66 メグちゃんの会社、ポップル社
メグちゃんがちょっと落ちこんでいたよ。
『メグちゃん、どうしたの?』
「みぃー」『もうアッボル社は止めるの……』
『アッボル社はメグちゃんがずっと株を買っていたアメリカの会社だよね。前世ではスマホを作ったっていう』
「みぃー」『アッボル社の株、もう買えにゃくにゃったってサザビール証券の人に言われたの』
『株、買えなくなったの? なんでそんなことに?』
「みぃー」『委員会がダメみたいにゃことだったの。それはもういいの』
『いいの? わかったよ』
「みぃー」『もう株を買えにゃいから、アッボル社にスマホを作ってもらってバーンと株価を上げて大儲けしようと思ったの』
『さすがメグちゃん、すばらしい戦略だよ』
「みぃー」『それでアッボル社にスマホを作ってもらうやり方をアドバイスさんに相談したの。そしたら今のアッボル社の上の人はあまり良くにゃいそうにゃの。わたしとジョーちゃんで作った大切なスマホの技術を盗られちゃうって』
『アドバイスさんが教えてくれたんだ』
「みぃー」『わたしがずっと株を買っていたから調べていてくれたそうにゃの』
『メグちゃんとジョーちゃんが一生懸命作ったスマホが盗られる前で良かったよ。アドバイスさん、優しいね』
アドバイスさん、ストーカーだけどね。
「みぃー」『そうにゃの、優しいの。それでにゃの、わたし決めたの。わたしがスマホを作る会社を作るの。会社のにゃまえはポップル社にするの。アドバイスさんもそれにゃらいいそうにゃの』
『会社かー。作るの大変じゃないの』
「みぃー」『投資じゃないからアドバイスさんも手伝ってくれるの。美紀ちゃんにもお願いしたいの』
『何でも言ってね。ガンガン手伝っちゃうよー』
「みぃー」『ありがとうにゃの』
◇
『とおー』
「とおーなのー」
「みぃー」『とおーにゃのー』
わたしたちは華麗にダンジョンを囲む塀を飛び越えたよ。
「こんにちはー。相談にきましたー」
「お前が会社を作りたい? また変なことを始めたな」
「社員はお前1人? 会社は作った後も大変だぞ」
「全部楽にしたい? お前、また……」
「休眠している有限会社を買え」
「買い方? ちょっと待て。そんな商売をしているやつがいたから聞いてやる」
『とおー』
「とおーなのー」
「みぃー」『とおーにゃのー』
『さすが、スキンヘッドおじさん。これでメグちゃんの会社が作れそうだよ』
「スキンヘッドおじさん、よくしってるのー」
『いろいろなことを知ってるよね。またお礼しないとね』
「みぃー」『会社の住所がいるの』
『不動産屋さんかー。今度こそ、がんばるよ』
「みぃー」『お願いするの』
『前に1軒だけ、ちゃんとわたしの話を聞いてくれたところがあったから、まずそこに行ってみるよ』
◇
『やったよ、今回は1軒目の不動産屋さんで成功だよ』
「よかったのー」
「みぃー」『うまく借りられるといいの』
事務所の賃貸物件を3件ほど見せてもらえたんだけど、新しく作る会社だということや保証人がいないことを話すと、それだと賃貸はきびしいと言われて作戦タイム中だよ。
「みぃー」『マリーアントワネットは言ったの。借りれにゃいにゃら、買えばいいじゃにゃいの』
『前にも言ってたよね、それ。でも買っちゃうのは、いい手だよね』
「みぃー」『アッボル社の株を売ってるから資金はたっぷりにゃの。バーンと買うの』
『わたしも半分だすよ。ナンピン作戦再始動のために貯めてるお金がたくさんあるし』
「わたしもだすのー」
「みぃー」『美紀ちゃんとジョーちゃんにもお願いするの。共同購入にするの』
購入に切り替えると次々にいろいろな物件を紹介してくれたよ。貴族籍を剥奪された軍閥貴族が、横領したお金を返すために物件たくさん売りに出しているそうな。ここら辺は青髪派閥のナワバリだったからねー。
物件リストの中で、メグちゃんが一番お高い物件をバーンと選んで内覧することに。
