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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
2章 人間たちは

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65マモ 電車決戦

「あの大蛇に飛び乗れと!? 連結部分を外さなくても超電動砲で倒せるんじゃない?」


『その可能性は高いですが失敗した時はマモベースを喪い、退却することになるのですが、それでも良いなら提案を取り下げます。壊れたら、また新しいマモベースが必要になると思いますけど』


 私はどちらでもいいんですけどと、のほほんとした口調で言ってくるレイ。レイにとっては、たしかにどちらでもよいのだろう。だがマモベースが破壊されるのは困る。新造艦を造れるほど、経験値には、余裕がない。


「むむむ、とりあえず理由を教えてよ」


 ゾンビたちを倒しながら、俺は廃ビルに掠るだけで崩壊させて、家屋や放置車両を石ころのように踏み潰す総武大蛇の様子を見て、視界に入り切らない大きさに冷や汗をかく。あれに乗るとか勘弁して欲しいんだけど?


『総武大蛇は12両編成の電車ですが、大きさが普通ではありません。一車両が空母並みに大きいので、超電動砲で破壊しようとしても、蛇行していたならば直線的な光線では最後方などは当たらないかもしれないのです。なので連結部分を外して、できるだけ逃す危険を排除します』


 正論だった。なにせ頭が潰れても復活できる化け物だ。一撃で全てを倒さなくてはならないのに、総武大蛇はあまりにも巨大で、回避される可能性は少なからずあるのだから。


『切り離された車両は生命としての存在を失います。そして、総武大蛇は自らの巨大な身体に振り回されて、金属製の身体ゆえに尻尾が徐々に切り離されていることに気づかないはずです』


「マレージャーの時の手足と同じパターンか。視覚のみでしか、自分の体を認識できないなら、上手くいくか……上手くいくかぁ?」


 遊弋する巨大な大蛇。その列車の身体に存在する連結部分は遠くからでも視認できて、家を引っ張っていけそうな大きさだ。生半可な攻撃だとびくともしなさそうだけど……。


「ぬぅぅ、でも選択肢はないか! 仕方ない、ガーブッ、俺を総武大蛇の尻尾まで運んでくれ!」


「ん? なにかよく分からんけど、分かった! ガブウイーング! 運んでやるから俺様の手を掴め!」


「助かる!」


 天マモードで、ちっこい天使の翼を生やしたガブが真希の手を掴むと羽ばたいて空へと飛ぶ。理由を聞かずに指示を聞いてくれるから心強い仲間だよ、まったく。嬉しいじゃん。


「ロロも行くうさ! なにか分からないけど、活躍しろとロロの心が叫んでるうさよ!」


 甲板から真希の足が離れ始めると、ロロも真希の足にしがみついて、俺たちはマモベースから飛び立つのであった。


 甲板から空へと飛び立つと、風圧が肌を襲い、浮遊してお腹がムニッと押される感覚が少し気持ち悪い。


「うわぁ、こうやって空から見ると壮観だなぁ、場違いだけど、感動しちゃうよ」


 空から見ると、暴走にも近い速さのマモベースも凄いが、その速さについてくる総武大蛇が這って進む姿にも恐れよりも感動を覚えてしまう。


 マモベースも総武大蛇も走ったあとは更地へ変えて、全てを破壊していく巨大な災禍にはある意味で目を奪われる光景であった。


 だけど感心するだけでは駄目なのだ。あいつを倒さなければならない。


「いっくぜー! しっかりと捕まってろよ!」


『プレイヤー。確実に倒すには4車両くらい切り離してください!』


 ビュービューと風が吹き荒れる中でガブは総武大蛇に近づこうとする。


「あぁ、え~と、1車両毎に連結機を破壊なんかやってられないし胴体の半分くらいに着地を━━」


 レイの言うとおりにするけど、ゲームみたいに、一つずつではなく、現実は裏技じみた方法でクリアが一番速い。なので近づこうとするが、ふらりとガブは揺れると、電車の最後方に落ちるのであった。


 コロコロと転がり、なんとか止まるとガブがテヘヘと舌を出す。


「人を運んで飛ぶのは初めてだから疲れちゃったぜ! 少し休んでから、また飛ぶから待ってくれ」


「しょうがないなぁ。それじゃ、回復するまでに、最後方の連結機を切り離すか」


 ゲーム的な展開だなぁと苦笑いしつつ、周りを見る。8車線を埋める横幅なだけあってかなりの広さだ。ブレーキを忘れたかのように走行するので、少なからず揺れるが、体術レベル3となり達マモとなった俺にとっては、地面と変わらない。


 ゾンビを吐き出したために、静かなものだしね。


「━━とはいえ、この巨大な連結機をどうやって破壊すれば良いんだ?」


 巨大な鉄の塊なので、全力のマーモットクローでも連結機を斬る自信ないんだけど?


「ここはロロに任せるうさ! ロロの持つ双銃の一つ『干将』は物事に干渉するうさ! 分子構造を緩めて柔らかくしたり、魔法構造を歪めて、崩壊させたり━━結合機の結合を緩めたり!」


 ロロが巨大な連結機に干将を向けると引き金を引く。


「干将は敵を撃つこともできるけど、神秘の力を放つこともできるうさよ!」


 銃口が光ると、光線となり放たれる。巨大な連結機に比べると細くか弱い光に見えるが神器と名乗る力は本物であった。


 ガクンと連結機が揺れるとびくともしなさそうな、巨大な連結機部分のハサミが離れていき、連結が外れる。一度離れると脆いもので、車両は揺れると、離れていく。


「ナイスだ、ロロ! ガブ、俺の肩に乗れ、ジャンプするぞぉ!」


「捕まるうさ!」


「一休みだかんな!」


 離れていく車両を勢いよく走り、次の車両へとジャンプする。距離にして十メートルはあるが、高ステータスの真希の足はひとっ飛びで次の車両に着地するのであった。


「あと3両だ、ロロ!」


 まだ異常に気づいていない総武大蛇を見て、今のうちと全力で駆ける。乾いた金属音を聞きながら、次の連結機に到着すると、ロロが素早く干将を連結機に向ける。再びの光線で連結機を外すと、最後方の車両が横転して、耳をつんざくような轟音で転がっていった。


