42 レベル測定
「レベル測定、待つ時間、長い」
「鑑定板が1枚しかないからねー」
「海里ちゃん、美紀ちゃん、鑑定板は全国でも5000枚くらいしかないそうですわ」
「入試でも使うから、この時期は取り合いになるんだってね」
「うちも昨日入試だった」
今日は年に一度のレベル測定の日だよ。2年生の測定が先で、その次が1年生。A組から順番にやってるから、わたしたち1年H組は一番最後。さっきからずっと待っているよ。
時折、他のクラスから歓声が聞こえるのはレベルがかなり上がっていたのかな。
「金城くんは、レベル32です。レベル31から1レベル上がっただけです。もう少しがんばりましょう」
「赤間くんはレベル31です。レベル30から1レベル上がっただけです。もう少しがんばりましょう」
担任の川崎先生が入試の時に測定したレベルと今回のレベルをくらべてコメントしているね。金髪くんと赤髪くんは、この1年で上がったのは1レベルだ。学校対抗戦に力を入れてたからかな。
「青山くんはレベル29です。入学した時と同じですね。放課後、職員室にきてください」
元青髪くんはお呼ばれと。レベルが上がってないもんね。
「黒田さんのレベルは29です。レベル25から順調に上がっています。その調子でがんばってください」
菜々子ちゃんが、元青髪くんのレベルに追いついたね。
くーくっくっくー。もうすぐわたしのレベル223が火を吹くよ。わたしのアオハル高校計画が再始動するよ。
「田中さん、レベル23。レベル14からがんばりましたね」
……あれーー? どういうことさ? わたしは疑問を浮かべながら席に戻ったよ。
「三条さん、レベル26です。レベル15からよくがんばりました。今までで一番のレベルの伸びです」
「村上さん、レベル26です。レベル15からよくがんばりました。三条さんと同じパーティでしたね」
なんですと? レベル126だったよね、撫子ちゃんと海里ちゃんのレベル。2人ともなんでもないような顔をして席についたよ。昼休みの時に聞いてみないと。
「レベル測定うまくいきましたわ。良かったですわ」
「調整したおかげ」
「……調整?」
「美紀ちゃんも調整したのですわ?」
「……あまりしなかったかな」
「わたしと海里ちゃんは12月からレベル調整をがんばったのですわ」
「2人とも階層攻略のスピードを上げていたもんね」
「そう、がんばった」
「美紀ちゃんが悪目立ちすると、悪い人が寄ってくると言ったからですわ」
「探索者ランク6で止めた」
「レベルも気をつけたのですわ」
「そうだったね。レベルも気をつけないといけないよね」
レベルが高くても悪目立ちするんだったよ! そのことに気づいてなかったわたしは女子高生らしく、2人の話に合わせておいたよ。
鑑定板の謎は、2人には当たり前のことみたいな感じだったから、なんとなく聞きそびれちゃったよ。わたしにも女子高生としてのプライドがあるからね。あとでメグちゃんに聞いてみよう。
◇
「みぃー」『アドバイスさんに聞いたの。鑑定板はレベルの2桁しか表示できないの。レベル223だと23と表示されるそうにゃの』
『マジですか、メグちゃん先生』
「みぃー」『マジにゃの』
『そういうことかー。やっと謎が解けたよ』
「みぃー」『良かったの』
「なぞがとけたの? めいたんていなの。めいきゅういりはふせげたの」
ジョーちゃんが、前に3人でお揃いで作った鑑定ルーペを出して迷探偵コナキごっこを始めたよ。
『ジョーちゃん、そういう事件の謎じゃないからね』
「ばっちゃんのなにかけてなのー」
『でも、それだとレベルが100を超えた人は、測定ができないよね』
「みぃー」『3桁の人のレベルを見たいにゃら、鑑定ルーペを使えばいいそうにゃの。3桁のレベルを見れるの』
『鑑定ルーペって、ジョーちゃんが遊んでいるこれのことだよね。サザビール社の山本さんも使ってるくらいだから、世間に出まわってそうだけど』
