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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
2章 人間たちは

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64マモ ゾンビ決戦

 甲板を埋めるかのような多さのゾンビたちは、ただ甲板を彷徨くのではなく、明確に超電動砲へと群がって攻撃をしていた。


 操られていることは明らかで、総武大蛇は自分を倒す可能性のある武器を破壊しておこうと考えているに違いない。そのため、自身に魔法障壁を全力で展開させながら、破壊は部下に任せることとしたのだ。


 蛇であるだけに、狡猾な魔物だ。巻きついて締め付きをしてきてもいいはずなのに、それだと危険だと考えて、周りを這い回るだけにしている頭のいいやつである。


 締め付けなら、間近にて直接マーモットブレスで吹き飛ばしてやったのだから、その考えは正しい。

 

 それでもゾンビ如きでは、金属の塊の超電動砲を破壊することはできないと思われたのだが━━。


「ドアガシマリマス。ムチャナゴジョウシャハオヤメクダサイィィィ」


「ブッカダカデクラシハタイヘンヨォォ」


「コンナモノニゼイキンヲカケルナァァ」


 生前の残滓なのか、片言の言葉を叫びながら、超電動砲を叩き、驚くことに金属製なのに砲の表面は凹み始めていた。とんでもない怪力である。


「このゾンビたち、普通ではないうさよ!」


 厳しい目つきになるロロがスライディングで、滑りながらゾンビの足元に入り込むと、二丁拳銃を叩き込む。見た目と違い、大きな銃声音が響くと、ゾンビの胸に大きな穴が開いて甲板外へと吹き飛んでいった。


 ロロは銃の反動を利用して、バネのように跳ねて起き上がると、回転して周囲のゾンビたちを撃ち殺していく。貫通力も高いようで、群れるゾンビたちは次々と吹き飛んでいく。


 しかし、何人かのゾンビたちは身体が半壊しているのに立ち上がり、手や足など欠損した箇所の細胞が膨れ上がりピンク色の筋肉組織を埋めていくと、よろよろとよろめきながら近づいている。


 ゾンビたちはゾンビ以上の化け物に姿を変えていた。ロロはその様子を見て、きゅーと舌打ちすると銃を撃ちながら周りへと指示を出す。


「再生待ちうさね。ショットガン持ちはゾンビの頭を狙い、サブマシンガン持ちは足を撃って動きを止めるうさよ!」


「了解うさ! 死にたくないなら頭を潰すうさ!」


「倒れた敵は、よろしくうさ!」


 特兎部隊の兎たちは、迫るゾンビに怯むことなく戦闘を開始する。さっきまでの間抜けなところが嘘のように、銃を構えると整然とした動きで、迎撃を開始する。


 変貌したゾンビたちは、再生した腕は筋肉組織が風船のように膨れ上がり、皮膚の無いオーガの腕のようで、伸びる爪は竜のように長い。怪力も備わっているのだろう、兎たちをペチャンコにするべく大きく振り被ると、暴風のような勢いで振り下ろしてくる。

 

 しかし兎は迫る巨大な爪を前に冷静で、ショットガンの銃口をゾンビへと突きつけると、引き金を引く。爪が振り下ろされる前に大粒の散弾はゾンビの頭にめり込むと、四散させて吹き飛ばす。


「デンシャナイデハツウワヲゴエンリョシテクダサイ〜」


 倒された仲間を気にせずに、他のゾンビが蹴り出すように走り出して、ショットガン兎を捕まえようとすると、隣の兎がサブマシンガンを連射させてゾンビの足に正確にさせて転倒させる。倒れたゾンビの頭に軍用ナイフを差し込んで、切り落とすのであった。


「右からの集団をよろしくうさ」


「リロード!」


「サブマシンガンで牽制する」


 お互いがお互いをカバーして、アイコンタクトすら取らずに、息の合った連携の取れた兎たちの戦い。強化されたゾンビたちは素早くなり、怪力にもなっているが、人間がライオンとなって近接戦闘では最強となっても銃には敵わないように、連携の取れた部隊を前に、ゾンビたちは触れることも敵わずに倒されていく。