大きな正門の横の小さな通用門から入ると、右手に2階建ての事務所、左手に大きな3階建ての工場、高さ2mくらいの塀に仕切られて奥には3階建てマンションタイプの大きな社宅、そのまた奥には100台の駐車場。敷地全体を囲む高さ8mの塀。
社宅は上から見るとコの字形で3LDK18戸。
敷地内は全て石畳でおおわれていて、建物には白いタイルが、塀にはレンガ調タイルが貼られている。
物件は中古なのに築1年半の超築浅。完成してすぐに貴族籍剥奪になって売り出されたそうな。お値段はなんと驚きの99億8000万円。
『メグちゃん、広すぎない?』
「ひろいのー。おおきいのー」
「みぃー」『大は小をかねるの』
『メグちゃんがいいならいいけど、塀が高くて分厚いから、陸軍の基地みたいに見えるよ』
「みぃー」『外から見たら要塞みたいにゃの。でも敷地のにゃかに入ると事務所も工場もマンションもおしゃれにゃの』
『事務所や工場に見えないよね。中世のお城に見えるよ』
「みぃー」『にゃんでこんな工場にゃのか不動産屋さに聞いておくの』
『そうだね』
「すみません。少し変わった工場に見えるんですが、何か理由でもあるんですか?」
「ここは有名な建築家が設計したデザイナーズ工場なのです。コンセプトはレベル100の魔物の氾濫にも耐えられる中世の城だそうです。私には変なデザインにしか見えませんが」
「あちらのマンションも敷地の外にあれば、個別に売れたのですが、工場の中なので買い手もつきませんでした。塀を壊すことも考えたのですが、塀にレベル100の素材を使っていて費用がかかりすぎて無理でした」
『正直な不動産屋だね』
「みぃー」『商売が下手かもしれにゃいの』
「みぃー」『建物の中もきれいで新築みたいにゃの。空調や魔力灯にゃんかの設備も揃っているの』
『事務所の中は机や椅子も揃ってたね』
「みぃー」『決めたの。バーンとここにするの』
『メグちゃんが決めたならいいよ。バーンと買っちゃうね』
「バーンなのー」
こうしてメグちゃんのポップル社の住所が決まったよ。
そして、ポップル社のお隣りは岡山から引っ越してきた院長先生の実家の工場だったよ。奇遇だね。あとでごあいさつに行かないとね。
◇
『おしゃれな感じのハンコだね』
「みぃー」『おしゃれなデザインを考えたの』
メグちゃんデザインで、ポップル社の実印と銀行印と認印とゴム印を作ってもらったよ。
『緑色と水色のでかわいいロゴマークだね』
「みぃー」『ポップル社にふさわしいロゴを考えたの』
『看板はベージュ地に茶色の文字を使った落ちついた感じのデザインだね。ポップル社のロゴマークがいいアクセントになってるよ』
「かわいいのー」
「みぃー」『ふふふーにゃの』
メグちゃんデザインでポップル社の看板を作ってもらったよ。
「みぃー」『これをポップル社の標準デザインにするの』
小さな子が胸をはって誇らしげにしている感じだ。
会社の口座は、松高銀行に作っておいた。
会社作りは、スキンヘッドおじさんの知り合いの浦方さんに依頼したよ。浦方さんは企業のM&Aや運営代行サービスの会社をしている人で、東京のガーゴイルを避けて大阪に避難中だって。
伝話でお願いすると、すぐに松高まできてくれて、会社販売相手との契約や地方法務局や税務署なんかへの届け出まで全部代行してくれる楽々パックで契約したよ。購入する会社は、浦方さんが持ってきてくれた休眠中の有限会社の販売リストの中から、資本金300万円の会社をメグちゃんがバーンと選んだ。
ついでに運営代行サービス楽々パックもお願いした。
「みぃー」『ポップル社ができたのー』
「おめでとうなのー」
『おめでとう。良かったね』
こうしてメグちゃんのポップル社ができたよ。
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