「みぃー」『ジョーちゃんが持っているのが人のレベルを見れる鑑定ルーペにゃの。山本さんが使っているのはアイテム鑑定ルーペだから、アイテム情報しか見れにゃいの。鑑定ルーペはアイテム鑑定ルーペの上位版にゃの』
「クロはレベル15なのー。クロコやクロミはレベル13なのー」
『金魚にもレベルがあるんだー。なんで上がってるんだろ?』
「ないしょなのー」
ジョーちゃんが犯人のようだ。
『鑑定ルーペでメグちゃんやジョーちゃんを見たことがあるけど、レベルは表示されなかったよ』
「みぃー」『わたしとジョーちゃんにはレベルがにゃいの。霊素をためてパワーアップするの』
『そっかー。初めて知ったよ』
後日、1年生の廊下に貼り出された1年生のレベルランキングは、1位がA組の生徒でレベル39だったよ。
◇
島屋ダンジョンの92階層の入口ホールにきたよ。前に黒首長牛の毒で撤退した階層だね。
『メテオシャワーメークアップ』
「みぃーうみぅーみぃみゃーみぃー」
「めておしゃわーめーくあっぷなのー」
カッコいいポーズを決めたわたしの横で、メグちゃんもジョーちゃんも同じポーズを披露だ。最初メグちゃんは『わたしはもうレディーにゃの。変身ごっこはしにゃいの』と言っていたけど、しっかり練習にも参加してくれたよ。
わたしたちの前には、高さ3mのヴァルキュリア魔装(紅色)があらわれた。わたしがアイテムボックスから出したんだけどね。
胸部装甲から赤い光が出てメグちゃんとジョーちゃんが吸い込まれていった。わたしも乗らなきゃね。わたしも胸部に向かって飛ぶと赤い光につつまれて中に吸い込まれたよ。
ヴァルキュリア魔装(紅色)の操縦席は直径3mの球状の広びろ空間だ。わたしはその中心に浮いてるよ。
なんでこんな謎な操縦席になったのかと言うと、その発端はジョーちゃんの要望からだった。
「わたしもみきちゃんといっしょにのるのー」
『魔装の中はせまいから、わたしが動いたらジョーちゃんを潰しちゃうよ』
「いやなのー。みきちゃんといっしょにのるのー」
『危ないからね。イタいイタいになっちゃうよ』
「いやなのー。のるのー」
ぷいぷいとクビを振っていやいやを発動するジョーちゃん。第2次いやいや期かな?
「みぃー」『わたしもいっしょに乗りたいの』
「メグちゃんもいっしょにのるのー」
ここでメグちゃんまで参戦だ。
『今のままでは中がせまいし、魔装を大きくしたら、わたしが動かせなくなっちゃうからね』
「みぃー」『3人で乗れるいい方法があるって、アドバイスさんが言ってるの』
「やったのー。いっしょにのれるのー」
『マジで?』
それからアドバイスさん提供の謎技術を使った魔改造が始まったよ。操縦席が広びろなのは謎の空間拡張技術のおかげだそうな。わたしが操縦席の真ん中に浮いているのは謎の重力制御技術。呼吸ができるのも謎なマジックバッグ空気貯蔵と空気清浄化技術のおかげだとさ。
わたしはメグちゃん(アドバイスさん)に言われたとおりにしていただから、何をしているのか全然わからなかったよ。ジョーちゃんはウムウムとうなづいていたから、何かわかったみたい。
そうして魔改造されたヴァルキュリア魔装(紅色)は、メグちゃんによってヴァルキュリア紅と名づけられたよ。そっちの方がカワイイそうな。
「みぃー」『空気清浄化システム、エアコンシステム作動にゃのー』
「じょうほういた、てんかいなのー。そとをうつしたのー」
「みぃー」『情報板に戦術情報を載せたの』
「システム、オールグリーンなのー」
「みぃー」『ヴァルキュリアくれにゃい、発進にゃのー』
「はっしんなのー」
『ごめんね。わたしの動作確認がまだだから、少しだけ待って。少しだからね』
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