第12話 合格発表
俺とリクはアルディア王立貴族学院の試験を終えて、家へと帰ってきた。
「おかえりなさいませ、ソラ様、リク様」
「おかえりなさいませ!ソラ様、リク様!」
リリアとミーナが出迎えてくれた。
俺とリクは
「「ただいま〜」」
と声を合わせて言った。
試験はまぁ無事に終わったと言っていいだろう。あとは結果を待つのみ。
「試験はどうでしたか?」
リリアが聞いてくる。
「まぁぼちぼちじゃないか?リクも結構頑張ってたぞ。実技試験で1組目の1位だったからな」
「それはすごいですね。リク様、おめでとうございます。」
「さっすが!リク様はやはり強いですね!」
「2人ともありがとう。今日は疲れたから休ませてくれ」
そう言うとリクは早々に自分の部屋へと戻っていった。
俺も黒装束の奴らについて考えたいので自分の部屋へと戻っていった。
自分の部屋へと入り、俺はすぐにベッドへとダイブした。
「ふぅ。」
俺はそっとため息をつく。
「まじであの2人はなんだったんだよ。魔人とか魔神とか。それにしても、あの視線に先生たちの中で気づいている人はいなかったのか?」
いろいろと疑問が残るが、今はとにかく試験が終わった喜びに浸りたい。
「さぁーて、風呂でも入って今日は早く寝よう。」
3週間後。
遂に試験の合格発表の日がやってきた。
俺とリクはすでにアルディア王立貴族学院へとやってきている。
「遂に合格発表だな。リク、準備いいか?」
「あぁ、もう弱気にはならないぜ。受かってると思ってたら受かってるんだ。」
「いい心がけだな。さぁ、張り出されるぞ」
掲示板に紙が貼り出される。そこには合格者の名前がずらっと並んでいた。
名前順に左上から並んでいる。
「そ〜、そ〜、あった!俺の名前はあったぞ!リクの方はどうだ?」
リクは名前の最初が『り』なので、後ろの方から探している。
「ソラ…………あった。あったよ!」
「やったな!リク。これから貴族学院楽しもうな!」
「おう!」
お互い受かっていて何よりだった。
すると、突然俺たちに声をかけてきた人がいた。
「やぁ!リクじゃないか!この前の実技試験で久しぶりの再会を果たしたと思ったら、忘れられていて悲しかったぞ!」
リクの知り合いが声をかけてきた。
「……誰だ?」
いや、知り合いじゃなかったらしい。
「名前を聞いたら思い出すか?ゴルドフ・アドライム=シンヘイムだよ!」
「ん〜、あー!なんかいたなぁ。8歳の頃だったかな?助けたやつであってるよな?元気にしてたか?」
「あぁ!あの時助けてもらってから、君に憧れて俺は強くなったんだ!」
「ゴルドフ、受かってたのか?」
「あぁもちろん受かっていたとも!」
リクに知り合いがいて何よりだった。
「さて、リク、そろそろ合格者への説明会があるから、移動しようか」
「あぁ、ゴルドフも一緒に行こうぜ!」
「お供させていただく!」
俺たちは3人で、説明会が行われる講堂へと向かった。
向かう間に俺とゴルドフは自己紹介を簡単に済ませておいた。そのときに、双子ということにすごく驚いていた。
「すげ〜、こんな広いのか」
俺はつい呟いてしまった。自分がいた前世の学校にはこんなにも広い講堂はなかったからだ。
講堂にはすでに多くの人が集まっていた。
「なぁソラ!こっち席空いてるぞ!」
リクが俺の方を向いて手を振っている。
「今行くよ」
俺らが席についたあと、数分経ってから周りの明かりが消え、前のステージだけが照らされた。
そして、横から歩いてきたのは、1人の女性だった。
「君たち!まずは合格おめでとう!アルディア王立貴族学院は君たちの合格を心から祝うよ」
すごくハキハキと喋る女性だ。
「おっと、自己紹介がまだだったね。私はこの学院の校長、アルベール=ヴィルシーナだ。よろしく頼む。さて、いきなりだが私は君たちに伝えたいことがある。それは、失敗を恐れずに自分の好きなことに本気で取り組んでくれ。そして、諦めずに挑戦を続けてくれ。」
ヴィルシーナ……?聞いたことがある気がする。確か、この世界で昔、最強と言われた男の家名がヴィルシーナだったような……
「諦めない、このことを学んだのは祖父からだ。私が小さなころ、祖父はよくこんな言葉を言ってくれた。『何があってもお前が信じたその道を諦めるな。諦めなかったその先に、未来がある』と。
君たちはこれからいろいろな困難に出会うと思う。それでも諦めてはいけない。これで私からの話は以上だ。」
周りから大きな拍手が起こる。俺やリクも自然と拍手をしていた。
「なんか心に響く言葉だったな」
俺はリクに話しかけた。
「だな。まぁ俺はソラが昔言ってくれた言葉が1番好きだけどな」
昔?なんかリクに言ったっけ……?
