第14話 入学前日
ついに明日、入学式を迎える。
朝ご飯を食べる時、リクも少しソワソワしていた。
早くいろんなことを学院で学びたい!そう思うと俺は少し気持ちが高まっていった。
お昼頃、リクと俺は荒野へとやってきていた。
「明日から学院だな。リク、もう準備はバッチリか?」
「もちろん!届いた制服もちゃんと用意してるぜ!」
「いいね!それじゃあ心置きなく、戦えるな」
「だな!今日こそ勝つぞ!」
お互い構える。
「おっと、戦う前に渡さないといけないのがあったんだった」
「なに?」
「ほら、あの刀。暁だっけ?あれ調べて、いろいろ改良したから渡しとくよ。遅くなってごめんな、色々手こずっちゃってよ」
「おぉー!なんか前より、紅い色が際立ってるような気がする!そういえば、調べた結果って何が分かったんだ?」
「この暁って刀は、振るうたび、使っている人の生命力を消費していた。だから、戦闘中疲れやすくて、ずっと振ってたら倒れることもあったと思う。だが、その分、こいつの攻撃力はものすごく高い。それが調べて分かったことだな」
「確かに、暁をずっと使ってたら、いつもよりも疲れることとか多かった気がする。それで改良したっていうのは?」
「あぁ、使っている人の生命力の消費をなくしつつ、攻撃力を保てる方法を探して、それを施した。具体的には、斬った相手の生命力を奪えるようにした。そして、それを半永久的に貯めておくことができるように魔術を刻んだ」
「まじ?ということは、斬れば斬るほど、生命力を貯めておけるんだな!めっちゃ強い能力じゃん!」
「あぁ!そして、それは自分の意思で生命力を奪うかどうかを決めることができるから、対人のときには奪わないってこともできるぜ。それに、その生命力をどれだけ使って攻撃を強化するかも自分の意思で決められるようにしといた」
「すっげぇ〜。これは時間がかかるわけだ。ありがとうソラ!」
「まぁいいってことよ!ただ、強い能力の分、使い方を間違えたら、やばい代物だからな。俺はリクを信用してるから、大丈夫だと思うが、もし万が一、何かあった時は俺がその剣を責任を持ってぶち壊す。そして、リク、お前も捕まえるからな」
「分かってるよ。」
「まぁ、使い方さえ間違えなければ、超強いお前の武器だ。今はとりあえず、俺が試し斬りで魔物とかを狩ったやつの生命力が少し入ってるぐらいだからな」
「あぁ!分かった!それじゃあ戦おうぜ!俺は早くこいつを使いたい!」
「それじゃあやるか!」
俺とリクはお互い距離を取った。
「攻撃系土系統魔術《大地の波動》」
大地がうねりながら、リクへと向かっていく。
「《闘気解放・赤・青・緑》」
リクはその攻撃をさっと空中へとジャンプし、躱した。
「まだまだぁ!攻撃系風系統魔術《天穿》」
極限まで圧縮した風を1本の槍として、撃った。
「甘いぜ!ソラ!一刀流《居合・横一文字》」
その攻撃をリクは弾き、俺に一気に近づいてくる。
「一刀流《燕返し》」
リクが勢いよく刀を振るう。それを俺は、
「《魔力障壁》」
自身の周りに、自分の魔力による円球状の障壁を作り出し、2連撃を防いだ。
「なっ!?硬すぎだろ!強化攻撃だったんだぞ!?」
「喋ってる余裕があるなぁリク!攻撃系炎系統魔術《炎柱》」
下から上へ勢いよく炎が飛び出す。その炎にリクは飲まれた。
「これで終わりじゃねぇよなぁ!?」
「あったりまえだぁ!魔刀流《魔纏》」
炎がどんどん刀へと吸収されていく。
「いいね!そうこなくっちゃ!攻撃系氷系統魔術《大氷塊》」
大きな氷の塊をリクに向かって放つ。
「魔刀流・炎《昇り炎龍》!!!」
大氷塊が縦に真っ二つにされた。
「ちっ!流石だな!リク!ただ後隙が大きいぞ!攻撃系闇系統魔術《黒洞》」
リクの近くに黒い球体が現れ、周りのものを全て飲み込んでいく。
「うわぁぁぁあ!飲み込まれるぅぅぅ!!!」
リクは身動きが取れずに飲み込まれていく。
「まだまだぁ!攻撃系雷系統魔術《黒雷》」
黒い雷がリクに向かって落ちていった。
「踏ん張りが利かないから技が出せん!俺の負けだぁぁぁぁぁぁ」
俺は全ての魔術を解除して、リクに近づいた。
「《再生》」
補助系魔術の《再生》を使い、リクの傷をしっかりと治した。
「なんかさ〜、ソラはどんどん強くなるよな〜。成長速度が異常な気がする。」
「まぁ最近は毎日、自分自身と戦ってるからな。やっぱり成長するには自分自身との戦いが1番だからな」
