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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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22/90

22 カルチャーショック

 初めて寮の晩ご飯をおいしくいただいているよ。寮の晩ご飯のメニューは、チキンソテー+キャベツと大根とコンニャクの煮物、それにご飯とお味噌汁だ。メグちゃんはわたしの隣でラノベ中。ジョーちゃんは食堂を探検中。


『ご飯とお味噌汁が、おかわりし放題だって。幸せなシステムだね。養護院にも導入したいくらいだよ』

「みぃー」『お腹いっぱい食べられるの』

『やろうと思ったらできる気がする。マジックバッグを置いたし。食費をわたしが追加で』

「みぃー」『晩ご飯当番が大変にゃの』

『それもあるね。ご飯とお味噌汁を土日にまとめて作ってマジックバッグに入れておけばいけるかな。中学生女子組に相談だね』


「こんばんは。こちらの席あいてますの?」

「はい、どうぞー」


 メグちゃんと話していると、晩ご飯のトレイを持った女の子が声をかけてきた。パッツン前髪に肩までの艷やかな黒髪。たぬきっぽいタレ目気味のドングリまなこ。清美ちゃんにも負けないくらいの美人さんだ。服は周りの子と同じ体操服だね。


「わたくしは三条撫子ですわ。あなたも1年?」

「1年の田中美紀です。今日寮に入りました」

「わたくしも今日からですわ。愛媛からきたばかりで、勝手がわからないのですわ」


「みぃー」『お嬢様っぽいの。ドリル髪にゃら完璧にゃの』

『いいところのお嬢様かなー。現実でドリル髪は大変だと思うよ』


「そうなんだ。わたしは高校の近所の養護院からきたから、近くのスーパーくらいならわかるよ」

「そのスーパーの場所を教えてもらえたら助かるのですわ」

「三条さんはたぶんいいところのお嬢様だよね。お嬢様ってデパートなんかに行くイメージがあるけど」

「わたくしの家は普通のアパートですわ。8年ほど前に没落したの。弟もいるからお金はキチキチで大変。だから探索者高校にきたのですわ」

「そっかー。わたしもダンジョンに入るまでは、お金がなかったからわかるよ」

「田中さんはもうダンジョンで稼いでいますの?すごいですわ。わたくしはスキルが加工魔法だから、まともに魔物を倒せないのですわ。だから親戚にパワーレベリングしてもらって、やっとここに入れましたの」

「加工魔法って生産系の大当たりスキルじゃん。企業からひっぱりダコだよ」

「わたくし、本当は良戦闘魔法スキルをもらって軍学校に行きたかったのですわ。家の再興が夢だったのですわ」

「そっかー。わたしも軍学校に行きたかったけど、刻印魔法でダメだったんだ」

「刻印魔法なの。ダンジョンは誰かといっしょ行ってますの?」

「ソロだよ」


 三条さんが下を向いて、何か言いながら考え込み始めたよ(こんな小さな子がひとりで……。危ないですわ……わたくしが……いっしょに……でも、わたくしは弱い……)


