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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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49/125

49 ドラゴン

 111階層からは、夜の岩場フィールドの階層だよ。


 111階層 レベル419 シャドウケルベロス

 112階層 レベル442 シャドウガルム

 113階層 レベル465 シャドウロック鳥

 114階層 レベル488 シャドウアダマンタイトゴーレム

 115階層 レベル511 シャドウリンドブルム

 116階層 レベル534 シャドウラドン

 117階層 レベル557 シャドウオリハルコンゴーレム


『シャドウアダマンタイトゴーレムだって。これもミスリルゴーレムの魔核と同じようにすればアダマンタイトができる気がするよ』

「みぃー」『当たりにゃの。魔核2個を合成すればいいの』

『やったー。大儲けだよ』

「やったのー。おーもうけなのー」


『シャドウオリハルコンゴーレムだって。これもアダマンタイトゴーレムの魔核と同じようにすればオリハルコンができる気がするよ』

「みぃー」『当たりにゃの。魔核2個を合成すればいいの』

『やったー。超高級金属オリハルコンだって。超儲けだよ』

「やったのー。ちょーもうけなのー」


 ◇


 シャドウアダマンタイトゴーレムとシャドウオリハルコンゴーレムの魔核のインゴット化は、ミスリルと同じように海里ちゃんと撫子ちゃんにお願いしたよ。

 海里ちゃんが魔核の合成して、撫子ちゃんがインゴットに成型をするようにね。2人の取り分もミスリルと同じで5%ずつ。

 インゴットは海里ちゃんのお家ルートで販売してもらうことに。


「最近、家の再興をするか迷っているのですわ」

「家、面倒なだけ」

「どうしたの? 撫子ちゃんは家の再興が夢だったんだよね」

「貯金が生涯年収の何倍にもなったのですわ」

「いいことだよね」

「そのお金で家の再興をするより、投資でもした方がいいような気がしてきたのですわ」

「投資するのも家の再興の一環のような気がするけど」

「わたくしの家の再興と言えば、軍で武功を上げて貴族に返り咲くことだったのですわ」

「低い貴族籍、もう買える」

「海里ちゃん、そうなのですわ。もう低位の貴族籍なら買えてしまうのですわ」

「貴族籍、買えるんだ。知らなかったよ」

「買っても名誉だけなのですわ。意味がない気がするのですわ」

「名誉だけだと、ご飯が食べられないもんね」

「それなのですわ。迷うのですわー」

「わたしだったら迷わずご飯をとっちゃうけどね。家のことはわからないから。でも投資も失敗すると大変だよー。わたしの買った株なんて半年もしないうちに10分の1の株価に下がって大変なことになってるから」

