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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
2章 人間たちは

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62マモ 兎将

 マモベースを襲撃してきた100羽の兎部隊を激闘の結果、なんとか退けたマーリンたち。実際に戦ったのは10羽くらいで、残りは寝室ですよすよ寝ていたり、お水を飲みながらワイワイと楽しくアニメを鑑賞をしたり、外で追いかけっこしていたりする気もするが、100羽の部隊を倒したマーリンなのだ。


 旧日本軍の海軍将校を思わせる純白の軍服を着た大柄の体躯を持つ中年のおっさんが拍手をしていた。渋い顔立ちで、その瞳はナイフのように鋭く、冷笑がよく似合うナイスミドルのおっさんだ。


 だが、その中身は兎だと俺は知っている。噂にあった兎たちを率いるリーダーの兎将と言う奴に違いない。その醸し出す空気は只者ではないからだ。


「俺の名前はマーリン。マーモットの王たるマ王マーリン。名前を聞こうか、おっさん」


 ツインテールをふわりと靡かせて、真希は油断なく構えをとる。中身がマーモットなのは隠すつもりはないけど、姿を現す必要はないので、ゴスロリ美少女モードだ。


「ふむ、お互いに人間に変身しているのは、これもまた奇縁とでもいうのだろうか。良いだろう、私の名前はテセウス。兎たちは私を常勝将軍テセウスと呼ぶ」


「呼んだことあったうさ?」


「いつもテテとか、閣下とか」


「この間、手伝わされたプラモ凄い大変だったうさよね」


「常勝将軍てーせーうーす! テセウスって呼ばないとご飯抜きうさよ!」


 ぶら~んと吊るされた兎たちがコソコソ話すのを、大声を上げて打ち消すテテは、堂々たる態度で俺を見る。陰口に負けない強い精神力を持っている所は将軍に相応しいかもしれない。


 ナイスミドルのおっさんの姿で、子供のように怒る姿は見れたものではないが、まったく気にせずにテテは捕まった兎たちを見渡す。


「マーリンといったな。私の確認したいことは一つだ。なぜ部下たちを殺さずに、捕まえるだけに留めたのかね? それとも拠点に戻って、兎鍋にでもするつもりかね?」


「きゅー! うさたちは食べちゃ駄目うさ! 痩せてるし、怠惰に暮らしているから、肉質も悪くてとても不味いうさよ!」


 兎鍋と聞いて、慌てて逃げようと暴れる兎たちのふわふわの頭をそっと撫でる。同じ小動物なのに、ご飯にするわけないだろ。


「捕縛に留めたのは、アホだけど仲間にすれば役に立つかもと思ったからだよ。なにせ魔力を使用した銃を持っているし、連係もなかなか良いからね」


「やはりな。ずいぶんと余裕を見せると思うが、敵を仲間にしなければならないほど兵力に不安があるか分からないが、それなら話は早い」


「話は早い? どういう意味だ?」


「私もこの戦艦を無傷で手に入れて、ぷいぷい戦艦砲を撃ちたいのだよ。だから、ここはリーダー同士で決闘で勝負をつけないかね? 私が勝ったら、この戦艦をもらう。負けたらアホな部下たちを含めて全員君の部下になって、私は戦艦の艦長をやろうではないか!」


「いいだろう! それなら恨みっこなしで、降参したり気絶したら負けね。外に出て勝負をしよう!」


 視線がぶつかり合い、火花が散る。空気が冷たくなるくらいに真剣な空気に変わり、俺たちは決闘をすることを決めた。


 決闘。ワクワクしちゃう言葉に俺はテテの話に乗るのであった。


「あの、マーリンさん、この決闘の条件は少しおかしいような? テセウスさん、どちらにしても艦長になるつもりですよ?」


 なんか鍵音が言ってたけど、どうせ俺が勝つから問題ないよ。


            ◇


 倉庫内に出ると10メートルほど離れて対峙する。お互いの種族を賭けた世紀の一戦。アミと鍵音が俺を見守り、兎たちが周囲を囲む。……と思ったら、兎たちは寝るか、アニメを見るかでいなかった。真面目だった10匹だけは鑑賞に来ている。残りの50羽の兎たちは未だに戻ってこない。幼女は娯楽室で兎たちと戯れて白い塊になってるよ。


