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04 サウストリア(4)

「それよりさ、カリーナはずっとここにいるのか?」

「ちょっと挨拶に来ただけよ」


「それだけ?」

「ミリオネアに行く途中なんだもの」

「ミリオネア? 何しに行くんだよ」


「何しにって、、、色々よ」

「兄貴に付いて行きたいのか? 確か本家に来る予定だよな?」


「そうじゃないけど、、、せっかくここまで来たんだもの。“精霊の国”に行ってみたいわ」

「ここだっていい所だぞ?」

「それは知ってるけど、、、」


「まぁいいや、それよりちょっと着替えろよ。お前、変な恰好してるぞ?」

「失礼ね、仕事着よ」

「仕事? お前、兄貴に働かされているのか?」

「違うわ! そうじゃなくて、好きでやってるの」


「分かんねぇなぁ、とりあえず着替えろ。お前に似合うドレスにしろよ、絶対可愛いから」


 もう、ダナーは相変わらずだ。

 花摘達に交じって一緒に花摘みをしている時も、良くこうして着替えさせられた。


 でもちょっと嬉しい気持ちもある。

 お仕着せは仕事をするのに都合がいいけれど、フワフワするドレスがそろそろ少し懐かしい。


「叔母上、よろしいですか?」

「いいわよ、但し夕方まではカリーナをゆっくり休ませてあげなさい」


「叔母上」

「夕食を一緒に取りましょう。貴方も暇ではないのでしょう?」


「ちぇ、仕方ないな。では、叔母上、カリーナ、後でな」


 そう言って、ファーネ様には頬を合わせるように挨拶し、カリーナにはチュッと頬に軽いキスをして帰って行く。


 慣れていないカリーナの顔が真っ赤になっていると、ファーネ様が安心させてくれる。


「気にしないでいいのよ、カリーナ。この辺りでは軽い挨拶なのだからね」

「はい、、、」

「それより本当に着替えましょう。ゆっくりお風呂にも入ってね」


 その後は、客室に案内され、浴槽に浸かってウトウトしていると、夕方まで少しお休み下さいと言われ横になる。


 ファリス先生はどうしただろう?

 商隊に帰ってしまったのかしら?


 ダナーの話やファリス先生の事も気になったけど、思っていた以上に疲れていたらしく、そのままぐっすり眠ってしまう。


 夕方までゆっくり休ませて貰ったので、頭はスッキリしたけれど、今度はお腹が空腹を訴えている。


 イスレイン家の侍女たちに髪を整えて貰い、久しぶりのドレスを身に付け、ファーネ様の所に行くと、同じように正装した二人の青年に迎えられた。


 公爵家に来てくれる時も、服装を気にしたことは無かったが、こうしてみると彼がラングロア家の息子だというのが良く分かる。


 もう一人は、いたずらっ子のような瞳はそのままだが、こちらも昔のダナーではない。


「どう、かれ?」

「えっ?」


 ダナーが側に来るとファリス先生の方を向いて話しかける。


「僕だけじゃ、卑怯だからね。彼にも着替えて貰ったんだ」

「別に、服装なんて関係ないだろ」

「へぇ、僕はカリーナが着替えてくれてとっても嬉しいよ」

「いや、そうじゃなくて」


 今度はカリーナの方を向いて話す。


「もちろん、どんな服装をしていても可愛いけどね」

「ありがとう、ダナー様?」

「いいよ、ダナーで、ずっとそう呼んでただろ?」


「そうだけど」

「僕もカリーナって呼ぶからさ、ね?」

「分かったわ、ダナー」


 成長しても彼は相変わらずだ。

 花畑から連れ出される時も、みんなと一緒に遊んでいる時も、いつの間にかこうして彼の思う様に動かされてしまう。


 そして今もあの時と同じように、いつの間にかダナーにエスコートされてテーブルに着いている。


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