第十三章 雷雲、雷雲そしてまた雷雲
ごろごろぴっかーん。
遠くの方から聞こえてくる雷鳴、稲光。
遠くの空には、真っ黒な雲、徐々にこちらへと向かってくる。
雨が降り出しそうな、なんだかとってもよくない予感。
「どこか、雨宿りできる場所を探さないと。」
いまあたしたちがいるのはかつての天界第二階層。
今はもう使われていないかつての天界。
あちこちに折れた神殿の柱が転がっている。
雨宿りできそうな、屋根や建物はどうやら見たところなさそう。
柱はあっても肝心の屋根が抜け落ちてない。
というかさっきの滝壺ですでにびしょ濡れだから、ま、あんま関係ないんだけど。
ごろごろどっかーん。
再びとどろく雷の音。
さっきのものより大きく、より近い。
そして、サッーと急に降り出す雨。
「地上まではあともう少しのはずだけど…。」
天界第二階層の地図とコンパスを見て方角を、確認するマリア。
地図にはポツポツと雨のシミ。
既に天界は遥か空の上、後戻りはちょっときびしい。
「地上で雨宿りできそうな場所を探すしかないね。先を急ごう。」
再び、羽を広げ暗い雲の中を進んでいくあたしたち。
視界は不良。
横殴りの雨が目に入ってきて痛い。
時折、雷で黄色く光る雲。
遠くの方で聞こえていた雷鳴がだんだんと近づいてくる。
「そろそろ、地上が近そうだけど…。」
「これじゃ、何にも見えないよね?」
雷雲の中に入ってしまったみたいで、あたりはものすごい雨と風。
当然、羽衣もバタバタと揺れる。
氷のつぶても飛んでくる。
うん、ちょっと固い。
「マリア、つかまって。」
手をつなぎ、雷雲のトンネルを抜けていくあたしたち。
ほっぺたを打つ雹がめちゃ痛い。
周りのトンネルみたいな雲からは雷、そしてまた雷。
龍のように脈動し、あたしたちを囲い込む。
「下降気流に乗っちゃったかも。」
「なにそれ‼」
声の届きにくい暴風雨の中、会話するけど…。
すっごく聞こえにくい。
「このまま、行くと地上にたたきつけられるかもしれないってこと…‼」
「まじで?」
「まじも、マジよ。早くしないと吸い込まれるけど…。」
ものすごい風で雲の中に吸い込まれていくあたしたち。
「離脱すればまだ…。」
「離脱しようにも、離脱できないわよ。そもそも雨じゃ、鳥だって飛ばないんだから。私たちの羽にだって、水滴つけば、重くもなる。私たちには不利な天候よ。だから、地上まで離ればなれにならないように…。」
強風の中で離れていく手と手。
「ってアリア?アリア?どこ行ったの?」
ごろごろどっしゃーん。
再び轟く大きな雷鳴。
渦巻状の雲に巻き上げられ、吸い込まれるように雲の中へと。
真っ暗な雲の中でフラッシュする視界、びりッという音。
視界がまっ黄色になったあと、あたしは意識を手放したのだった。




