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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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50/90

50 ヴァルキュリア紅、発進

 寮の食堂でトンカツ、ポテトサラダ、ご飯、お味噌汁という好きな定食ランキング1位に輝きそうな晩ご飯をおいしくいただいていると、テレビのニュースに岡山南西ダンジョンの氾濫の様子が映っていたよ。


「岡山南西ダンジョンで大岩蟻の大規模氾濫が発生してから13日が経過しました。現地からの中継です」

「こちらでは大岩蟻による建物の破壊が続いています。以前としてダンジョンからの氾濫が続いており、現在までにダンジョンから出た大岩蟻は約7万5000体とみられます。大岩蟻は周囲を制圧しながら拡がる動きを見せています。一部の大岩蟻は白光大梟と接触し威嚇する姿も見られました。岡山ダンジョン氾濫討伐軍によりますと15万人を動員し慎重に対応を進めているとのことです……」


「みぃー」『岡山南西ダンジョンで氾濫が起きてたの。知らにゃかったの』

「わたしもー」

『テレビのニュースでやってなかったのかも』

「みぃー」『ダンジョンの周りの建物が、きれいさっぱりなくなってるの』

「アリさんがガジガジやってるのー」

『テレビカメラが大岩蟻に威嚇されてるね。大岩蟻ってキーって鳴くんだ』

「アリさんがトリさんにおこってるのー」

『白光大梟、まだいたんだ。岡山中央ダンジョンの氾濫って半年くらい前だったよね』

「みぃー」『そのくらいだったの。前の討伐軍が10万人って言ってたのを憶えてるの』

「とうばつぐん、15まんにんなのー。たくさんなのー」

『本当にたくさんだねー。普通の大規模氾濫の3倍の動員数だよ。すごいねー』

「アリさんも7まん5せんたいなのー。たくさんなのー」

『大岩蟻もたくさんだねー。大規模氾濫だから全部出てきたら15万体くらいになるよ』

「アリさんも15まん、とうばつぐんも15まんなの。おなじなの」

「みぃー」『討伐軍が1人1体倒せば、討伐もすぐ終わるの』

『やっぱり戦いは数だよね。氾濫もすぐに片づきそう』



 ◇


『ごめんねー。せっかくの夏休みなのに』

「みぃー」『院長先生の実家が大変にゃの。そっちの方が優先にゃの』

「いんちょうせんせいをたすけるのー」

『ありがとね。メグちゃん、ジョーちゃん。お手伝いをお願いね』

「おてつだいがんばるのー」

「みぃー」『任せるの』


 夏休み初日にいつものように養護院に遊びに行ったら、院長先生が浮かない顔をしていたから、マリア先生にどうしたのか聞いてみたよ。院長先生に直接聞いても、はぐらかされちゃうからね。

 それでわかったことが2つ。養護院の出資者の家や工場の近くまで大岩蟻が迫っていること。養護院の出資者が院長先生の実家であること。

 院長先生の実家でもあるけど、わたしも出資者のおかげで大きくなれたようなものだからね。がんばることにしたよ。



『メテオシャワーメークアップ』

「みぃーうみぅーみぃみゃーみぃー」

「メテオシャワーメークアップなのー」


 かっこいいポーズで呼び出したヴァルキュリア紅に乗り込んだよ。


「みぃー」『空気清浄化システム、エアコンシステム作動にゃのー』

「じょうほういた、てんかいなのー。ぜんしゅうモニター、そとをうつしたのー。おんみつまほう、にんしきそがいまほうさどうなのー」

「みぃー」『情報板に戦術情報を載せたの』

「システム、オールグリーンなのー」

『わたしも動作確認OKだよ』

「みぃー」『ヴァルキュリアくれにゃい、発進にゃのー』

「はっしんなのー」

『ヴァルキュリア紅、発進』


「みぃー」『美紀ちゃん、練習の通りにやるの』

『あれって、ごっこ遊びかと思っていたよ』

「みぃー」『この速度なら3分で大岩蟻に接触するの。ジョーちゃんもワクワクしながら待ってるの』


 本当にジョーちゃんがワクワクしながら、わたしをキラキラした目で見てるよ。


『総員、戦闘準備! 目標大岩蟻』


 わたしはかっこよく右手を振って練習通りのキーワードを言ったよ。


「さくてきレーダー、アクティブモードで、きどうなのー」

「みぃー」『アウターネットの討伐承認おりたのー』

『戦術コア起動ー。オールウエポンフリー』

「みぃー」『思考加速システム、起動なのー』

「せんじゅつコアきどうかくにんなのー」

「みぃー」『アウターネットから地形建物情報ダウンロード、情報板にうつすのー』

『拡散型ジャッジメントレイ10枚展開』

「じょうほういた10まいてんかいなのー」


 操縦席の全周モニターにいろいろな情報が表示される中で、瀬戸内海を超えて目標地点に近づいてきたよ。


『目標地点到着。高度300m。防御システム起動』

「ぼうぎょシステムきどうしたのー」

「みぃー」『人間は離れているの。攻撃に巻き込むおそれはないの』

『戦術コア、攻撃目標大岩蟻、照準ロック追尾モード』

「みぃー」『照準ロック確認にゃのー。全力で3斉射いるのー』

『全力発射して大丈夫?』

「みぃー」『拡散型だからいいのー。3連射するのー』


 〈拡散ジャッジメントレイ全力斉射3連〉


 1枚の情報板から魔力たっぷりジャッジメントレイが100発に分かれて放たれた。思考加速モードだから、分かれて飛ぶジャッジメントレイも全部見えるね。10枚で合計1000発。これが3連射だから3000発だね。照準調整は戦術コアまかせだよ。

