもので丸く囲って…。
真ん中に乾いた枝と落ち葉を積み上げる。
そしてあとは、天界から持ってきた火打ち石でかんかん。かんかん。かんかんかん。
ばちっと散る火花。
その辺で拾ってきたもじゃもじゃした枯草に火種をともして。
後はひたすら吹く。
火が付いたら落ち葉の上に落として、あとは羽で仰ぐ。
吹き飛ばしちゃいけないから、加減が難しい。
あそっか、遠くから仰げばいいんだ。
良い子はマネしないでね。
天界式火起こし術。
そして、ぼっと落ち葉から徐々に広がっていく炎。
火が付いたら、太そうな枝はあんまりなかったので…仕方なく細い枝を投入。
手をかざせるぐらいの勢いになってきたら。
「じゃっ、じゃーん。」
焚き火かんせー。
あとでマリアに普通に仰げばいいじゃんと言われたけど、まあ、確かにそうである。
そして次はサバイバルの定番。お水の確保。
と言っても、もってきた鍋を外に並べ、雨水をあつめるだけなんだけど…。
「あれ?よく考えたらマリアのフライパンしかない?」
それじゃ…。
「あるわよ。一応持ってきといた。しかも大きい奴。」
そういって地面に置いたカバンから、大きな寸胴鍋を取り出すマリア。
「念には念をね。」
「なににしようかしら。お水はこの雨で十分だし…。スープでも作りましょうか。具材も、いくつか天界から持ってきたやつがあるし…。」
ぶつぶつ言いながら、干し肉とジャガイモその他色々を取り出すマリア。
「ジャガイモは皮を剥いて、雨水は沸騰させて…。」
ツインテールを解き、後ろで髪を結ぶ。
「これで準備OKね。」
☆☆☆
マリアが焚火の上に、雨水の入ったお鍋を置く。
「うん、イイ感じ。」
「あとは沸騰させて。煮沸するだけ。」
「煮沸には時間がかかるから…。」
うん、またぶつぶつ一人でしゃべってる。
その間に…。
その辺に落ちていた手ごろなサイズの木と…。
余ってた布を巻いて…。
天界から持ってきた油をしみこませれば…。
特製のトーチの完成‼
火打石で火をつけて…。
アチッ。
「いざ、冒険の旅へ‼」




