43 100階層到達
ヴァルキュリア紅で島屋ダンジョンの92階層を飛びまわってみたよ。操縦席の中は振動もないし、急発進しても急停止しても急に曲がっても、体感はゼロ。寮の部屋にいるのと変わらないね。
メグちゃんとジョーちゃんは、おやつを食べ始めたよ。今日のおやつはチョコレートだって。人が食べているのを見ると自分も食べたくなるよね。わたしもおやつにしよう。
目についたシャドウカトブレパスをレーザー魔法で倒して、魔石と魔核を収納。100体くらい倒したら、そのままモノリスまで飛んでいったよ。時間にして10分ほどで93階層に到着。
93階層はシャドウコカトリス、94階層はシャドウバジリスク。どちらも毒持ちで空気が毒々状態だったから、ヴァルキュリア紅でそのまま攻略。
92階層 レベル230 シャドウカトブレパス
93階層 レベル237 シャドウコカトリス
94階層 レベル244 シャドウバジリスク
そして95階層の入口ホールで大変なことに気づいたよ。
『レベルが223のままだ……』
「あがってないのー」
『上がってないの。レベル244のシャドウバジリスクを100体倒して上がらないのはおかしいよね』
「みぃー」『ちょっと聞いてみるの』
『お願いね』
「みぃー」『わかったの。魔物を倒した時の存在力がヴァルキュリアくれにゃいの方に行ってるの。美紀ちゃんまで届いてにゃいの。これは普通の軍用魔道甲冑でも起こっていることだそうにゃの』
『普通の軍用魔道甲冑でも起こってることなんだー。今はラクラク空の旅だけど、このままレベルが上がらないと、どこかで攻略が行き詰まっちゃいそうだね』
『ちょっと待てわたし……別にレベルが上がらなくてもいいような……』
「みぃー」『アドバイスさんからの伝言にゃの。この先にシャドウの上位種がたくさんいるの。マジックバッグを作るなら先に進んだ方がお得だそうにゃの』
『お得かー。思わず飛びついちゃう言葉だよねー』
「みぃー」『わたしとジョーちゃんが成長するためにも、ダンジョンの深層に行った方がいいそうにゃの』
『メグちゃんとジョーちゃんの成長のためかー。それなら、わたしがんばるよ。わたしの最優先はメグちゃんとジョーちゃんで、その次が養護院だからね』
「みぃー」『ありがとうにゃの。うれしいの。わたしも一番大切にゃのは美紀ちゃんとジョーちゃんにゃの』
「わたしもいちばんたいせつなのは、みきちゃんとメグちゃんなのー」
『メグちゃんとジョーちゃんもありがとね。うれしくて涙がにじんできたよ』
わたしはメグちゃんとジョーちゃんを、そっと手に乗せてほっぺたスリスリをしたよ。
「みぃー」『もうひとつアドバイスさんからにゃの。美紀ちゃんの鈴木魔社の株価が底まで落ちてるの。そろそろ見た方がいいそうにゃの』
『メグちゃん、ジョーちゃん、すぐに帰るよ。ダンジョンはいつでもこれるけど。株価は待ってくれないからね』
「おうちにかえるのー」
◇
『株価がわたしの買い値の10分の1になってたよ。なんでこんなことに……』
「みきちゃん、ヨシヨシなの」
わたしは寮の部屋の床に両手をついて、ひさしぶりのorz体勢に移行したよ。ジョーちゃんが頭をなでて、なぐさめてくれてる。
「みぃー」『元気を出すの。口座には損した分より、たくさんのお金が残っているの。また稼げばいいだけにゃの』
『最近は週イチでマジックバッグを売っていたからね。現金はたくさんある……』
orzをしている場合じゃなかったよ。わたしはグッっと身体に力を入れて立ち上がった。
『わたし決めたよ。ナンピン作戦を再始動するよ。アドバイスさんも底値だって言ってたし』
「みぃー」『たしかに底まで落ちてるって言ってたの』