 拡散したジャッジメントレイは全て地上でうごめく大岩蟻に吸い込まれていった。

 戦術コアはミスリルゴーレムの魔核を使って、アドバイスさんの謎技術で作った物で、なんだかよくわからないけど便利な物だよ。ジョーちゃんが興味を持っていじくりまわして情報板に取り込んだりしていた。ジョーちゃんは天才かも。


「みぃー」『ジャッジメントレイ発射と同時に隠密、認識阻害がきれたのー。敵の攻撃に注意するのー』

「もくひょうぜんすうクリアなのー。じめんのしたにのこってるのー」


 大岩蟻はダンジョンから出て1ヶ月も経ってないから、まだ受肉してなかったみたいで、そのまま光に変わって魔石と魔核になったよ。


『魔石と魔核があんなに。距離がありすぎて、拾えないのがもったいないねー』

「もったいないないのー」

「みぃー」『次の時は拾えるようにアイテムボックスの機能をアップするの』

『地下の大岩蟻もやっておこう。このままいけるかな』

「みぃー」『拡散型ジャッジメントレイを今の100発モードから30発モードに変えれば届くの。でも地面の下の下水管の情報はないの』

『下水管に当たったら、あきらめてもらうよ。院長先生の実家優先だよ』


『戦術コア、攻撃目標地下の大岩蟻、照準ロック追尾モード』

「みぃー」『照準ロック確認なのー。全力で1斉射でいけるのー』


 〈拡散ジャッジメントレイ全力斉射1連〉


「もくひょうぜんすうクリアなのー」

『この辺は片づいたね。陸軍が前に出てきてなくて良かったよ』

「みぃー」『あっちの離れたところで固まっているの。よかったの』

『次に行くから、またよろしくね』

「がんばるのー」

「みぃー」『まかせるのー』


 〈拡散ジャッジメントレイ全力斉射3連〉……〈拡散ジャッジメントレイ全力斉射3連〉……〈拡散ジャッジメントレイ全力斉射3連〉……


『大岩女王蟻が3体もいたね』

「みぃー」『巣を作っていたの。大岩蟻はほとんど片づいたの。残っているとしてもはぐれ蟻が数十体くらいなの』

『大岩蟻、多かったね。15万体くらいいたんじゃないの』

「あたりなのー。せんじゅつコアのとうばつきろくは15まん4390たいなのー」

「みぃー」『大岩蟻はレベル70の魔石だったの』

『魔石だけで10億円いっちゃうね』

「みぃー」『白光大梟はどうするの? 索敵レーダーを見たら、真っ赤にゃの』

『あっちも10万体くらいいそうだよね』

「みぃー」『倒しに行かにゃいの』

『白光大梟は氾濫してから、もう10ヶ月近く経ってるから、受肉しちゃってるんだよね。メグちゃんやジョーちゃんには、見せたくない映像になると思うから』

「みぃー」『美紀ちゃんは大丈夫にゃの?』

『わたしは養護院で飼っていたニワトリを10羽ご飯にしたことがあるから慣れてるよ』

「わたしはへいきー」

『わたしが初めて見た時は、ちょっと気持ち悪くなったから、メグちゃんやジョーちゃんはもっと大きくなってからの方がいいよ』

「みぃー」『わたしとジョーちゃんの視界をアニメモードに変えられるそうにゃの。子供制限モードだそうにゃの。美紀ちゃんも使えるの』

『わたしはもう立派な大人だから、このままでいいよ。メグちゃんとジョーちゃんはそうしておいて』

「みぃー」『子供制限モードを適用したの』



「りくぐんのひとが、そこのあかいまどうかっちゅうおりてこいっていってるのー」

『大きなスピーカーで怒鳴っているね。隠密魔法と認識阻害魔法作動っと』

「みぃー」『白光大梟を攻撃したら、すぐに解けるの』

『だって、うるさいし。ちょっとここから離れるよ』


『15時のおやつの時間だから、チョコレートケーキでも食べてひと休みしようよ。メグちゃんもジョーちゃんも疲れたよね』

「みぃー」『わたしは疲れてにゃいけど、チョコレートケーキはたくさん食べるのー』

「わたしもたくさんたべるのー」



『それでさっきの話の続きなんだけど、白光大梟は動きが早いみたいだし飛んでくるから、大岩蟻みたいにはいかないと思うんだよね。逃げられたら追いかけるのも大変だし。だから白光大梟を上空に引き出して一網打尽にしようと思うんだけど、どうかな?』

「それでいいのー」

「みぃー」『わたしもいいと思うの』

『じゃあ、その作戦でいくよ』


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