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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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76 サザビール社

「田中さま、私は今週末でサザビール社を退職することになりました。お会いするのはこれが最後になると思います」

「山本さん、急ですね。なにかあったんですか?」


 サザビール社にマジックバッグを売りにきたら、いつも平静冷静な山本さんから、めずらしく怒っている気配をただよわせていたよ。


「一昨日、サザビール社のアメリカ本社から急に降格通知がきたのです。それを本社に確認したら私の管理能力が低い、業務実績が悪いと難癖をつけられまして、今朝、解雇通知が届いたのです」

「解雇……。どこかに訴えるというのは?」

「私は管理職だから訴えても無理ですね。私も67歳ですから、すっぱりあきらめて田舎でスローライフをおくることにしました」


 顔は笑っているのに目が怒ってるよ。


「そこでです。田中さまの希望があれば、当店での取引記録を全て消しておきますが、いかがでしょうか?」

「えーと、お願いします?」


 何がそこでなのかわからないけど、山本さんに希望しておいたよ。

 愚痴をいろいろ言った山本さんは清々しい表情で、店の入口まで見送ってくれた。


「みぃー」『山本さんの愚痴がおもしろかったの』

『結構おちゃめな感じだったねー』

「おもしろい人だったのー」

『もうお昼だから、横浜でご飯を食べていこうか』

「食べていくのー。イーちゃんも呼んでくるのー」


 ジョーちゃんはパッと消えたよ。情報板領域を使って転移しているそうな。


「みぃー」『横浜にもガーゴイルが増えてきたの』

『あっちにも飛んでるね。清美ちゃんが川崎にも増えているって言ってたけど、ニュースに全然出てこないよね』

「イーちゃんを呼んできたのー」

「ご飯なのです。家系ラーメンに行ってみたいのです。テレビで見たのです」

「みぃー」『わたしも行ってみたかったの』

「わたしもラーメンなのー」

『じゃあ、家系ラーメンに行くよー』

「やったのです」


 ◇


 山本さんがいなくなったサザビール社にマジックバッグを売りにきたら、いつもの受付の成田さんがいなくて、別の人が受付をやっていたよ。


「何か用ですか?」

「ダンジョン品を売りにきました」

「会員カードを出してください」

「前にいた成田さんはどうしたんですか?」

「成田は退職しました」


 わたしは3年前に作って、アイテムボックスに入れっぱなしになっていたサザビール社の会員カードを出したよ。


「最低ランク会員ですか。確認してきます」


 受付さんは会員カードを持ってそのまま奥の事務所に行ったね。


『受付の成田さんも退職しちゃったんだって』

「山本さんといっしょなのー」

「みぃー」『新しい受付さん、ぶっきらぼうにゃの』


 40歳くらいの緑髪の変なチリチリモミアゲのおじさんが、受付さんといっしょに出てきたよ。


「もうすぐジェネラルマネージャーが来訪されるんだ。最低ランク会員のガキなんかほうり出せ」

「わかりました、山根店長」

「すいません。わたしはいつも山本さんに対応してもらっ」

「ガキが山本になんの用だ」

「いえ、山本さんに担当してもらっ」

「山本なら辞めたぞ。オレが山本の後任だ」


「美紀ちゃん、もう帰るのー」

「みぃー」『この店長ダメにゃの。もう帰った方がいいの』

『そうするね』


「なんでもありません。ちょっと山本さんに用事があっただけです。帰ります」


 3年間毎週のようにきていたサザビール社を、わたしはトボトボとあとにしたよ。

 最近はうまくいってたから、ひさしぶりにこういうことがあると効くね。今日は中華街でご飯の予定だったけど、ちょっと疲れたからそのまま帰らせてもらった。ごめんね。


 ◇


 ベッドでゴロゴロしてると、メグちゃんがきたよ。


「みぃー」『しょんぼり美紀ちゃんには悪いけど、アドバイスさんのアドバイスにゃの』

『どんなアドバイスなの?』

「みぃー」『変なチリチリモミアゲの店長は、帝国陸軍とつにゃがっているの。マジックバッグを売ったりしにゃい方がいいそうにゃの。情報が全部帝国軍に流れるの』

『そう言えばモミアゲ店長、緑髪だったね。緑髪派閥かー』

「みぃー」『まだあるの。スマホの情報を盗ろうと侵入者を送ってきているうちの1人がサザビール社の社長にゃの』

『マジで?』

「みぃー」『マジにゃの』

『そっかー。これはジョーちゃんにも言っておかないとね』



「はいはーいなの」

『ジョーちゃん、どうぞ』

「サザビール社を滅ぼすのー」

『滅ぼしたらダメだよ』

「ダメなの?」

『サザビール銀行やサザビール証券の口座には、わたしたちの貯金があるからね。滅ぼしたらなくなっちゃうよ』

「貯金を別のところに移すのー。それから滅ぼすのー」

『貯金を別のところに移すのはいい手だね。ついでに株券も移しちゃおう』

「みぃー」『移しておいた方がいいの。侵入者を送ってきたりしてるくらいだから、何をされるかわからにゃいの』

『じゃあ、みんなサザビール社から移しちゃうおう』

「そのあと滅ぼすのー」

『滅ぼさないからね』

「むーなのー」


 週イチのマジックバッグ10個売却は、MMJの岩本社長に頼んだよ。代金は売れた時にもらうということにしてね。



 証券口座は3つの証券会社に特定口座を作って株券と貯金を移したよ。今度はわたし、メグちゃん、ジョーちゃんの3人で証券会社を分けてみた。


『ジョーちゃんはトータルで2倍に増えてるよ。圧倒的な1位、優勝です。50銘柄も買っていてすごいねー』

「優勝なのー。やったのー。名前で選んだのが勝因なの。少しずつ集めたの」

『2位は1割マイナスのメグちゃんです』

「みぃー」『日経先物取引にはまってしまったの。損失が大きすぎるの』

『3位はもちろんわたし。大幅マイナスだよ。心機一転、今度こそがんばるからね』



 銀行は3大メガバンクと地元の松高銀行に口座を作って、サザビール銀行から貯金を移したよ。各銀行のオススメのクレジットカードも4枚作ってみた。


『クレジットカードが4枚できたから、みんなに1枚ずつ渡しておくね。メグちゃんとジョーちゃんは買いたい物があったら、わたしかイーちゃんに言ってね』

「みぃー」『ありがとうにゃの』

「ありがとうなのです」

「やったのー。わたしのクレジットカードなのー。お買いものなのー」


 ジョーちゃんはクルクルまわって喜んでいるね。


『変な物は買ったらダメだよ。ジョーちゃんはお買いもの帳を書いて、買ったものをわたしに教えてね』

「わかったのー」


 ジョーちゃんが何を買うのか心配になったわたしはお買いもの帳作りをジョーちゃんに頼んでおいた。


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