39 洋食レストラン
「もーいーくつねーるとー♪ クリスーマスー♪」
「みゃーみぃみぃみぃーみぃーみゃ♪ みゅみぃみぅーみゃみゅー♪」
『メグちゃん、ジョーちゃん、ケーキ作りのお手伝いありがとう』
「みぃー」『わたしがたくさん食べたいからなの』
『たくさん作ろうね』
「わたしもたくさんたべるのー」
『ちょっと食べるのはいいけど、全部食べるのはダメだよ』
今日は養護院で、佐藤先生指導のもとメグちゃん、ジョーちゃん、中学生女子組といっしょにクリスマスケーキ作りをしているところだよ。
去年のクリスマスケーキがちょっとボソボソになったから、雪辱戦でもあるよ。
今年はクリスマス料理だけじゃなく、お正月料理にも挑戦する。おせちにお餅にお雑煮、おしるこ他。
全部作るのは大変だと思ったけど、佐藤先生の話では黒豆や栗きんとん、昆布なんかもスーパーに売っているから、それを使えばいいそうな。手を抜けるところは抜いてやらないと、大変なんだって。
おせち料理を丸ごと買う家庭も多いみたい。来年は買ってプロの味を知ってみるのもいいかも。
クリスマスプレゼント選びは、中学生組にお願いしたよ。卒院したわたしには何のプレゼントがいいかわからないからね。
わたしの時はお肉とお菓子が欲しいと思っていたから。
◇
『メグちゃん、ジョーちゃんはクリスマスプレゼント何がいい?』
「プレゼントなのー。うーんなのー」
「みぃー」『わたし洋食レストランに行ってみたいの』
『洋食レストラン?』
「みぃー」『前世でちょっと退院した時にデパートの洋食レストランに連れていってもらったことがあるの。また行ってみたいの』
『クリスマスプレゼントじゃなくても言ってくれたら、いつでも行くよ』
「みぃー」『洋食レストランに行った時もクリスマスイルミネーションがきれいだったの。それに前はあまり食べられにゃかったから、今度は思いっきり食べるの。食いだおれるの』
『食いだおれ……わかったよ、いい洋食レストランを探すね。ジョーちゃんは何がいい』
「わたしもようしょくれすとらんなのー。くいだおれるのー」
『わかったよ。みんなで食いだおれだね』
◇
冬休みに入り、撫子ちゃんと海里ちゃんは帰省中。そんな年の瀬、洋食レストランにきてるよ。
『メグちゃん、ジョーちゃん、今日は食べ放題だよ。メニューを見て好きな物を言ってね』
「みぃー」『最初はかけつけグラタンからにするの』
『さすがメグちゃん、グラタン好きだね』
ジョーちゃんの目がきらんと輝いたよ。
「わたしは、おこさまランチにするのー」
『やるね、ジョーちゃん。お子様ランチを選ぶとは。先にそれを頼んでおくから、他に頼みたい物を探してね。なんだったらメニュー全部でもいいよ』
「クリスマスプレゼントすごいの」
「海老グラタン1つ、お子さまランチ1つ、お願いします」
「シーフードグラタン5つ、お子さまランチ5つ、お願いします」
「オムライス4つ。目玉焼きハンバーグ4つ。コーンポタージュスープ4つ。オレンジジュース4つでお願いします」
「チーズとんかつ4つ、ハヤシライス4つ、オニオンスープ4つ、ジンジャーエール4つお願いします」
「チキン南蛮4つ、ポテトサラダ4つ、海老ピラフ4つ、コーラ4つお願いします」
「照り焼きチキン4つ、白身魚のフライ4つ、ガーリックライス4つ、はちみつレモン4つお願いします」
「フライドチキン4つ、コンソメスープ4つ、ピザトースト4つ、サイダー4つお願いします」
「ナポリタン4つ、ガーリックトースト4つ、ラザニア4つ、グレープジュース4つお願いします」
「カルボナーラ4つ、ミートコロッケ4つ、ミートパイ4つ、メロンクリームソーダ4つお願いします」
「ミートソースパスタ4つ、クリームコロッケ4つ、カレーライス4つ、グレープフルーツジュース4つお願いします」
「つぎはこれにするのー」
「みぃー」『お寿司があるのー』
『??ちょっと待ってね。なんで洋食レストランに?』
『メグちゃん、ジョーちゃん、これはなれ寿司だよ。慣れてないと危険な伝説のお寿司だよ』
「みぃー」『危険にゃの?』
「でんせつのおすしなのー、たべるのー」
『味が危険みたいだよ。わたしも食べたことはないけど』
