35 初飛行機
祝日を利用して、やってきました、大阪。
初めて魔道列車と魔道新幹線に乗ったよ。快適だったけど、つかれたー。メグちゃんとジョーちゃんは大喜びだったよ。梅田駅からの脱出も大変だったけど、なんとかクリア。
わたしの目の前にはクリスティール社日本法人のビルがそびえ立っていたよ。
1階の店舗に入ってみると、なんだかバタバタしていて、子供がくるところじゃないと追い出されたよ。わたし高校生なんだけどね。探索者免許証も見せたけどダメだった。くじけずに再チャレンジしたら、今度は店長だかの変なおじさんが出てきて、また追い出された。
ここはわたしには無理ということであきらめて帰ったよ。
メグちゃんとジョーちゃんには悪いけど、大阪観光は中止させてもらったよ。ごめんね。
◇
『メグちゃん、ジョーちゃん、急がないと乗れなくなっちゃうよ』
「ひこうきなのー」
「みぃー」『ここが空港なのー』
土曜日の朝5時起きで松高駅でバスに乗って、松高空港に着いたよ。ここからは初めての空の旅だ。
メグちゃんも ジョーちゃんも初飛行機が楽しみで飛行機のキグルミでグルグル飛びまわってるよ。わたしも楽しみ。
松高空港に着いてからは、どうしていいかよくわからくて、ウロチョロして周りの人を観察したよ。カウンターに座っている女性に怪訝な目で見られていた気もするけど。
『なんとなくわかったよ。あの機械で何かやって、あっちの保安検査って書いてるところに行くみたいだね』
「みぃー」『他の人もそうやってるの』
わたしもチェックインの機械を使ってみた。窓際の席を選べたよ。成功だね。
保安検査のところに向かう。前の人を真似てチケットを改札機に通して華麗に進んだよ。金属探知機のゲートを通ったらミスリルブレスレットが引っかかった。ブレスレットなんかは外してトレイにのせておけばいいんだね。初めて知ったよ。よく見たら説明が大きな字で書いてあったね。前の人の真似をしようとそっちばかり見ていたから目に入ってなかったよ。メグちゃんとジョーちゃんは金属探知機のゲートにくっついて遊んでいるよ。
2階に上がって出発ロビーを確認。 飛行機の搭乗口も確認できた。搭乗案内はまだないね。
『まだ時間があるね。何か見たい物はある?』
「みぃー」『あそこの売店を見たいの』
「わたちもー」
『欲しい物があったら何でも買っちゃうよ。養護院のお土産にしてもいいからね』
「このうどんにするのー」
『うどんかー。まあいいかな。養護院で作れば』
「みぃー」『わたちはこのお饅頭にゃの』
「わたちもーおまんじゅうなのー」
お土産を買って満足したわたしたちは、飛行機を見に行ったよ。
「メグちゃん、ジョーちゃん、飛行機だよ。大きいねー」
「ひこうきなのー。おおきいのー」
「みぃー」『あれが魔道エンジンにゃの』
『魔道エンジンも大きいねー』
◇
飛行機のキグルミ姿のメグちゃんとジョーちゃんは、飛行機の機内をフヨフヨ飛びまわって、いろいろ見ているよ。
飛行機の窓から下を見ると、雲が下に見えるね。不思議な感覚だ。たまに飛行機の翼のフラップが動いてるね。
窓から外を見ているうちに、空の旅は終わったよ。これでわたしも飛行機のベテランを名乗れるね。シートベルトの着用のしかたもよくわかったし。
◇
土曜日を利用してやってきました、横浜。
羽田空港に着いてからは、魔道列車に乗ろうとしてバス乗り場に行ったりといろいろあったけど、なんとかたどり着いたね。
わたしの目の前には、サザビール社日本総代理店のビルがそびえ立っているよ。
横浜ダンジョンの裏にあったから場所もすぐにわかった。
今日売るつもりなのは、レベル81〜87の魔石と魔核を300個ずつ。このサザビール社が買い取る魔石や魔核はレベル60以上の物だけだって。この売却が上手くいけば次はマジックバッグ大容量(時間停止)を売るつもり。
先週のクリスティール社のことがあったから、ちょっと挙動不審気味にサザビール社に入ったけど、受付ブース横のテーブルに、ていねいに案内された。テーブルにはお菓子が置いてあるね。コーヒーも出してくれたよ。これだけで100点だ。