「美紀ちゃん、それ大丈夫ですの?」

「大丈夫だよ。今ナンピン作戦を実行中だからね」

「ナンピン、危険」

「そんなことないよ。順調に株の平均買い値が下がっているから」

「美紀ちゃん、来年税金増える。考えておかないとダメ」

「税金? 探索者税は源泉徴収だよね」

「おばさん仕事早い。美容品、すぐに売り出す」

「探索者税じゃないってこと?」

「美紀ちゃんの美容品の利益は別」

「ミスリルなんかのインゴットは、ダンジョン産品の共同納入という形にしているから、わたくしたちの税金も探索者税の2割なのですわ」

「ふむふむ」

「美紀ちゃんが美容品の製造方法を売った利益には、所得税がかかるのですわ」

「マジで?」

「マジ。来年、確定申告必要」

「だから領収書なんかを今から残しておいた方がいいのですわ」

「うわー、気づいてなかったよ。ありがとう。2人とも詳しいね」

「わたくしは貯金が増えたから勉強したのですわ」

「わたしは家の教育。美紀ちゃんは税理士事務所に依頼した方がいい」

「メグちゃんに相談してみるよ」

「メグちゃんならなんでも知ってる。すごい。安心」

「メグちゃん、あんなにかわいいのにすごいですわ」



『ということがあったんだよ。メグちゃん』

「みぃー」『税金のことはよくわからにゃいの。アドバイスさんも詳しくにゃいの』

『だよねー。スキンヘッドおじさんに今度聞いてみるよ』


 ◇


 今日もメグちゃんとジョーちゃんといっしょに島屋ダンジョンにきてるよ。


 118階層 レベル580 シャドウヒュドラ

 119階層 レベル603 シャドウドラゴン


『ドラゴンだ! ドラゴンがいるよ!』

「ドラゴン、アニメでみたのー」

「みぃー」『わたしも見たのー。ドラゴンとにゃかまににゃって、いっしょに戦うアニメにゃの』

『かっこいいよね、ドラゴン! わたしもそのアニメを見て小学生の頃ドラゴンの仲間がほしかったんだー』

「ドラゴン、なかまになるー?」

『無理かなー。ドラゴンネストダンジョンのドラゴンも、すぐに襲いかかってきて、話もできないんだって』

「なかまにならないのー。がっかりなのー」

『仲間にならなくてもドラゴンは子供たちに大人気なんだよ。ドラゴンの写真、カメラで撮って養護院の子たちに見せてあげようかな。そうだ。そうしよう』

「みぃー」『本物のドラゴンはゴツゴツして、ちょっとこわいけど、ちびっこに見せても大丈夫にゃの?』

『アニメでドラゴンをよく見てるから、たぶん喜んでくれると思うんだ。写真を撮るだけ撮ってみるよ』



『ドラゴンも戦っていると集まってくるはずだから、岩場の壁を背にして戦うよ』

「みぃー」『羽の生えた魔物はすぐに集まってくるから大変にゃの』

「ガルムもあつまってきたー」

『あの黒デカ犬はねー。ボッチを貫くケルベロスくんを見ならってほしかったよ』



「みぃー」『もう周りにいにゃいの。これで写真をとれるの』

「やっぱりたくさんあつまってきたのー」

『500体は倒したよね。集まりすぎだよ、ドラゴン。ジョーちゃん、もうちょっと結界で抑えておいてね。すぐに写真をとっちゃうから』

「まかせるのー」


 ピピッ♪


『ダメだ。フラッシュをつけても真っ暗で写ってないよ』

「みぃー」『ライト魔法で明るくしてみるの』

『そうするよ。ジョーちゃん、結界まだ大丈夫?』

「よゆうなのー」


 ピピッ♪


『ライト魔法で明るくしてフラッシュをつけても、背景は写るけどドラゴンが真っ暗な影のままだ……無理みたい』

「みぃー」『今日は帰って別の方法を考えるの』

『そうするよ』


 ◇


『じゃーん。高級カメラを買ってきたよ。これでいけるはず』


 ピッ♪


『失敗だー。またドラゴンが影のままだよ……』


 ◇


『じゃーん。光学式カメラを買ってきたよ。たぶん魔力式カメラがダメなんだ。今度は大丈夫なはず』


 カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪


『これをカメラ屋さんに現像に出せばいいんだよね』



 わたしは寮の部屋で失敗にうちひしがれていたよ。目の前の写真にはドラゴンの黒い影しか写ってない。


『また失敗、ダメだったよ』

「みきちゃん、げんきをだすのー」

「みぃー」『カメラ屋さんに聞いてみるの』


  緑ジャージ姿のジョーちゃんが、わたしの肩の上でポンポンと足踏みしてなぐさめてくれてるよ。

 カメラの説明書[暗い所では高感度フィルムを使う。露光時間を長くする。手ブレ防止で三脚を使う]の通りにしたけどダメだったよ。


  ◇


『カメラ屋さんに聞いてきたよ。超高感度フィルムと外付けストロボをたいてみればいいんだって』


 カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪



 わたしは現像されてきた写真を前に沈んでいたよ。


『またダメだったよ。黒い影だ』

「みぃー」『美紀ちゃん、もうあきらめた方がいいと思うの』

『まだだ。まだだよ。メグちゃん。あきらめたらそこで試合は終了だよ』


  ◇


『カメラ屋さんに聞いてきたよ。赤外線フィルターを使えばいいって。今度こそいける気がするよ』


 カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪、カシャッ♪



 緑色の影の写真を前に、わたしはしょんぼりへにょーんと肩を落としていたよ。


『カメラ屋さんもこれ以上は対策を思いつかないって。ドラゴンの写真は一時保留にするよ』

「みぃー」『一時保留にゃの?』

『いい方法を何か思いつくかもしれないからね』


 ◇


「お前ら! 今年のクラス対抗戦では戦車の分解は禁止だ!! 違反したやつは失格だーー!!!」


 今年のクラス対抗戦は、大久保先生の叫び声で始まったよ。


「チッ」

「邪魔だ! どけっ!」


 クラス席に戻った金髪くんは舌打ちしてブルーシートを占拠して不貞寝。赤髪くんは取り巻きに八つ当たりだ。


「撫子ちゃん、海里ちゃん、座れないね。どうしようか?」

「教室に戻る。他もそう」

「本当ですわ。他のクラスも戻っている人が多いですわ」


「金髪くんと赤髪くん、荒れてたね」

「今年も標的が重戦車だったから、みんな分解の練習をしていたのですわ」

「2年A組と1年A組は違う」

「あの2クラスは紫髪が集まっていて大久保先生の息がかかっているのですわ」

「クラス対抗戦でがんばっても学校対抗戦の代表選手は紫髪から出てくると思うけど」

「今年もまちがいなく紫髪が選手に選ばれるのですわ。また県大会ボロ負けするのですわ」

「そう言えば3年生には紫髪のクラスがなかったね」

「3年生は進路でクラスがわかれる」

「陸軍大学校、国公立大学、私立大学文系、私立大学理系、就職、探索者。進路で授業も変わるのですわ。進路調査が12月か1月にあるはずですわ」

「進路かー、全然考えてないよー」

「まだ時間はありますわ。ゆっくり考えればいいのですわ」

「撫子ちゃんと海里ちゃんは進路を考えてる?」

「国立大学の理系学部、目指す」

「わたしも国立大学の理系学部ですわ。これも美紀ちゃんのおかげですわ」

「わたしの?」

「大学の進学資金が貯金できたからですわ」

「そっかー、わたしが役に立てたみたいで良かったよ。でも大学だったら奨学金なんかもあるよね」

「3年前から給付型の奨学金はコネがないとダメみたいですわ。貸与型の奨学金も利率が普通の銀行より高くなっているのですわ」

「軍閥貴族の天下り」

「また軍閥貴族かー」


 クラス対抗戦の結果は、どこも重戦車を壊せず判定に。紫髪たちの優勝になったとさ。

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