第13話 図書館に潜むもの
俺とリクは図書館を目指して歩いている。
図書館はこの学院の教室等がある建物とは別に存在し、図書館だけの建物がある。
その大きさは校庭からも見えるほどで、周りの建物よりもだいぶ大きい。
円柱状になっており、屋根の形はとんがり帽子のようだ。
俺とリクは図書館へ着くと、扉を開けた。
「すげぇ、いっぱい本がある。」
中へと入ると、ずらーっと棚が並んでおり、壁沿いには円柱に沿った階段がある。
「ソラ、ここから目当ての本探すのってめっちゃ大変じゃないか?」
「だよなぁ〜。誰かこの図書館について詳しい人がいればいいんだけど……」
俺とリクが話していたら、
「ヒッヒッヒ。お困りのようかな?」
どこからか声が聞こえた。あたりを見渡すが誰もいない。
「どこから聞こえたんだ?」
「分かんね」
「下じゃよ、下。ほれ、ここにおるわい」
下を向いたら、そこにはすごく背の低いお婆ちゃんが立っていた。
「うわっ!」
俺は驚いて声が出る。
「婆ちゃん、どこにどの本があるのか知っているのか?」
リクがお婆ちゃんに聞く。
「もちろん知っておるわい。なんせ、ここの図書館の管理人を任されているからの。で、何を探しているのか、言ってみぃ」
「俺は魔術の本を探していて、こっちの弟は武術の本を探しています」
「それなら、魔術関係は4階と5階に、武術関係は6階に置いておる。ついて来なさい」
そう言うとお婆ちゃんは歩き始めた。
俺らもその後を追う。
階段を登っている最中、お婆ちゃんが図書館について説明をし始めた。
「この図書館は10階建てでな、各階ごとに種類の違う本や研究資料、魔術書などがある。ただし、10階には限られた人しか入れないから気をつけることだな。」
「10階には何が置いてあるんですか?」
「禁書や世界にあまり存在しない本、危険な魔術の研究資料なんかが置いてある。」
「禁書!?危険な魔術の研究資料!?どうやったらそれを読めますか?」
絶対に読んでみたい!何がなんでも。
「生徒が10階に入るには、生徒会にでも入らない限り無理じゃろうなぁ」
「生徒会か〜」
そういえば、図書館に来る前に生徒会に誘われたな〜
「よし……決めた。生徒会に入るか。」
生徒会に入って目立つことよりも、禁書とか、危険な魔術を見てみたいからな!
その後、4階に着いて、お婆ちゃんにお礼を言った。
「お婆ちゃん、いろいろ教えてくれてありがとうございます!」
「ありがとうなお婆ちゃん!」
「ヒッヒッヒ。また困ったことがあればいつでも聞いておくれ。」
そう言うとお婆ちゃんは階段を降りて行った。
「さて、リクは6階に行くんだろ?」
「あぁ!行ってくる!」
「長くても2時間だからなぁ〜」
「分かってるー!」
そう言うと、リクは階段を駆け上がって行った。
それを見送った後、俺は魔術の本を見始めた。
1時間半後。
「あの〜すみません。」
俺が魔術の本を読んでいたら、後ろから声をかけられた。
「どうしましたか?」
振り返ると、そこにはピンク色の髪に、メガネをかけた女の子がいた。
「魔術好きなんですか?」
「……はい?どうしてそう思ったんですか?」
「だって、1時間ぐらいずっとその本を読んでるんですもん」
「えっ……?」
確かにそうだ。俺はこの本を1時間、ずっと読んでいる。それを見られていた?それに気づかないほど甘くない。
「その本好きなんですか?」
「はい。この本には思い出があって、久しぶりに見てみたくなったんです」
俺が読んでいた本は、『魔術入門』という魔術の基礎の基礎が載っている本だ。前世で初めて買ってもらった本で、俺が魔術を好きになるきっかけでもある。
「そうなんですね!私もこの本が好きで、昔からよく見ていたんです!この本のおかげで魔術が好きになれたんです」
どうやら彼女も魔術が好きらしい。
「でもよく俺がずっと読んでるって分かりましたね」
「この本って、魔術の基礎の基礎が載ってるじゃないですか。だから、この学校には2つしかなくて、私がいつも1つ借りてるから、なくなったらすぐ分かるんですよ。」
「なるほど」
俺がその子と話していると、階段を勢いよく降りてくる音が響く。
「ソラ〜!!!大変だ!」
リクが勢いよく俺に向かって走ってくる。
それを俺はさっと躱した。
「どうしたんだ?そんなに慌てて。あと図書館だから静かにな?」
「ソラ、お前気づかないのか?いや、俺も今まで気づいてなかったんだけど。」
「だから何がだ?」
「10階あたりからすっげぇ禍々しいオーラを感じたんだ。6階で1時間半ぐらいいて初めて気づいた。」
「ほんとか?」
「あぁ、ちょっとやばいかもしれん。着いてきてくれないか?」
「あぁ、分かった。早く行こう」
俺はリクの後を追って階段を駆け上って行った。
そして、10階にたどり着いた時に、事件は起こった。
さっきまで俺の前を駆け上っていったリクが、突然消えた。
「は……?おい……おい!リク!どこだ?」
あたりを見渡すが、あるのは一つの扉だけ。その扉が10階の部屋の中につながっているのだろう。
今、俺がいるのは、10階の上がってきたすぐの場所だ。
「ククク、ククク、ククク、ククク」
どこからか不気味な悪魔のような声が聞こえる。
「この扉の中?」
俺は扉に手をかけようとした。すると、
「待ちな、扉に手をかけるんじゃないよ」
後ろからお婆ちゃんの声が聞こえ、俺は手を止めた。
「どうして?この中にリクがいるかもしれないのに!」
「大丈夫、お前の弟は6階で居眠りをしておった。だから安心せい」
「じゃあ、さっきのは……幻覚?」
「まぁ幻覚みたいなもんじゃな。これは、この図書館に住み着く、悪魔の悪戯じゃ。そして、その悪戯によって、この扉を開けて戻ってきたものは誰1人としていない」
「へぇ……」
俺は頭にきていた、俺の弟になりすましたことに対して。
「まぁ、被害が出なくてよかったわい。さぁ、下の階に戻ろう」
俺とお婆ちゃんは6階まで戻ってきた。6階の読書スペースでは、リクが椅子に座りながら寝ていた。
「ぐっすり寝てやがる」
俺は少しホッとした。
30分後。
リクが起きた。
「あれ〜ソラ、いるんだったら起こしてくれてよかったのに」
「まぁ、そうなんだけど。ぐっすり寝てたから、起こすのはかわいそうだったから」
「あーよく寝た。ありがとう」
俺はその後、リクにさっき起こった出来事を話した。
「えぇ〜!?ソラが俺じゃない偽物だって気づかなかったのか?相当、その悪魔が強いんじゃないか?」
「うーん、どうなんだろう。まぁ今度会いに行ってみるかも。リクも、図書館使う時は気をつけろよ」
「はーい」
「それじゃあ、帰るか」
「おう!」
俺とリクはお婆ちゃんに挨拶をしてから図書館を後にした。




