45 映画村
『沖縄北ダンジョン。ここだね』
「みぃー」『周りはサトウキビ畑だけにゃの』
「だれもいないのー」
沖縄北ダンジョンのモノリスは、島屋ダンジョンと同じように塀で囲まれて、サトウキビ畑の中にポツンと立っていたよ。
『あの横のプレハブが出張所みたい』
「しまってるのー」
「みぃー」『ご用がある方は支部まで来てください おきにゃわ北ダンジョン出張所って書いてあるの』
『沖縄北ダンジョンでまちがいないね』
「みぃー」『ここは監視カメラもついてにゃいの』
『さっさと登録して沖縄観光に行っちゃおうか。もうお昼ご飯の時間だし』
「おひるごはん、さっきみたおみせにいきたいのー」
『さっきって大きな道路のところにあった牛丼店?』
「おきゃくさんがたくさんはいっていたのー。テレビでもみたのー」
「みぃー」『わたしも前世でも一度も行ったことがにゃいの。行ってみたいの』
◇
お昼時だから牛丼店は混んでいた。いかにも慣れたふうをよそおって、ちょうど空いたテーブル席に3人で座ったよ。そして他の人の注文を耳コピだ。
『わたしは何を頼むか決めたよ。メグちゃんとジョーちゃんはどう?』
「みぃー」『みきちゃんとおにゃじのにするの』
「わたしもなのー」
これは責任重大だね。店員さんがきた。わたしは耳コピした言葉をそのまま言ったよ。
「チーズ牛丼特盛りツユダクカレー大盛り玉子味噌汁サラダお新香。これを3セットで」
注文成功。初牛丼店だったけど、なんとかなったよ。
牛丼カレー盛り盛りペアとのきびしい戦いを制したわたしは、苦しいお腹をかかえて牛丼店の裏の道でひと休み中だ。メグちゃんとジョーちゃんは完食してもケロリとしている。さすが大食いチャンピオンペアだ。
これでわたしたちも、チー牛と呼ばれる資格を得たかもしれないね。
「みぃー」『美紀ちゃん、食べ過ぎにゃの』
『今度からはちゃんとメニューを見て注文するよ。本当に』
そのあとは首里城を見たり、大きな鍾乳洞に入ったり、国際通りでお土産を買ったりと観光を楽しんだ。
市場で青い熱帯魚や豚足が売られているのも見たよ。有名な豆腐ようもあったから、今度来た時に挑戦してみよう。
沖縄観光を満喫したわたしたちはまた高高度飛行で寮に帰ったよ。またちょっと通り過ぎちゃったけど、それでも20分で帰れたよ。遠出には本当に便利だね、高高度飛行。
◇
映画村にやってきたよ。ここは江戸時代の町並みが再現されているんだって。ヴァルキュリア紅で飛んできた京都の中心街は人出が多かったのに、映画村は観光客が少なめだね。わたしは少ない方がいいけど。
今日のジョーちゃんは遊ぼう将軍の町遊び姿だ。ちょんまげカツラも似合っているよ。メグちゃんは町娘姿。メグちゃんも似合っているね。
「あそぼうしょうぐんがサンバをおどっていたおみせがあるのー」
「あそぼうしょうぐんがサンバをおどっていたみちなのー」
「あそぼうしょうぐんが、ちかやまのギンさんにゴヨウされたふなつきばなのー」
「おしらすなの。あそぼうしょうぐんがサンバをおどりながらギンさんぶぎょうをせいばいしたの」
ジョーちゃんが楽しそうに時代劇の場面を教えてくれたよ。遊ぼう将軍、サンバ踊りすぎ。
「みきちゃんもあそぼうしょうぐんになるの」
『ジョーちゃんが勧めるなら、やってみようかな』
時代劇衣装体験をやってみた。
『ふっふっふー。ジョーちゃんとお揃いの衣装にしてみたよ。似合うー』
「みぃー」『美紀ちゃんがちょんまげにゃの。プークスクスにゃの』
メグちゃんがコロコロ転がりながらコロコロ笑ってるよ。
