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第十九章、黒船の完全上陸と、避難所のノンフィクション
二〇二六年。終わりなき狂騒を続けてきたデジタル浮世の背後に、真の終わりの影が忍び寄る。画面の外の世界における国境の壁を越え、圧倒的な資本力を持つ「海外の大手配信プラットフォームの完全上陸」が始まったのだ。それが、これまで絵師たちが築き上げてきた国内市場のすべてを崩壊させる、最初の引き金だった。
さらに追い打ちをかけるように、未曾有の大規模な大地震が都市を直撃し、脆弱なネットワークを支えていたデータセンターが物理的に崩壊する。画面が真っ黒な空白に染まる凄まじい大災害のなかで、最愛の妻子を失うという、解きがたい悲劇に見舞われた絵師がいた。落合芳幾だ。芳幾は血を吐くような絶望のなか、避難所の片隅で携帯端末を握りしめ、被災地のリアルな惨状をノンフィクションのイラストデータとしてネットに投稿し続けた。嘘偽りのない生々しい記録は、傷ついた人々のタイムラインに突き刺さり、その名を一気に世間に広めることとなった。