「あと2両だ、ロロ!」


 またジャンプで次の車両に着地するが━━。


「キシャアァァァ!」


 高音の叫びと、車両の激しい揺れでさすがに立ち止まってしまう。見ると、総武大蛇が己の体が切り離されたことに気づき睨んでいた。


「どうやら、見つかったよううさ!」


「わかってる! 急いで次の連結機に、うわっと」


 蛇行し始める総武大蛇に、よろけてしまう俺たち。


「見ろよ、車両の屋根が開くぞ!」


「どうやら車掌さんは乗っていたみたいだね」


「やけにゴツい車掌うさね!」


 車両の屋根が開くと、グローブのように大きな手が屋根をつかみ、体を持ち上げて外に出てくるゾンビたち。他のゾンビたちと違い、筋肉隆々で金属の光沢を持つ青い車掌服を着る鉛色の肌の大男だ。


「ムチンジョウシャハコマリマスゥゥゥ」


 その数は3体。どうやら俺たちを追い出すために来た模様。


「切符を買いたいけど、いくらかな? 支払いはカードでオーケー?」


「ムチンジョウシャハコマリマスゥゥゥ」


 俺の軽口に反応せずに、車掌ゾンビたちは走り出す。重量感を感じさせるドスドスと重たい音を立てて、意外にもその走る速度はフルアクセルのバイクのように速い。


『総武大蛇を守るために作られた特別なゾンビで、怪力に高い防御力に加えて、体術もある程度使える強敵です。スーパーゾンビと名付けました!』


『車掌ゾンビの方が弱そうで良かったなぁ』


 迫るスーパーゾンビが大きく腕を振り上げる。風の壁を貫き、砲弾のような勢いで拳を繰り出し、俺を砕こうとする。


 俺はわずかに体を傾げて、紙一重で拳を躱すとクロスカウンターでスーパーゾンビの顔に拳を叩きつける。カウンターでの一撃だ。真希の高ステータスもあり、風船のようにスーパーゾンビの頭は破裂するかと思ったが、硬い手応えとわずかにしかのけぞらないスーパーゾンビを前に驚く。


「マジか、こいつ硬いぞ!」


「おりゃぁ、このガブ様のマーモットクローを喰らえっ! ええっ、かたっ、こいつ硬い! メタルスライムかよ!」


 ガブも同様にマーモットクローで引き裂こうとするが、肌にかすり傷がつくだけで、ガブが俺のアイデンティティがと、ぽかんと口を開けて唖然としていた。


「魔力障壁うさね! こいつら魔力が尽きるまで攻撃して倒すしかないうさ!」


「ちっ、やけに高い魔力を持ってるな、こいつら!」


 話しながらも、左からのフックをスウェーで躱し、拳が空を切りよろめくスーパーゾンビに蹴りを入れる。やはり硬い感触で手応えがない。


 次のスーパーゾンビが16文キックを繰り出すのを、横にステップをして足を掴み押し倒すと転がったスーパーゾンビにストンプを入れる。


 怯まない前のスーパーゾンビは、再びのストレートでの一撃を放つが手のひらでそっと添えるかのように拳の軌道をずらし、ニーキックを顎に食らわす。転倒したスーパーゾンビが立ち上がろうとするので、体を翻し舞うように回転蹴りにて側頭に強力な一撃。だが、いずれも鉄の塊を蹴っているかのように硬い感触で、スーパーゾンビには攻撃が通用しないようだった。


「ぬぉぉ! 二人を合わせろマーリン。ギュイーンスイング!」


「オーケーだ!」


 ガブが残るスーパーゾンビの足を掴むと、怪力を見せてぶん投げるので、俺はスーパーゾンビへ足払いをすると、その軌道にねじ込んで転倒させるのであった。


「ナイスうさ! その間に、連結機を解除するうさよ!」


 俺たちがスーパーゾンビたちの相手をしている間にロロが次の連結機へと干将を撃ち込む。ガクンと車両が揺れて、連結機が徐々に外れそうになっていき━━。


「キシャアァァァ!」


 総武大蛇は吠えると、高層ビルへと突撃していく。轟音と共に総武大蛇が高層ビルを砕きながら突き進む。どうやら俺たちを振り落とそうとするつもりのようだ。さすがに高層ビルの崩壊に巻き込まれたら、俺たちもヤバい。


「残り1両なのに、最短コースは終わりのようだね」


「ロロは諦めが悪いうさよ」


「俺様の翼を回復したぞ! 離すなよ!」


 高層ビルが崩壊し、瓦礫が豪雨のように降り注ぐ中で、俺たちはガブに捕まり、空へと飛ぶのであった。


 残るは1両。スーパーゾンビの追跡を躱しつつ、連結機を外さないとな!

 

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― 新着の感想 ―
外した電車も資材として後で回収するかな? 稾製じゃないと巣に使えないと捨ててっちゃうかな。
車掌が切符拝見に来るタイプの総武線⁉ ムチン乗車がダメならユウチ…何でもありませんごめんなさい。
なーんだ、マモベース量産はされないのかー。陸上艦隊組むと思ったのに。艦隊名?・・・・・まあーモトラッド艦隊で。(ただダジャレが言いたいだけだろ)
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