第十章 天界大図書館のひみつ☆そのさんっ
「じゃ、やっぱり行けるってこと?その地上に‼」
「言ったでしょ。その方法じゃ無理って。別に行けないとは言ってない。マリア手を貸して。」
カウンターの上に本を照らすランプを置き、積み重なった本と資料をどけるラジエル。
「アリアちゃん、天界のすぐ下には何があるでしょう?」
「地上‼」
「はい、不正解。」
ぶっぶっー。
変な機械から変な音を出すラジエル。
しかもその機械にはバツと表示されてる。
なるほど、不正解ってことね。
あたしでも分かる。
っていうかそれ?もしかして手作り?
「はい、これ、残念賞の飴ちゃんよ。」
「ありがとう。」
なんか、しれっと、可愛いものくれた。
「地上はその下にあるの。私が言ってるのはその間のこと。」
「ん?」
そんなんあったけっ。
「天界第二階層ね。あと、もうひとつは地上の雷雲。常に雷の落ちる危険地帯。」
「さすがは、学級委員長。そう、かつて、使われていた天界第二階層。今はもちろん使われていないけど…。そして、地上に至るまでの雷雲地帯。この二つを通り抜けないと、地上へはたどり着けない。それに普通に飛び降りたらさっきも言ったけど、地面でペシャンコになるだけ。」
「でも、ひとつだけ方法があるの…。」
「ほらこれ、大昔の伝説なんだけど。」
そういって、ラジエルはどこから出したのか、手にずっと抱えていた本をどさっと机に置く。
「えええっと、何ページだったかしら?確か、このへんかその後ろあたりに…あったあった。」
ペラペラと分厚い本のページをめくるラジエル。
「ああ、これ、これ。」
「もう読みすぎて、本に癖がついちゃってるのよね。ちなみにコレは私の私物で私の愛読書。図書館には置いてない世界に一つしかない貴重な本、うちで代々引き継がれてる大切な本なの。だいたいのコトがこの本に載ってるから何か調べたい時はこの本を使うの。もちろん本に載ってないことはわからないんだけど…ね。」
一枚の絵を指し示し、本を見せる。
「ほら、ここを見て。」
そこに描かれていたのは、大地に降り立つ天使の絵。
すんごく古いのかな。
昔の人がよく着てそうな神話っぽい服を着て、何か布っぽいものを羽織っている。
いつもと違うのは…。
そこが白い雲じゃなくて、真っ黒い土の上ってこと。
「もしかしてこれ、大昔に地上に降りた天使の絵?」
「それに肩に何かかけてる…?」
絵には肩のあたりから宙に浮く布が描かれている。
「なるほど、天女の羽衣ね。」
「聞いたことがあるわ。大昔にそれで地上に降りたっていう天使のおとぎ話。」
「そっ、それよ。大当たり。」
今度は〇の表示をするラジエル。
「あと、この木何の木?」
絵の中にあるちくちくした木を指すあたし。
たまにこういう頭いるよね。
「ああ、それクロマツってやつらしいわよ?いくつか種類はあるみたいだけど。」
それに返事を返すマリア。
「あとね。その木間違えて着地すると…。お尻が痛いので絶対に着地しないこと…をオススメするよ。お尻に穴開いちゃうからね。間違って着地すると…。」
「え?」
「こう一つ一つの葉が針みたいな形状してるのよ。」
「剣山ってこと?地上にはやばい植物が生えてるってこと?そりゃまじやばだね。」
☆☆☆
「で、これを使って地上に降りるってわけなの?」
「そう‼︎」
えへんと胸を張って答えるラジエル。
「でもこんなのどこにあるの?天界博物館にも、こんな収蔵品はないはずよ。もう、とっくの大昔に焼失したって…。」
「ふふん。ちょっと待っててね。」
そういってラジエルは机の下からどう見ても重要そうな、鉄製の長方形の宝箱を取り出す。
「なにそれ?お宝でも入ってる?」
「大事なものはここにしまってるの。宝箱というよりはからくり箱って言った方が近いかもだけど…。」
「アンロック(解除)。」
天使の翼の紋章がクルッと回転し、鉄の板が跳ね上がる。
「うわっ。あぶなっ。」
上から見てたら頭ぶつけるとこだったよ…。
そしてその中からシルクみたいな虹色に輝く布を取り出すラジエル。
「物がないなら作ればいいの。物は消えたとしても知識は消えないから。」
「はいこれ、二人分。」
「いつか、行ってみようと思って、作ってたのよね。羽衣。なぜか二人分、これ、あげるわ。」
「え、イイの?」
「私、別の調べ物があるし、というか、作ったはいいけど…。地上に行く勇気までは持ち合わせてなくて…。ただし、研究中だから取扱には十分注意してね。あと、本物じゃないただの模造品だから、途中で壊れてしまうかもしれない…それでも行く?誰も知らない未知の世界へ。」
『もちろん。』
二人そろって同じ返事をするあたしたち。
「じゃあ、必ず戻ってくること。これは私との約束。いい?何があっても必ず戻ってくるのよ。」
「うん。ありがと。」
「それと…。地上の感想教えてね。」
階段を下りる途中で、ラジエルのそんな声がしたような気がした。
☆お知らせ☆
2026/2/28改稿 全体的に調整しました。ラジエルの口調を変更しました