『やるよー。指値注文でナンピン作戦いっちゃうよー』
「げんきがでたのー。よかったのー」
「みぃー」『ヤケになってるような感じもするの』
◇
95階層からは、ヴァルキュリア紅は使わずにいつも通りの生身で挑んだよ。メグちゃんとジョーちゃんはアバターで本体は情報板領域に退避だね。
『レベル223でレベル251のシャドウマンティコアを相手にしても、なんとかなるもんだね。もちろんメグちゃんやジョーちゃんがたくさんお手伝いしてくれたおかげだけど』
「けっかいで、たくさんがんばったのー」
『ありがとね。ヨイコ、ヨイコ。メグちゃんもヨイコ、ヨイコ』
「えへへなのー」
「みぃー」『くすぐったいのー。レベル22でレベル25の魔物と戦ったと思っておけばいいのー』
『そういうことかー。レベル差ばかり見ていたよ。3レベル高いだけの魔物なら、なんとかなるね』
95階層 レベル251 シャドウマンティコア
96階層 レベル258 シャドウサイクロプス
97階層 レベル265 シャドウワイバーン
98階層 レベル272 シャドウイービルアイ
99階層 レベル279 シャドウアンフィスバエナ
100階層 レベル341 シャドウソウルイーター[ゲートキーパー]
97階層のシャドウワイバーンで、わたしのモットー[一撃瞬殺]ができなかったよ。魔力を過剰供給しても中級魔法のレーザーだと、ここが限界みたい。わたしの切り札ジャッジメントレイ上級魔法を普段使いにしたけど、何か必殺技を持ってないと、ちょっと不安だね。新しい魔法陣を探さないと。
99階層はアンフィスバエナのせいで、空気が毒々状態になっていたから、ヴァルキュリア紅を使ったよ。
やってきました100階層。
『100階層だけど、いつものゲートキーパー部屋の扉しかないね』
「みぃー」『このダンジョンは121階層まで……ちょっとタイムにゃの……さっきのはにゃいしょだったの。忘れるの』
「121かいそうまでなのー」
「みぃー」『ジョーちゃんも忘れるの』
「わかったのー。わすれるのー」
『内緒なんだー。忘れておくねー、たぶん』
「みぃー」『たぶんじゃにゃいのー』
わたしたちはゲートキーパー部屋の大きな白い扉の前に立っていた。メグちゃんもジョーちゃんも、キリッとした表情かな?なんとなくそんな感じがしないでもない表情で扉を見ている。
『作戦はさっき話した通りだよ』
「みぃー」『準備OKにゃの』
「OKなのー」
『いくよ、3、2、1』
わたしはそっと扉を開けてゲートキーパー部屋をのぞいてみたよ。半透明の黒い影のような魔物が10体漂っていた。見えているのに認識できない、そんな不思議な感覚だ。
「たべちゃーだめなのー。むーなのー。おしおきなのー」
ジョーちゃんが急にあらぶって、黒い影はそのまま光になって消えたよ。消えた後には魔石と魔核が残っている。
『シャドウスペクターの時に見たのと同じ現象だね』
「わるいこが、みきちゃんをたべようとしたの。だからおしおきしたのー」
『ジョーちゃんが守ってくれたんだね。ありがとね。ヨイコ、ヨイコ』
「みきちゃんはわたしがまもるのー」
「みぃー」『ジョーちゃんがシャドウソウルイーターを倒したの』
『イギリスでソウルイーターが1体ダンジョンの外に出てきて、1000人以上の被害者を出したことがあるそうだよ。その時はすごい儀式魔法で倒したらしいけど。やっぱりこういう攻撃はされてもわからないね』
「みぃー」『もっとレベルを上げるしかにゃいの』
『メグちゃんやジョーちゃんの成長もあるからね。がんばるよ』
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