「なるほどな!俺も自分自身を超えられるように頑張らないと!昨日の自分より強くなるために頑張るぞ!」
「なんか勘違いしてないか?俺が言ってるのは自分と戦うってことだよ」
「ん?だから、昨日の俺を超えて、今日の俺の方が強くなるって意味だろ?」
「いや、今の俺と戦うってことだよ。見せた方が早いかな。《亜空》」
俺はリクと一緒に別空間へと移動した。
「まぁちょっと離れて見てな」
「分かった!」
俺はリクに離れとくように伝えたあと、亜空内の設定をいじった。
「よし、複製完了」
俺の目の前に、俺が現れた。
「えぇ!?ソラが2人!?なんで!?」
「これが、俺が強くなるためにやってることだ!こいつは俺が生み出した、俺自身のコピーだ。俺の力は全て使えるぞ。」
「えぇ!?それじゃあ、こいつもソラと同じくらい強いってことか!でも、こんなに簡単にコピーできたら、もう最強じゃん!」
「あー、このコピーはこの亜空内でしかできないんだよ。だから、元の場所に今、戻ったとしても、こいつはこの空間内にとどまることになってる。まぁそういう設定なのさ」
「へぇ〜まぁ難しいことはよく分からないからいいや。でも同じ強さなら戦っても決着つかなそうだけど」
「そうなんだよなぁ。決着はあんまりつくことはないかな。ただ、俺だって人間だから、ミスはする。もちろんコピーも、そのミスをしたときに、攻めて勝ったりすることはあるよ。俺もミスして負けることもあるけど。」
「ふーん、なるほどなぁ。じゃあそのミスしたのをどうやってミスしないようにするかとかを戦い終わった後に考えるのか」
「そういうことだ。やっぱり自分の癖とかで隙が生まれることもあるし、それってなかなか気づかないもんだから。自分と戦ってみて、この時に隙が生まれてるなとか、俺ってこんなミスするんだとかって学べるんだよね。」
「いいなそれ!俺のコピーって作れるか?」
「作れるけど、戦ってみたいのか?」
「あぁ!」
「じゃあ、今日のうちにコピーを作れるようにしとくよ」
「ありがとう!」
俺とリクは亜空内を出た。
そのまま家へと帰り、お風呂に入り、夕飯を食べる。
夕飯を食べ終わった時に、父さんと母さんから話があった。
「明日から、学院が始まるわね!ソラ、リク。楽しんでね!」
「うん!ありがとう母さん!楽しんでくるね」
俺は早く学院の研究施設を利用してみたい。
「母ちゃん!楽しんでくるぜ!」
リクも元気良く返事をした。
「ソラ、リク。2人にこれをあげよう。」
父さんは2つの指輪のようなものを渡してくれた。
「これはなんですか?」
俺が聞くと、父さんは答えた。
「これは、幸運の刻印が刻まれてる指輪さ。2人のこれからの人生が幸運に包まれていることを願って、友人に頼んで特別に作ってもらったのさ。だから、これはこの世界に2つしか存在しない指輪だ。大切にしろよ?それと、つける指は自分の好きなところで大丈夫だ。指の大きさに合わせて指輪の大きさが変わってくれるからな」
幸運の刻印が刻まれている指輪……すごいものを貰ったもんだ。その指輪を俺は右手の中指に、リクは左手の人差し指につけた。
「ありがとう父さん!一生大事にするよ!」
「ありがとう父ちゃん!」
そうして、父さんと母さんにハグをしてから、俺とリクは自分の部屋へと向かった。
部屋へと向かう廊下の途中で、リクが聞いてきた。
「なぁソラ。刻印ってなんだ?」
「リク、刻印について知らなかったのか?まぁ簡単に説明すると、物とか服とかに、特殊な力を刻み込むことだ。そして、刻まれた力はその対象に宿り、効果を発揮する。」
「てことは、この指輪は幸運の刻印が刻まれてるって言ってたから、運が上がるってことか?」
「まぁ多分そうなんだと思うぞ。ただ、刻印ってのはすごい技術なんだ。並大抵の人が簡単にできるようなことではない。刻印専門の職人じゃないと、基本はできないな。」
「へぇ〜すっげぇ物なんだな!大事にしよっと!」
「そうだな、大事に使おうな」
「そういえば、俺の刀の暁に、魔術を刻んだのは刻印とは違うのか?」
「まぁ似てるけど、違うな。俺が魔術を刻んだやつよりも、刻印の方が効果が出るし、長持ちすると思うぞ」
「なるほどなぁ〜。今日はありがとなソラ、また明日の朝な!おやすみ!」
「おやすみ」
そう言って、俺とリクはお互いに自分の部屋へと入っていった。
明日からの学院生活、楽しく過ごせますように。