 そうして、ロロたちの活躍によりみるみるうちに超電動砲に群がっていたゾンビたちは排除される。


「少し甘く見てたよ、兎たちは強かったんだね」


「ほんとだな。あいつらを甘く見たぜ」


 マーモットクローにて、ゾンビたちを切り裂きながら、俺たちは兎たちの活躍を見て感心していた。


 予想よりも遥かに強い。さっきまでのアホっぷりを見ていて勘違いしてたけど、この魔物の大量に徘徊する世界で、100匹もの兎たちが生き残れてきただけはあるな。


「ロロたちは精鋭部隊うさよ。この程度の敵……と言いたいところだけど、敵の多さやばいうさよ」


「たしかに。10分間耐えるのも難しいかも」


 総武大蛇がマモベースの上を通るたびに、ゾンビたちは満員列車から雨が降り注ぐかのように、大量に降ってくる。


 俺たちは次々と倒していくが、どうしても超電動砲に取り付いてしまうゾンビたちが出てくるのだ。少しずつ装甲を削られてしまう。


「天才たる僕がこの危機を逃れる方法を教えましょう。万能ペンとやらで無敵状態と書けばいいんですよ」


 ゾンビの足を断ち切って、ポイポイと甲板外へと落とすルーが珍しく役に立つアイデアを出す。


「おお、ナイスアイデア! そこの兎、万能ペンで超電動砲に無敵状態て書いてよ。ついでにどんな敵も倒せる無敵砲台って書いて!」

 

 段ボール箱を金属の塊へと変えたのだ。ルーの言い通りに、超電動砲を無敵状態にすれば簡単だし、無敵砲台となれば総武大蛇も一撃だ。10分間も待つ必要はない。


「そんなの無理に決まってるうさ! 万能ペンは存在を変えるのではなく、一時的に昇華させるだけだから、ゴボウを美味しいゴボウに変えることはできても、人参に変えたり、豆腐を金のインゴットに変えたりできないうさよ。しかも昇華レベルにより大量の魔力も必要で、効果時間も短くなるうさ」


「万能に見せかけて、制限の厳しいアイテムだったのか。そりゃそうか、なんでもできたら、無敵の神器になるもんな」


 なにせ本当に万能なら、自身に『神』と書けば良い。もはや絶対無敵ペンになるもんね。


「なら、10分間耐えるだけの記載で良いよ。それならできるだろ?」


「むむ、10分間くらいなら、うさの全魔力を使えばなんかなるうさか……うさぁぁぁドアっ! 『オリハルコン製』と記載!」


 ドドドと口ずさみ、兎が万能ペンを手に取ると、超電動砲へとキュキュッと書く。オリハルコン製と記載された途端に、超電動砲の金属製の砲門は白金のように輝くと、ゾンビたちの拳や体当たりでも凹み一つ作ることはなくなるのであった。