『ジョーちゃん、成敗だよ』
「メグちゃん、かくごなのー」
ポンッと煙が出てメグちゃんも遊ぼう将軍姿に変わったよ。
「みぃー」『やられたのー。ガクッにゃのー』
パタンと倒れたメグちゃん。ノリがいいね。
『メグちゃん、ジョーちゃん。もうすぐサンバパレードの時間だから行くよ』
ちびザムライ姿の2人を、わたしのちょんまげの上に乗せて、広場にGOだ。
◇
広場に来たよ。観客が200人くらい集まっている。春休みだからか家族連れが多いね。
広場に高らかにサンバの笛が鳴り響いてサンバの音楽が流れた。油問屋の壁が開いて、時代劇の衣装を着けた20人くらいの人がピカピカ光る山車と一緒に踊りながら出てきたよ。
「おにわばんのひとがいるのー。せいばいをするひとなのー」
ジョーちゃんがクルクルまわって興奮気味だ。メグちゃんもいっしょにクルクル楽しそうにまわっているね。
先頭でサンバを踊っている2人は、遊ぼう将軍に出てくるお庭番1号、2号の人だ。ドラマと同じキレのあるサンバを踊っている。よく見たらサンバを踊っている人は先頭の5人だけで、後ろの15人はサンバのリズム合わせて高速阿波踊りを踊っているよ。遊ぼう将軍のエンディングで町の皆さんが踊っている高速阿波踊りだ。笑顔で踊っているけど大変そう。
「こうそくあわおどりなのー。ほんものなのー」
ジョーちゃんとメグちゃんもフヨフヨ浮きながら高速阿波踊りを踊っている。上手いね。メグちゃんも練習したのかな?
サンバパレードの一行が、広場を3周まわったところでピカピカ光る山車の上部がパカッと開いて、紙風船が10個飛ばされた。フワフワ浮いていて、ゆっくり下に降りてきている。紙風船の上に小さな風船がついているから、それで浮いているのかな?
「みぃー」『あれはおみくじ紙風船にゃのー。美紀ちゃん、とるのー』
手を伸ばして取ろうとしたけど、紙風船は急な風に流されて、家族連れのところに飛んでいってしまったよ。取れた家族は喜んでいるね。サンバパレードは油問屋の壁の中に戻っていった。
『メグちゃん、ゴメンね。取れなかったよ』
「みぃー」『いいの。あれは風が悪いの』
『あの紙風船って、おみくじなの?』
「みぃー」『紙風船の上についている小さな風船を割ると、中におみくじが入っているの。たまに近山の銀さんのサイン入り御用扇子の引換券が入っていることもあるの』
「御用扇子かー。御用扇子だったら土産物屋に売ってたよ。サインは入ってないけど買いにいこうよ」
「みぃー」『おみくじが兆吉だったら、願いごとがちょっとだけかにゃうの。伝説にゃの。でもいいの。美紀ちゃんが取ろうとしていた紙風船のおみくじは超凶だったの。取ったら大変だったの』
超凶おみくじを見てがっくりしているお父さんをからかっている子供がいる。
「超凶おみくじってあるんだ。逆にめずらしいね」
「みぃー」『取ったら3日間、安静にしにゃいといけないの。伝説にゃの』
「おみくじが凶だったら、どうなるの?」
「みぃー」『1時間、安静にしにゃいとダメなの。伝説にゃの』
「すごい伝説だね」
「みぃー」『テレビで言ってたの。伝説にゃの』
「ジョーちゃんはサンバパレードを撮影しなくて良かったの?」
「わすれていたのー」
「みぃー」『午後にはまたパレードがあるから、見ればいいの』
そんな感じでメグちゃんとジョーちゃんと一緒に映画村を見てまわったよ。
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