「アルベール校長先生ありがとうございました。それでは続きまして、この僕、カーゼからみなさんに入学式後のことなどについていろいろとお話をさせていただきます」
その後は入学後にすることや、どんな行事があるのか等について説明された。
そして、説明会は終わり、講堂をあとにした。
「入学式のときにクラスが発表だってさ。リク、俺と離れても悲しくて泣くなよ?」
「誰が泣くかよ!そんなことよりも、俺はクラス別対抗戦と王立学院対抗戦ってのがスッゲェ気になった!」
「なんか戦うやつばっか気になってないか?」
「そりゃそうだろ!俺は強いやつと戦って武術を極めたいんだから!ソラだけじゃなくて、もっといろんな強いやつと戦いたいんだよ」
「リクらしくていいな。さて、俺はこのあとこの学院の図書館に寄ってから帰るけど、リクも来るか?」
ちょっと調べたいこともあるのと、この学院の図書館がどんくらいすごいのか見ていきたいんだよなぁ。
「あーどうしようかな。俺も行こうかな!武術に関係のありそうな本があったら読んでみたいし!ソラ探してくれよ!」
「まぁいいよ、探してあげる。それで、ゴルドフも一緒に来るか?」
「すまない、今日はすぐに帰らなければいけなくてね。また次の機会に誘っておくれよ」
「そっか、じゃあなゴルドフ!また入学式で会おう」
「じゃあな〜ゴルドフ!」
「また入学式で会えることを楽しみに待っているよ!」
ゴルドフはそう言うと急いで帰って行った。
「さて、リク。図書館へ行くか」
「おう!」
俺とリクは図書館へと向かおうとした、その時、
「ちょーっと、君ら2人いいかな?」
俺らは後ろから急に声をかけられた。
「あの、誰ですか?」
俺はその男の人に尋ねた。
「あーごめん、怪しい者ではないよ。この学院の生徒会のナギという者だけど。君たち2人を生徒会にスカウトしたくてね。」
「えっ?まだ入学してないんですけど、あと、なぜ俺たちなんですか?」
「いや〜、優秀な人材はね、入学前の合格発表のときに声をかけとこうかなって思ってね」
優秀?そんな情報をどこから……いや待て、俺は今完全に魔力の出力を制御しているし、リクだってそんな強いオーラを放ってない。なぜ分かる……?
「なぁナギって人だっけ?なんで俺らが優秀だって分かるんだ?」
リクが隣から言った。
「あぁ、そのことか!生徒会のメンバーだけはね、生徒の中で唯一合格者の成績や試験中の様子なんかを見ることができるんだよ。それで、まず、ソラ君だったかな?君は筆記試験で1番の点数だったから。リク君は1番印象に残ってるよ、君は実技試験の1組目で圧倒的な差を見せつけて、最後まで残っていたから。まぁこれが君たちを優秀だと判断して、生徒会にスカウトした理由だね」
「なーるほどな!」
リクは満足そうな顔をしている。
俺も理由が分かって少し安堵した。
だが、筆記試験で1番だとは思わなかった。分からなかった問題が2問ぐらいあった気がしたから、1番はないだろうと思っていたんだけどなぁ。ちょっと目立ちすぎる気もするが……まぁ許容範囲か。
俺はリクの方を向いた。リクも多分俺と同じことを考えている。双子だから分かる。
「俺たちを生徒会にスカウトしてくれるのはとても嬉しいです。ですが、生徒会には入れません」
「俺もだ。生徒会には入れないかな〜」
「2人とも生徒会に興味なかった?」
「興味がないわけではないんですけど、自分の好きなことに時間を割きたいなって。だから俺は入れません」
これは本当だ。魔術を極めるためには時間がいくらあっても足らない。まぁそれ以外にも、目立たないようにするために生徒会に入らないってのもあるんだけど。
「俺もソラと同じで、好きな武術を極めたい。それにはいくら時間があっても足りないから。だから生徒会には入れない」
「そっかぁ。まぁ気が向いたらいつでもおいでよ。いつでも生徒会は待ってるから。」
そう言って、ナギという人は俺らから離れて行った。
「さて、じゃあ図書館行くか!」
俺とリクは図書館がある方へと向かって歩いて行った。