「うさが死ぬと万能ペンの効力も無くなるから、守るうさよ! キキを絶対に守ってうさよ? 超電動砲が発射されるまで、守るうさね?」


 万能ペンをぶんぶんと振りキキが叫ぶと、超電動砲を叩いていたゾンビたちが、ぐるりと頭を曲げるとキキを見る。


「どうやら、このゾンビたちは少しは脳味噌がまともらしいよ」


「ちっ、キキを中心に円陣を組むうさ! 時間まで耐え抜くうさよ!」


 どうやらクエストの目標は変更したらしい。


           ◇


 強い風が甲板上を吹き抜くるなかで、巨大な総武大蛇が上空を通り過ぎながら、ゾンビを落としてくる。


 総武大蛇の目がキキを睨み、連結されている電車のドアを一斉に開き始めて、全てのゾンビ乗客を落としてきた。


 どうやらキキの叫びをしっかりと聞いて、しかも判断能力もあるようで、全力で攻撃をしてくるようだ。その数は数千人はいて、思わず言葉を失う多さである。


「来るぞっ!」


「ウォォォォ、ウサギウマソウウマソウ」


 ゾンビたちが次々とラッシュから抜け出るサラリーマンたちのようにお互いを押しのけながら、迫ってくる。その様子はまるで人が大波となって押し寄せるようだ。


「ちょっと多すぎないか? これだとゲームとして成立しないよ。プレイヤーからクソゲーって言われるよ?」


「無双ゲームなら、これくらいの数じゃないと物足りないうさよ」


「違いない。狙いをつけなくても倒せるしな」


 ロロと軽口を叩きながら、津波のように迫るゾンビ群に対峙すると、真希の腕を水平に振るう。魔力の籠もった一撃は、線のように空間を通り過ぎ、ゾンビたちの群れを綺麗に分断させる。


 だが、切り裂いたのは先頭にいる者たちだけで、後続は怯むことなく迫ってくる。ロロたちも射撃を開始するが、倒しても倒しても敵はやってくる。敵が多すぎて、倒しきれないのだ。


「なら、天才たる僕がこの状況を解決しましょう。要は一つの場所で防衛をしているから、守りきれないのです。キキは足元をちょろちょろと走って逃げるのです。僕らはキキが走り回り、ばらけた敵を逐次倒していけば良いんですよ」


「今日のルーは冴えてるね! 確かに人間とは違って俺たちは小さい。キキ、走り回れーっ」


 俺たちの後ろにいるキキをひょいと掴むと津波のように襲いかかるゾンビたちの後ろへと大きく振り被って投げる。


「うさーっ! 動物愛護団体に怒られる投げ方うさ。もう少し優しく投げて〜」


 ぽいっと投げたキキは、上手に床に着地すると脱兎となって走り出し、ちょろちょろと甲板上を走り回る。

 

 ゾンビたちはそれを見て、俺たちを襲うのをやめて、振り返ってキキを追いかけ始める。どうやらゾンビたちは総武大蛇にすべて管理されていることがわかる光景だ。


「よし、これならいけるな。駆逐するぞ!」


「おぉ、ガブ様の力を見せつけてやるぜ!」


 キキを追いかけるゾンビたちは、俺たちは目に入れていないようで、キキを追いかけているので、後ろから蹴りを食らわす。腹が爆発して、倒れるゾンビを踏み、キキのそばにいるゾンビから次々と蹴り倒す。ガブやルーはクローで切り裂き、ロロたちは銃撃にて倒していく。


 ゾンビたちは攻撃を受けて初めて気づいたかのように、こちらへと振り向くがばらけたゾンビなど怖くはない。


 ツインテールを靡かせて、くるりくるりと舞うように、踊るように真希はゾンビたちを倒していき、屍が甲板を埋めていく。


 たったの10人足らずのメンバーで数千人のゾンビたちを駆逐する俺たち。


 きゅーと逃げ回るキキを捕まえることもできずにゾンビという手札を失くす総武大蛇と思われたが━━。


『プレイヤー、敵を確実に倒すため、総武大蛇の連結部分を破壊して、後続の車両を切り離しましょう。総武大蛇に飛び乗ってください』


 なんともゲーム的なレイの意見に苦笑しちゃうのであった。

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― 新着の感想 ―
ちょっとハリウッドアクション入ってきそう。わざと振り落とされそうなピンチを演出したりしつつ。元が総武線では全米を泣かせたりは無理っぽいけど。
 ニンジンスティックとかわいい幼女が絡まなければ百戦錬磨の特兎部隊のウサウサたち♪(^ ^)ウサたちにはロロやキキみたいにかなりチートな神器持ちがいるみたいだけど決して万能じゃなくMP由来の足かせがあ…
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