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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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65/125

65 3年H組

 伏見稲荷大社の千本鳥居を見たり稲荷寿司を食べたり、ジョーちゃんの希望でまた映画村に行ったりしながら、グルメ旅行を満喫しているうちに京都ざんまいの春休みは終わったよ。


「美紀ちゃんと海里ちゃんと同じクラスですわ」

「国公立大学コースのH組」

「3年H組の担任は横河先生だね。知らない先生だ」

「ずっと国公立大学コースの3年生の担任をしている先生ですわ」

「そうなんだ。大久保先生は、ずっと高校にこなかったけど、結局辞めちゃったんだね」

「新しい教育長のところ、ずっと行ってた。相手にされなかった。高校にこないからクビ」

「詳しいね、海里ちゃん」

「里江おばさんに聞いた」

「なんで里江さんが知っているかは置いておいて、疑問に思っていることがあるんだよ」

「なに?」

「陸軍のトップの変な口ヒゲの司令長官が紫髪派閥だよね。大久保先生も紫髪派閥だったよね。陸軍のトップが紫髪派閥なのに、大久保先生が総監督や学校をクビになったのはなんでかなって」

「それならわたしも知っていますわ。陸軍司令長官は、赤の魔道甲冑騒動で力をうしなって、全盛期の権力の1割も残っていないのですわ。だから自分の地位を守るのに手いっぱいで、他をどうこうする余裕がないのですわ」

「ほうほう、詳しいね、撫子ちゃん。赤の魔道甲冑騒動って会見でうそをつきまくってたやつ?」

「そうですわ。赤の魔道甲冑のニセモノを作ったことも陸軍高官から告発があったのに、あの陸軍司令長官は未だに黙ったままで何も話していないのですわ」

「ニセモノを作った素材の魔核、美紀ちゃんが持ってきた物。里江おばさんが陸軍に売った」

「マジで?」

「マジ」

「里江さんが陸軍の話に詳しい理由がわかったよ」


 ◇


 3年H組に集まっていた生徒は、1年生や2年生の時とまったく違っていたよ。わたしたち黒髪派閥が圧倒的多数派だ。そして女子が7割、男子が3割。


「今度のクラスは女子が多いね」

「男子は探索者コースや陸軍大学校コースに行く人が多いのですわ。国公立大学コースにはこないのですわ」

「なんとなくわかるよ」

「このクラス、軍閥貴族関係者、少ない」

「髪の色でなんとなくわかるよ」

「2年H組からきたのはわたしたちだけですわ」


 わたしはピンと閃いたよ。今こそ念願の高校デビューをかなえるチャンスだ。かっこいい自己紹介を考えるよ。やるよー。がんばるよーー。


 ◇


 始業式で体育館に集まった3年生のファッションを見ると、最新トレンドファッションが減っていたよ。とうとうあの変てこファッションのトレンドが変わる時がきたのか。感無量だね。


「美紀ちゃん、違いますわ。私立大学コースの生徒が普通の格好に戻っただけですわ。ファッション雑誌のトレンドは変わってないのですわ」

「そっかー。残念だよ」


 校長のあいさつが済んで連絡事項だ。


「1年B組担任の串田先生が1学年主任と学校対抗戦総監督を兼務します」


 緑髪の串田先生が出てきたね。


「串田だ。俺が正式に総監督になった。選手になるやつに言っておく。俺の言うことは絶対だ。逆らうことは許さん。逆らったら退学だ」


 またかー。去年、総監督だった大久保先生と同じことを言ってるよ。こんなのばっかだね、軍閥貴族。


「今の県の教育委員会の教育長が緑髪派閥なのですわ」

「串田先生の後ろ楯」

「金髪くんや赤髪くんは今年も学校対抗戦に出られそうにないね」

「去年の選手、みんな緑髪。たぶん今年も」

「金髪くんと赤髪くんはレベルがあまり上がってなかったのですわ。派閥に関係なく選ばれることはないのですわ」

「レベルで言ったら、撫子ちゃんも海里ちゃんも学年でトップだったよね。串田先生が何か言ってくるかもしれないよ?」

「生産魔法、安心」

「生産魔法のわたくしたちは大丈夫ですわ」

「生産魔法バリアだねー」


 ◇


 ホームルームで、50歳代のふくよかな女性、横河先生が年間スケジュールとカリキュラムを配ってくれたよ。

 定期試験と学校対抗戦は去年と同じだね。3月に卒業式。わたしも来年は大学生かー。

 カリキュラムは、ダンジョン実習がなくなってるね。毎日、座学授業だ。でも7限目がなくなって、6限目で終了だと? どういうこと?


「美紀ちゃん、3年生からは自分の進路に合わせた勉強に変わるそうですわ。先輩が座学の宿題もないって言ってましたわ」

「マジで?」

「マジですわ」

「ヒャッホー、わたしは自由だー」

「わたしも、ヒャッホー」

「美紀ちゃんや海里ちゃんが喜ぶ気持ちもわかりますわ。わたくしもやっとあの宿題地獄から抜け出せて、うれしいですわ。でも大学の推薦入試に向けて成績を維持しないといけないのですわ」

「川崎先生が言ってたけど、レベルが低いからわたしの国公立大学の推薦入試は難しいかもしれないって」

「横河先生に相談」

「そうですわ、海里ちゃんの言うとおり相談すればいいのですわ。それに推薦入試がダメでも、美紀ちゃんなら一般入試で余裕ですわ」

「そう、余裕」


 自己紹介は無難に終わったよ。探索者高校の中の国公立大学コースだからか、おとなしそうな人が多い感じだった。わたしは目立つ自己紹介を考えていたけど、空気を読んで自重したよ。あの金髪くんや赤髪くんみたいになりたくないからね。

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