 周囲を囲んで、やじを言う群衆の中で決闘というパターンに憧れてたのに少しがっかりのマーリンだ。


「では、勝負といこうか、このテセウスに攻撃を当てられるかな?」


 懐から金ピカの懐中時計を取り出すと、テセウスはカチリとボタンを押す。


「君に3分間の攻撃を許そう」


 なんか極めて怪しい懐中時計だ。兎に相応しい道具だけど、どんな能力か油断はできないな。


 油断なく、ゴスロリツインテール娘は構えて、摺り足にてジリジリと間合いを詰める。


 決闘の熱い空気に当てられて、周囲の兎たちも騒がしい。


「きたー。閣下の神器『弱者の懐中時計』うさ! あの時計で決めた時間内に攻撃されたエネルギーは、時間が経過したら集約されて爆発的な一撃になるうさ」


「そのかわりに自分から攻撃したら解除されちゃう弱点もあるよね」


 俺、知ってる知ってると、ゲーム実況のライブを見ている観衆がコメントでストーリーのネタバレをするマナーのなっていないアホのように説明をしちゃうアホな兎たち。


 怪しい懐中時計の秘密はなんなのか、油断はできないな。うん、聞かなかったふりをしたほうが良いのかな?


「……」


「……」


「俺は悪くないから後で部下を怒っておくんだね! そんな面倒な効果を持つなら、発動させるわけにはいかない!」

 

 トンと床を蹴り一瞬で間合いを詰める。ふわりとツインテールが靡き、真希の好戦的な笑みがテセウスの眼前に迫り、掌底を放つ。


 テセウスは真希の速さに一瞬驚くが、掌底が身体に触れる瞬間にかき消えてしまう。


「む?」


 今の移動は速いからではないとすぐに見抜く。まるで触れたら消える霧のように消えたのだ。


 数メートル離れた場所に姿を見せるので、左足を軸にして、素早く体を回転させると、跳ぶように蹴りを繰り出す。マーモットの時はラブリ~な足はリーチが短いからできなかったけどツインテール娘の足は長くしなやかだ。

 

 だが命中する瞬間にまたもやおっさんは消えてしまい、再び数メートル離れた場所に姿を現す。


(明らかに回避特化のスキルだ。命中しそうになると自動回避するスキルか? そんな便利なスキルがあるのか? そうなると懐中時計の能力と相性が良すぎるぞ。なら、俺も切り札の『理解』だ!)


『理解』


 あらゆる行動を一目見るだけで理解するチートなスキル。キラリと目が光り、テセウスの姿を視界に入れる。


 だが━━。


『視界には誰もいない』

 

 むむっ!? 予想外の結果に内心驚いてしまう。視界にいない? たしかにテセウスは視界にいるのに、存在しない? ということはだ……。


 動きを止めて、周りを見渡す。


「どうしたのかね? 私に攻撃を当てないと、後2分で君は敗れることになるぞ?」


 俺が攻撃をやめたために、テセウスが冷笑を見せるが、無視して周りを見渡す。


 アミと鍵音が応援してくれて、兎たちはどちらが勝つか、賭けをしている。コンテナが並び、金属棚には品物が乗っていて、懐中時計を抱える兎の縫いぐるみがちょこんと置かれている。


