9 初お買い物ツアー
「こんにちはー。買い取りお願いしまーす。こっちのレジ袋のやつもです」
2階層 ゴースト
レベル6魔石 283個 収入12万7350円
3階層 スケルトン
レベル7魔石 291個 収入15万2775円
「こんにちはー。買い取りお願いしまーす」
4階層 アルミラージゾンビ
レベル8魔石 264個 収入15万8400円
5階層 ゴブリンゾンビ
レベル9魔石 273個 収入18万4275円
◇
『メグちゃんとジョーちゃんが魔石拾いのお手伝いをがんばってくれたおかげで、今日の収入は71万1787円でしたーーパチパチパチパチー』
「きゃーうーきゃー」
「みぃー」『大金持ちにゃの! すごいの!』
『ただいまの時刻は15時。わたしのお財布には10万円の軍資金が入っています。ダンジョン探索初日を記念してお買い物ツアーに行っちゃいましょう。メグちゃんとジョーちゃんは好きな物を買ってね。まずおもちゃ売り場に行く予定です。メグちゃんはどこか行きたいところはある?』
「みぃー」『本屋さんに行ってみたいの』
「まーうー」
『行き先が決まったよ。大きなスーパーの中に、おもちゃ売り場と本屋が入っているところがあるから、そこに行ってみるよ。出発ーー』
「きゃーうー」
「みぃー」『出発にゃのー』
◇
宿敵の本拠地ため池、塹壕な用水路、ゲリラ戦を仕掛けてくる田んぼ、前線拠点の川……宿敵たちの包囲網を命からがら突破してきたわたしは荒い息を整えていたよ。
『宿敵、朝より増えてるじゃん。なんでだよ』
「うーきゃー」
「みぃー」『透明スライムが11体出てきただけにゃの。ジョーちゃんも美紀ちゃんが遊んでくれていると思って喜んでるの』
『わたしは全力全開の真剣勝負なんだけどね。11体もいるなんて異常だと思わない?』
「みぃー」『たぶん気温が上がって活動が活発ににゃってるだけにゃの』
『そう言えばわたしが宿敵に息の根を止められかけたのも、こんな暑い夏の日だったね……いや、違うよ……宿敵アタックを受けて首がムチ打ちなったのは真冬だった……宿敵に追いかけられて泣かされた時は桜が咲いていた……田んぼに隠れていた宿敵にやられて腕を負傷したのは梅雨時……お寺に写生大会に行ってお手水から飛び出てきた宿敵に肩をやられたのは紅葉の頃……それだけじゃなかった……なんで忘れていたんだ……「みぃー」……宿敵は週イチでわたしの通学路に転がって待ち受けていた……でも中学生になるとあいつらが現れなくなっていた……なぜ??……「みぃー」ん! ごめんね、メグちゃん。考え込んでいて聞き逃しちゃったよ』
「みぃー」『美紀ちゃんがうつろにゃ目ににゃっていたの。ラノベテンプレで言うとハイライトの消えた目だったの。ずっとひとり言を念話で言っていたから心配ににゃったの』
『心配かけちゃったね。もう大丈夫だよ。宿敵の生態のことを考えていただけだからね』
「みぃ」『美紀ちゃんは気にちすぎにゃの。町の人は誰も気にちてにゃいの。透明スライムにゃんて日常風景にゃの』
『わかったよ、メグちゃん。……日常風景……誰も気づかない……裏では宿敵たちの恐ろしい陰謀が静かに……』
「みぃー」『ダメだったの。陰謀って言い出ちたの。アドバイスさんはもう放っておきなさいって言ってるち困ったの。そうにゃの! こういう時は話題の変更にゃの。美紀ちゃん、お買い物ツアーのスーパーって、あのスーパーにゃの?』
『メグちゃん! 陰謀……じゃなかったお買い物ツアーのスーパーはあのスーパーだよ。去年の秋に職業体験学習に来たから、よく知ってるんだ。わたしはもうこのスーパーのベテランと言っても過言じゃないよ』
「みぃー」『中学校には職業体験学習があるの? たのちそうにゃの』
『お弁当やお惣菜の割引シールも貼らせてもらったよ。3割引シールと半額シールだよ。割引すぎてびっくりしたよ』
◇
やってきました。おもちゃ売り場。
『ジョーちゃん、メグちゃん、好きなおもちゃを探してみて。たくさんあるから見るだけでも楽しいよ』
「だー」
「みぃー」『おもちゃ屋さんは前世の幼稚園の時以来にゃの。久ちぶりにゃの。行ってくるの』
わたしもおもちゃ売り場を探検だよ。おもちゃの探索者剣、おもちゃの探索者鎧、水鉄砲、魔法花火、ボードゲームの人生経験ゲーム霊和版や超大富豪ゲーム投資編、テレビゲーム機のグーパーチョキコンやプヨンポヨーション2、ゲームソフトの魔物の森やトラコンクエスト5やパイナルパンタジー7、魔法少女このはステッキ、魔法少女このは変身セット、探索者王カード、クーラームーン変身セット、ミカちゃん人形……テレビのCMで見たのがたくさんあるね。
ちょうど今アニメの再放送をやっている超魔道甲冑ヴァルキュリアの超合金もあったよ。懐かしいね。小学1年の頃にこのアニメが大好きで、テレビCMのヴァルキュリアのおもちゃがメチャクチャ欲しかったんだよね。ダメだったけど。値段はと……2万9800円だと? どういうこと? 子供のおもちゃだよね。なんでこんなに高いの?
