第八章 天界大図書館のひみつ☆そのいちっ
放課後、学校の木製の階段を上るあたしたち。
「ところで、あたしはどこに連れてかれるの?」
前を行くマリアに問いかける。
「こんなんとこ来たことないよ?なんなら、入学の時のオリエンテーションの時以来だよ?」
「そりゃ、アリアが縁もゆかりもないところだからね…。」
「まさか、学園の七不思議のひとつ、あるはずのない地下牢…にあたしを連れて行こうと…。」
「それ、アリア、自分で答え言ってるでしょ?あるはずないって。この学園、城とか砦だったことないのよ?それに、今、私階段上ってるの?わかる?」
「…。言い返す言葉もないよ。」
そりゃ、上階に地下牢はないよね…。
「ここよ。」
天界大図書館と書かれたやたら看板の目で立ち止まるマリア。
「なんだ、図書館じゃん。あっ確かにここなら、オリエンテーションの時だけ、いや、それ以外で一回来たな。」
「何しに来たの?」
「え?窓際の陽の当たる席で、羽の天日干し…。」
「え?それ家でやってくんない?バルコニーとかで干せばいいでしょ?」
「いや、あたし、布団じゃないから。」
ギシギシとなる古い階段を登った先にあるのは天界学校の最上階、天界大図書館。
女子にはやたらと重たい、豪華な装飾の扉を開け中へ入る。
夜になったら星も見えるし、天体観測もできるってオリエンテーションの時聞いたような気がする。
あとお昼寝できる。
「ここには古今東西のあらゆる本が集まってるのよ?まあ、アリアにとっては至福のお昼寝タイムかもしんないけど。」
「今、あたしの考え読んだ?」
「読んでないし。というかそれ、いつものことだからね?気づいてないかもだけど。」
「え?あたし表情でるタイプ?」
「…。まず、ヨダレ拭こうか…。」
☆☆☆
「この時間帯なら、ここにいるはずっ…。」
重厚な扉にたどり着くとそっ~と開けるマリア。
本の保全のため、大きな窓は青いカーテンで閉ざされ、隙間から日が差し込んだ光が床をてらす。
「これじゃ、お昼寝できなくない?」
「あのね。直射日光は本を傷めるの。全部、日光が当たるところには置いてないでしょ?」
目の前には大きな湾曲した階段が二つ。上の階の書庫へと繋がっている。
壁面には天使の白く美しい彫刻とステンドグラス。
2階まである図書館の棚は本で埋め尽くされ、天井まで本が積み上げられている。
「取れない本は移動式の梯子でとるのよ。飛んで探す人もいるけどね。まぁ、借りたことないからわかんないんだろうけど…。」
少し、ほこりっぽい。そして本のにおい。
とにかくあたり一面、分厚い難しそうな本でいっぱい。
こっちはえっといっぱ…んそうた…いせいり…ろん、こっちはらんげ…るはん…すとうたんほう…き、おるれ…あんのお…とめ。
何言ってるかさっぱりわからないような難しい本ばかり。
確かにここはあたしの来るところじゃないな。
普段なら絶対入らないところ。
それに比べ、ズンズン、広い図書館の中を進んで行くマリア。
週に何回か、借りに来るらしいから、あたしより、ぜんぜん詳しい。多分どこに何の本があるかわかってる…。
というか本を探しに来たのかな?
さっきは誰かに聞いたみたいなこと言ってたけど…。
「ラジエルいるー?」
天井まで聳え立つ本棚の壁の中でそう、声をかけるマリア。
本棚の表示を見れば、歴史。
びっくりした、てっきりしゃべる本かと思ったけど。
いや、そんな本存在しないか。
ていうかその名前、隣のクラスの子だ。
あたしはそんな仲良くないというか、接点すらない。
いつもマリアと成績表の中でドンパチ日々、抗争を繰り広げている…。
てっきり仲悪いとか勝手に思ってたけど…。
なんだ。仲いいじゃん。
「なぁに?」
「あらマリアじゃない。」
「何?今日は私、当番じゃないんだけど…な。」
頭上から聞こえる可愛げな透き通った声。
というか声しか聞こえないんですけど。
かくれんぼでもしてるのかな?
というかこっちからは見えないけどどこにいるんだろ?
図書館でかくれんぼしちゃめっだぞ。
「本借りるなら…向こうにいる図書委員の子に頼んでよ。今カード目録整理してるから、いつものとこにはいないと思うけど…。」
「そうじゃなくて…。」
「?」
「何、私?」
「私に?用?」
上を見上げると本をひらいたまま、羽を開き、足をパタパタとしながら降りてくる金色の髪の女の子。
「私に何か用かしら?」
☆おしらせ☆
2026/2/27修正
一番下から二番目からの描写を追加しました。




