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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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82 宿敵絶滅計画の見直し

 春休みに島屋ダンジョンの攻略を少し進めたよ。81階層からは星明かりもない真っ暗闇の荒野で、メグちゃんとジョーちゃんの視界補助がないと、マトモに歩くのも無理だった。

 それでも、ここはわたしたちの新しい狩り場に決定だ。マジックバッグ作りの素材で、王種シャドウ系の魔核1個がグレーターシャドウ系の魔核5個分に相当したからね。

 マジックバッグ、あれだけ売ってるのにまだ予約待ちが長い長いリストになっているんだって。夏鈴ちゃんと相談して出荷を増やそうかな。


 81階層 レベル5526 王種シャドウ

 82階層 レベル5619 王種フレイムシャドウ

 83階層 レベル5712 王種アイスシャドウ

 84階層 レベル5805 王種レッドシャドウ

 85階層 レベル5898 王種ダークシャドウ

 86階層 レベル5991 王種イビルシャドウ

 87階層 レベル6084 王種デスシャドウ

 88階層 レベル6177 王種デバインシャドウ

 89階層 レベル6270 王種アビスシャドウ


 ◇


 わたしたちはヴァルキュリア紅に乗って、90階層のゲートキーパー部屋の前に立っているよ。


「準備OKなの」

「みぃー」『こっちもOKにゃの』

『この作戦はギリギリの位置取りが要求されるから慎重に行くよ』

「状況オールグリーンなの。作戦開始なの」


 ゲートキーパー部屋の扉を勢いよく開けた。部屋の中は赤い大きなスライムで埋め尽くされている。

 戸口の外からのライトバニッシュ攻撃はやっぱりダメ。


『部屋に入るよ』

「みぃー」『まかせるの』


 部屋に1歩踏み込んで、扉が閉まらない位置で赤色の大きなスライムを攻撃、光になって消えた。

 メグちゃんが赤デカスライムの魔石と魔核を収納。そして分析。

 他のスライムが赤く光り始めた。

 ヴァルキュリア紅を後ろに下がらせて、ゲートキーパー部屋の外に出たよ。


「みぃー」『ヒュージボムスライム、爆発するの』


 素早くゲートキーパー部屋の扉を閉めて、扉から離れた。そして領域防御魔法を展開して防御体制をとったよ。

 30秒ほど経った時、扉が大きく揺れた。爆発音は聞こえない。3分ほどその状態で待ってみた。


『そろそろ大丈夫かな』

「たぶん大丈夫なの」

「みぃー」『見てみるの』


 領域防御魔法を展開したままはゲートキーパー部屋の扉をそっと開けてみた。モノリスの前に宝箱が現れているね。


「魔物はいない。作戦大成功なの」

『メグちゃんもジョーちゃんもお疲れさまー。今度は爆発だったねー』

「みぃー」『ゲートキーパー部屋が罠みたいににゃってるの』

「副触手に抗議するのー」

『抗議してもたぶんダメかなー。副触手もそれが仕事みたいだし』


 ◇


 民事訴訟なんかもあったけど、平穏な日々が続いてわたしは大学2年生になったよ。

 メグちゃんとジョーちゃんは5歳になって、イーちゃんは9歳になった。メグちゃんもジョーちゃんも1歳の頃と外見が変わってないけどね。

 夏鈴ちゃんは松高大学に進んでわたしの後輩に。三つ子たちは川崎の陸軍大学校に進んで清美ちゃんたちの後輩になった。

 養護院の子たちはまた松高軍学校に進んだから、今年も進学祝いにミスリルブレスレット(アイテムボックス付き)を贈っておいたよ。それで身を守っておくれ。


 ◇


『メグちゃん、MMJのフィリピンへのスマホと空間通信カードの輸出が、経済産業省に止められたんだって』

「みぃー」『MMJの宇和島工場にもお隣りの工場にも、今まで通りスマホと空間通信カードを製造してもらうの。できた物はポップル社で全部引き取るの』

『そう伝えておくね』

「みぃー」『わたしたちがフィリピンに直接持って行ってもいいの』

『フッフッフ、メグ問屋、お主もワルよのー』

「みぃー」『美紀お代官さまこそにゃの』

『わーはっはー』

「みぃー」『わーはっはにゃのー』


『メグちゃん、MMJの岩本社長から連絡がきたよ。ベトナムとタイで現地企業との合弁会社に、魔力通信事業者の許可がおりたんだって。スマホと空間通信カードの販売の許可も』