「みぃー」『お寿司はお寿司にゃの。アドバイスさんも止めにゃいの。大丈夫にゃの』
「ドンとまるごといっぽん、たのむのー」
『せめてこの小皿の2個の物にしておこうよ。おいしかったら、また頼めばいいからね』
「わかったのー。こざらにするのー』
なれ寿司が出てきたよ。なれ寿司のニオイを嗅いだメグちゃんとジョーちゃんの眉毛がへんにょりだ。
「みぃー」『ご飯から変なニオイがするの』
「すっぱいニオイなのー」
『なれ寿司だからね。2人が食べないならわたしがもらっちゃうよ」
「みぃー」『食べるの。にゃにごとも経験にゃの』
「しょしかんてつなのー』
『臨機応変でもいいからね』
メグちゃんは、なれ寿司を少しとったら固まって動かなくなった。
「みぃー」『美紀ちゃん、ご飯にゃのににゃっとうみたいにゃのー』
『納豆みたいに発酵してるから糸をひいたんだね』
「くさってるのー」
『これは発酵って言うんだよ』
「うーんなのー。うーんなのー」
「みぃー」『これは発酵。発酵にゃの。にゃにごとも経験にゃのなの。ジョーちゃん、せーので食べるの。にゃにごともチャレンジにゃの。チャレンジャーににゃるの』
「うーんなのー、うーんなのー」
「みぃー」『せーの』
なれ寿司を口に入れたメグちゃんが涙目になってる。ジョーちゃんは目がクワッと開いてまん丸お目々になってる。
『2人とも、大丈夫?』
「みぃー」『美紀ちゃん、私はもうダメにゃの。わたしはチャレンジャーににゃれにゃかったの』
『わかったよ。ここはわたしにまかせて先に行って』
「みぃー」『後はまかせたのー』
「もうダメなのー。ガクッなのー」
ジョーちゃんが、ぽてっとうつ伏せに倒れた。
『ジョーちゃん、ジョーちゃん、立て、立つんだ、ジョーちゃん』
わたしは昔のボクシングアニメの真似をしてみたよ。
店員さんに聞いたら、ここのなれ寿司は、なれ寿司の中でもきびしい本格派なれ寿司だそうな。店長の実家が作っているんだって。
注文したなれ寿司はスタッフ(わたし)がおいしくいただきました。
口直しの抹茶パフェを3人で食べて、クリスマスイルミネーションを満喫して寮に帰ったよ。
◇
ガラン♪ ガラン♪ 神社の大きな鈴を鳴らして新年のお参り。
『神様、わたしの身長を高くしてください。宿敵と会いませんように。よろしくお願いします』
養護院でのクリスマスイベント、お正月イベントも楽しく終わったそんな今日。
メグちゃん、ジョーちゃん、清美ちゃん、由美ちゃんといっしょに神社に初詣にきたよ。隣では清美ちゃん、由美ちゃん、それにメグちゃん、ジョーちゃんもお祈り中だ。
『メグちゃんやジョーちゃんは、何をお祈りしたの?』
「みぃー」『わたしは3人の健康をお祈りしたの』
『メグちゃん、偉いねー』
うぐっ。わたしは自分のことしか祈らなかったよ。
「わたしはおいしいものをたくさんたべたいっておねがいしたのー」
『いろいろなお店に行ってみようか、みんなでいっしょに』
「食べるのー。食べ放題なのー」
メグちゃんとジョーちゃんは振り袖姿で袖をフリフリ振って元気いっぱいだ。
「初詣、初めてきたけどあまり混んでないわね」
「それなー。テレビで見てたら混み混みやもんなー」
「元日じゃないからかも。混んでない方がいいよ」
「そうやなー。人混みはあんまりなー」
「最近人混みに行くとナンパが多いの」
「マジで? わたし、そういうのゼロだよ。うらやまー」
「ない方がいいわよ。本当に」
「しつこいのもおるしなー」
「たしかに。わたしも実際にナンパにあったら逃げると思うし」
「やったのー。だいきちなのー。がくぎょうなんとかなのー」
「みぃー」『わたしも大吉だったの。金運良し。機会を逃さずつかめにゃの。美紀ちゃんは?』
『凶……願いかなわず……』
「わたしは吉やったわー。困難あれど願いはかなうかー」
「わたしも吉。美紀ちゃんは……。美紀ちゃん、おみくじを木に結べば厄除けになるみたいなの」
「結びにいく」
木の枝が高くて結ぶのに苦労したけど、これで大丈夫なはず。神様、よろしくお願いします。
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