 懐中時計を抱える兎の縫いぐるみが棚に不自然に置かれてる。縫いぐるみというか、よくよく見るとお鼻をスンスン動かしてもいた。


「そこに隠れていたのか! こいつ、ふざけんなよ!」


 爆発するように俺は床を強く蹴り、棚に置かれている兎の縫いぐるみに拳を振り上げる。


「ぬぅぅ!? こんなにあっさりと『ダミー』スキルがバレるとは予想外うさ!」


 命中する寸前で兎の縫いぐるみ、いや、隠れていたセコいテセウスがぴょんと跳ねると拳を躱す。


「周囲の兎もグルだったな! 神器の能力を教えて、早く攻撃を当てないとと敵を焦らせて視野狭窄にして、おっさんを攻撃させることだけに集中させる作戦だったんだろ!」


「そんなに頭が良いはずないであろう。あれは素でバラしたのだ」


「あ、そうなのね」


 なんて巧みな策略だと感心した俺の心を返してほしい。


 でも、正体がわかればこっちのものだ。


「しっ。ツインテール娘の連続の攻撃、今度は躱せるか?」


 呼気を鋭く吐くと、回転する円盤のように蹴りを連続で繰り出す。鋭き攻撃を前にテセウスはというと、あたふたと逃げまくるのみ。


「兎虐待うさ! おっさんの姿よりも躊躇いがないように見えるぞ、少女よ!」


「そんなことないよ、俺は手加減してるよ」


 どうやら体術スキルなどは持っていないようだが、元のステータスが高い上に小さな小兎なので、攻撃がなかなか当たらない。なるほど、敵がマーモットと戦う時の気持ちが少しわかるね。これはウザい。


「ふはははは、当たらなければどうということはない。後一分でテテの必殺の一撃が放たれるうさよ!」


 クールなおっさんの皮を脱いで高笑いをするテテ。たしかにこのままだと時間が過ぎて、俺は負ける。


 となると切り札を俺も切る時。


「なら、俺もマーモットの奥義を見せよう!」


「切り札うさ?」


「あぁ、マーモット伝来の奥義、受けてみよっ!」


 警戒して身構えるテテに、俺はマーモットの奥義を繰り出す!


「ピギーーー!」


 敵が現れたら、仲間に知らせる警告の鳴き声。高音にてホイッスルに似た鳴き声を間近に聞いたテテは顔をお手々で覆い、プルプル震えて身体を丸める!


「きゃ~、エイリアンうさ! うさの顔に取り憑くのは禁止うさよ!」


 美少女の胸元から頭を突きだしてお手々を振るマーモットだ。


「隙ありっ! おりゃっ!」


 俺は警告音を聞いて動きを止めたテテをペチリと抑えつけ、勝利するのであった。


 マーモット伝来の奥義の前には、どんな敵も相手にはならないね!


           ◇


「仕方ない。うさうさ軍はマーリンの配下になることを誓おう。軍帽曲ってないかね? テテの艦長席に名札付けても良い? 祝砲として艦砲射撃しても良いうさ?」


「はははひっ、とてもおににぬああい」

 

 激闘を終えて、マ王の軍門に降ったテテは、ブリッジに着くとおっさんモードに戻り、艦長席に座りご機嫌だ。さっきから、鍵音に似合う? うさは艦長似合う? と確認していた。元が兎でもおっさんに緊張する鍵音はコクコクとヘドバンみたいに頷き、クラクラしていた。


「これで、兎軍を手に入れたわけだけど、ロロたちはどこまでいったの?」


 未だに帰ってこないロロやガブたちに心配しちゃうけど。


「いえ、どうやら戻ってきた模様です。前面モニターに映ってます」


 アミの報告に前面モニターを見ると、雪煙を舞い上げて、ロロたち集団がこちらへと向かってきていた。ロロがなにか叫んでるな? 


 なになに?


「ロロ、思い出したうさよ〜。閣下が戦艦を欲しがったもう一つの理由」


 そして、雪煙の向こうから、国道8車線を埋める大きさの大蛇の姿。


「大蛇を倒すためうさよ〜」


 うん、それは見たからよくわかるよ!

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― 新着の感想 ―
テテ艦長は幼女に負けてすぐ降格させられそう。テセウスとか立派に名乗ってもテテだから仕方ないね。
テテの姿は不思議の国のアリスの白うさぎみたいに懐中時計を常に持ち歩いて二足歩行しているのかな でも普段はおっさんの姿をしているなんてニニーちゃんは嫌がると思うな〜 ペットとして連れて帰って貰えないよ?
 マ王マーリンと兎将軍テセウスの火花散る白熱の頭脳戦!結果マ王は有力な戦士団を配下に収め兎将はその翼下で魔導戦艦マモベースの艦長に収まるwin-winな決着に(^皿^;)最初っから「うちの船に乗らない…
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