「みぃー」『よかったの。岩本社長にまかせておくの』


『メグちゃん、岩本社長が、フィリピンからベトナムとタイに、スマホと空間通信カードを輸出するんだって』

「みぃー」『岩本社長にまかせておくの』


『メグちゃん、岩本社長が、フィリピンの工場を増設したいんだって』

「みぃー」『岩本社長にまかせておくの』


『メグちゃん、岩本社長が、製造用の刻印魔法陣をフィリピンにたくさん送ってほしいんだって』

「みぃー」『美紀ちゃん、がんばるの』

『がんばるよ』


『メグちゃん、ブラジルの企業がMMJとブラジルに合弁会社を作って、魔力通信事業をやりたいって言ってきたんだって。スマホと空間通信カードの販売も』

「みぃー」『どんどん進めていいの。岩本社長にまかせておくの』


『メグちゃん、宿敵たちの魔核は足りてる。宿敵たち、そろそろ絶滅しない?』

「みぃー」『透明スライムの魔核は天然物が50円から200円に高騰したの。だから透明スライムの養殖業者が日本にもフィリピンにもたくさんできてるの。ニュースで見たの』

『そっかー。ニュースは川スポしか見てないから全然知らなかったよ。宿敵たち養殖されちゃったんだ……。絶滅、無理かな?』

「みぃー」『無理にゃの』

『……宿敵絶滅計画の見直しが必要だね』

「みぃー」『そんな計画にゃいの』


 ◇


 宿敵たちの陰謀を把握できていなかったわたしは、図書館の新聞でニュースをチェックすることにしたよ。

 探索者高校にいた頃は寮の食堂のテレビでニュースを見ていたけど、今は川スポだけしか見てないから、世間の動向にうとくなっていたみたいだ。宿敵絶滅計画を見直さないと。


「世界レベルランキング1位の閃光のライトネルがレベル201に。世界記録を更新」

『メグちゃんがもらった閃光のライトネルさんのサインの価値が上がるね。ドラゴンネストダンジョンに行ってもう1枚サインをもらっておこうかな』


「世界のダンジョンのモノリスの模様の一部が変化。ダンジョンができてから初めての現象」

『イーちゃんに聞いてみようかな』


「サザビール社の業績、大幅赤字。社内システムを全て更新」

『イーちゃんのお返しが効いたみたいだね』


「今日のガーゴイル注意報。ガーゴイルは東京北部を中心に活動する見込み」

『川崎でガーゴイルを見なくなったと思ったら、北の方に戻ってたんだね』


「中国とロシア、中国とインドで国境紛争が発生」

『中国はまだ混乱が続いている感じかな』


「アメリカ軍と大学が使っているインターネットが使用できなくなって3ヶ月が経過。民間への開放は延期」

『誰かが空間ネットワークにちょっかいを出して、イーちゃんのお友達たちに逆襲されたのかな』


「太陽の活動が活発に。今年も猛暑の模様」

『宿敵たちが太陽の光に弱かったらいいのに』


「透明スライムの養殖事業が東南アジア諸国を中心に急拡大。10カ国で始まる」

『宿敵たちの勢力が急拡大……10カ国……どうすれば……』


 おそろしいニュースを見てしまったわたしは、静かに新聞を閉じて返却したよ。

 宿敵養殖事業の流行がすたれるまでは雌伏の時だ。

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