説明をいろいろ聞いて、最低ランクの会員になることにしたよ。オークションにも参加できない売るだけの会員だけど、オークションなんて参加しないからね。
いろいろな書類を見たり、サインしたり、探索者免許証を見せたりして、会員登録費用20万円と年会費20万円を払えば会員登録完了。サザビールの会員カードをもらった。
サザビールグループのサザビール銀行の口座を作るように勧められたから、口座を作っておいたよ。キャッシュカードは後日郵送で届くそうな。
『良かったー。ほっとしたよ。サザビール社はいけるみたい。店の人もみんなていねいだったねー』
「つぎはマジックバッグをうるのー」
『大丈夫そうだからね。守秘義務契約もちゃんと守ってくれそうな気がするし』
「みぃー」『マジックバッグを大量生産ちて売るの。大儲けにゃの』
「おおもうけにゃのー」
『夕方の飛行機まで、たくさん時間があるから観光やご飯を食べに行こうか? 先週の大阪の穴埋めだよ』
「みぃー」『美紀ちゃん、アドバイスさんのアドバイスにゃの。横浜ダンジョンでモノリスに登録ちたらいいそうにゃの。そうちたらウチから直接、横浜ダンジョンに転移できるの』
『横浜ダンジョンはたぶん人がいっぱいだよ。モノリスに登録するところを見られちゃうよ』
「みぃー」『にんちき阻害魔法と隠密魔法を重ねがけすれば見られないち、魔道ちきカメラにもうつらにゃいそうにゃの。今はみんな魔道ちきカメラを使ってるの』
『認識阻害魔法と隠密魔法を重ねがけするんだー。見られないんだったらいいね。ノゾキ魔孝弘に知られたらまずい話だけど』
「みぃー」『飛行機は楽ちかったけど、空港に行くのも飛行機に乗るのも時間がかかるの。サザビール社にくるたびに乗るのは大変にゃの。朝の早起きはねむいのー』
「みきちゃん、よこはまダンジョンいくのー」
◇
『あの灰色の建物が横浜ダンジョンだよ』
「モノリスみえないのー」
「みぃー」『ダンジョン前の広場は観光客の人でいっぱいにゃのー』
『あそこで観光ガイドの人が横浜ダンジョンの説明をしてるね』
「あちらの灰色の建物が横浜ダンジョンです。国内4位の年間入場数を誇り、国内で2番目に古いダンジョンです。モノリスは建物で囲っています」
「10年前までは魔物氾濫時に、あのプレス装置が動いて300トンの魔鉄塊を落としていました。あちらに展示しています重戦車は出てきた魔物に体当たりしていました」
「残念ながら、プレス装置も重戦車も、使われている魔鉄の魔素含有量が少ないため、レベル30までの魔物の氾濫にしか対応できません」
「現在の大規模氾濫は全てレベル50以上の魔物になっており、中規模氾濫でもレベル30以上の魔物が7割を占める状態になっています。そのため対応できないプレス装置、重戦車は10年前に廃止となりました。プレス装置は歴史的な建造物ですが、来年に撤去が決まりました。もうすぐ見納めになりますから、この機会に存分にご覧ください」
『あの大きなプレス機、これで見納めなんだー。残念だね』
「ざんねんなのー?」
『ちょっとだけね』
「みきちゃん、ビデオみたいにろくができるのー」
『動画がうつせるの? すごいねー』
「みぃー」『スマホが作りたくて、ジョーちゃんはお勉強ちてるの。動画の撮影もそのひとつにゃの』
『スマホって前にメグちゃんが言ってたやつだね。ジョーちゃん、お勉強できて偉いねーヨイコヨイコ』
「えへへなのー」
『ジョーちゃんに撮影をお願いするね。よろしくね』
「じょうほういた、いくのー」
ジョーちゃんがかわいく右手をふると情報板が1枚出てきて、プレス装置に飛んでいったよ。
「テレビにもうつせるのー」
『すごいね、ジョーちゃん。どうやっているか全然わからないよ。天才だよ』
「えへへなのー」
横浜ダンジョンのモノリスに登録した後は、レンガ倉庫に行ったりして、飛行機で帰ってきたよ。
いい旅だったね。
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