養護院のちびっこたちには水鉄砲なんていいかも。夏だしね。ちょっと待て、わたし。水鉄砲なら100円ショップにもあったよ。最近の100円ショップは100円じゃないのが増えたから、一度値段を見てこないと。
「だーう、きゃーう」
『ジョーちゃん、何かいい物があったの? わたしにどれか教えてくれる?』
「まーーう」
飛んで行ったジョーちゃんを追いかけると、わたしが見ていた超合金ヴァルキュリアの箱にしがみつくジョーちゃんの姿があったよ。それを選ぶとはなかなか目が高いね、さすがだよ。再放送しているアニメを見たのかな?
『これでいい? 他にはない? 何でもいいよ』
「にーう」
『メグちゃんが決めるまで、ちょっと待っててね。他のを探していてもいいよ』
「みぃー」『ジョーちゃん、その超合金にしたの?』
「だーうー」
「みぃー」『ジョーちゃんテレビで見たのがあって良かったの』
「きゃーう」
『メグちゃんは何かいい物あった?』
「みぃー」『わたちのちらにゃいおもちゃばかりだったの。ゲームの魔物の森も画がかわいくにゃいの。こわいの』
『魔法少女このはステッキなんてどう? キラキラ光って音が鳴るよ。クーラームーン変身セットも大人気らしいよ』
「みぃー」『わたち、そんなに子供じゃにゃいの』
『そっかー、なにかいいのがあればいいんだけど』
「みぃー」『本屋に先に行ってていい? わたちラノベを見たいの?』
『いいよー。わたしもレジを済ませたら本屋に行くね。ジョーちゃんも先に本屋に行っててもいいよ』
メグちゃんとジョーちゃんは本屋に旅立っていったよ。わたしはこんな大金を一度に使うのが初めてだったから、レジで手が震えてしまったことは秘密だ。ジョーちゃんに頼んでたまに超合金ヴァルキュリアをさわらせてもらおうかな。
「みぃー」『このラノベが欲しいの』
『中二病でも探索したい1巻だね。7巻まで出てるから全部買っちゃう?』
「みぃ」『1巻だけでいいの。読んでおもしろかったら続きを買うの』
『だったら他の1巻もいろいろ買ってみたら』
「みぃー」『そうするの。大人買いするの。これとこれ、こっちもにゃの。この絵もいいの』
そんな感じでラノベを20冊ほど買ったよ。ジョーちゃんは本には興味がないみたいで、超合金ヴァルキュリアの箱にしがみついてたよ。気にいってるんだね。
メグちゃんはラノベと同じくらいの大きさだから、読むのが大変じゃないか聞いたら秘策があるそうな。秘策を披露してくれるということで、階段横のベンチに移動だ。
「みぃー」『ジョーちゃん、このラノベを情報板領域に取り込みたいの。お願いするの』
「だーうー」
『情報板が出てきてラノベを消しちゃったね。どういうこと?』
「まーうーあーう」
「みぃー」『ジョーちゃんがラノベを情報に変えて、情報板領域に入れてくれたの。ラノベの拡大、縮小も自由自在にゃの。情報板領域の外にも魔力や霊素でコピーを簡単に作れるの。ジョーちゃん、さっきのラノベのコピーを霊素でお願いするの。このくらいに小さくちてほちいの』
『おーラノベが小さくなって出てきたよ。すごいー』
「だー」
「みぃー」『霊素でできているから他の人には見えにゃいの。だから、わたちがどこでも好きな時に読めるの。こんな風に手で持たにゃくても、好きなところに固定できて手を使わずにページをめくれるの。これこそ究極の本にゃの』
わたしはメグちゃんの巧みなプレゼンに思わずパチパチと拍手をしたよ。
ジョーちゃんも早速超合金ヴァルキュリアを箱ごと取り込んでいた。自分の身長の2倍は大きなヴァルキュリアコピーを、いろいろな角度から真剣な顔で眺めている。とっても満足そうだ。良かったね。わたしも今度ヴァルキュリアコピーを借してもらおうかな。
わたしオススメの100円ショップにちょっと寄ってから、スーパーの1階の食品売り場で、明日のお昼ご飯とおやつ、それに養護院へのお土産の駄菓子をたくさん買って帰ったよ。リュックとレジ袋4袋に満載だ。明日みんなに配ってびっくりさせよう。
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