『メグちゃんとジョーちゃんもいるけど、見えないからね』

「みぃー」『アバターで出たら見えるの』

『見えるんだー。今度、養護院の子たちに紹介しようか?』

「みぃー」『アドバイスさんに止められてるの。もっと強くなるまでは止めた方がいいそうにゃの』

『強くかー。メグちゃんやジョーちゃんが、もっと大きくなってからじゃないと難しいかな』

「みぃー」『わたちたちの強さに身体の大きさは関係にゃいの。美紀ちゃんのレベルが上がれば、いっしょに強くにゃるそうにゃの』

『わたしのレベルで? だったらレベル上げがんばった方がいいね』

「みぃー」『別に今まで通りでいいの。今も美紀ちゃんといっちょで楽しいの』


 わたしはレベル上げをがんばることを決意したよ。三条さんがガバッと顔を上げたね。もういいのかな。


「決めましたわ。わたくし、田中さんといっしょにダンジョンに行きますわ。いつでも言うのですわ。魔物を倒すのを手伝いますわ」

「……えーと」


「みぃー」『アドバイスさん情報によると、三条さんはいい人だそうにゃの』

『ありがとね、アドバイスさんにもお礼を言っておいて』


「わたくしがいっしょに行きたいのですわ」

「三条さん、じゃあ、いっしょに行ける時はお願いするね」

「まかせてほしいのですわ。わたくしは撫子でお願いしますわ」

「撫子さん、わたしも美紀でいいよ。よろしくね」

「さん、もいらないですわ」

「じゃあ、撫子ちゃんで。わたしもさんはいらないよ」

「美紀ちゃん、よろしくですわ」


 撫子ちゃんと次の日にスーパーに買い物に行ったりしたよ。わたしオススメの100円ショップにもね。


 ◇


 朝10時、入学式に撫子ちゃんといっしょに行こうと、寮の1階で待ち合わせ中だ。

 由美ちゃんが教えてくれた高校デビューの秘訣をもう一度確認。[身だしなみ][笑顔][ハキハキした話し方][清潔感][相手の話をしっかり聞く][話している時は相手を見る]

 会話に困った時の「さしすせそ」も教えてくれたよ。雑誌に載ってて、中学生女子ならみんな知ってるそうな。わたし知らなかったよ。[さすがですね][知らなかったです][すごいですね][センスありますね][そうなんですか?]


「みぃー」『美紀ちゃん、また見られてるの』

『1ヶ月もすれば慣れて見られなくなるから放置だよ。中学で経験したからね』


 ◇


『スカートみじか! パンツ見えそう! 顔クロ! 金髪! 緑髪! 赤髪! 青髪! 紫髪! 靴下ダボダボ!』


 入学式で、わたしは女子生徒の一部を見て、カルチャーショックを受けていたよ。撫子ちゃんの解説によると、軍閥貴族や軍閥貴族関係者の子女の最新トレンドファッションだそうな。


『ズボン落ちそう! パンツ見えてる! 顔クロ! 金髪! 緑髪! 赤髪! 青髪! 紫髪!』


 わたしは男子生徒の一部を見て、カルチャーショックを受けていたよ。隣の撫子ちゃんによると、軍閥貴族や軍閥貴族関係者の子弟の最新トレンドファッションだそうな。ファッション雑誌にも載っているんだとか。


「最新トレンドファッション……わたしにできるのは茶髪くらいだよ」

「あれは軍閥貴族や関係者の子供やそれに追従するバカがやっているだけですわ。美紀ちゃんはそのままでいいのですわ」

「男子と女子の数は半々だね。探索者高校だから男子の方が多いと思っていたよ」

「男子150人、女子150人でちょうど半々ですわ。式が始まりますから、理由はあとでなのですわ」


『メグちゃん、さっきから笑いっぱなし。ジョーちゃんが真似してるよ。どうしたの?』

「みぃー」『あの格好の美紀ちゃんを想像したらにゃの……ぷ~くすくす』

「ぷ~くすくす、ぷ~くすくすなのー。みきちゃーきるのー? わたしもきるー」

『……ジョーちゃんなら似合うかも? メグちゃんも似合いそう?』

「みぃー」『わたち、あんにゃの着にゃいの。顔も黒くしにゃいの』

『メグちゃんとジョーちゃんは、いつもキレイな服を着ているからわからなかったけど、着替えってどうしてるの? お風呂から出てもすぐにいつもの服を着てるし』

「みぃー」『わたちたちの服は霊素でできているの。だから汚れても汚れを取りたいと思っただけできれいににゃるハイテク服にゃの』

『それは便利だねー』

「みぃー」『この前、情報板領域のにゃかにゃら、新しいデザインの服が作れることがわかったの。今はジョーちゃんと2人で練習中にゃの』

「れんちゅうちてりゅのー。ふくつくってるのー」

『2人で練習してるんだ、偉いね。もしかして超合金ヴァルキュリアみたいに、外から服を取り込めば2人の服が作れるかな?』

「みぃー」『作れるの』

「つくれるのー」

『あとでメグちゃんとジョーちゃんの服を買いに行こうよ。わたし、自分の服を一度も買ったことがないから気づかなかったよ。ごめんね』

「みぃー」『いいの。お店に売っている服はわたちたちに合わないから大改造がいるの。それより美紀ちゃんが服を買った方がいいの。高校生ににゃったら体操服3着とお古のワンピース1着だと足りないそうにゃの。大阪のクリスティール社に行く時もそのままだったら、不動産屋さんの時みたいににゃるそうにゃの。ちた着も靴ちたも靴も全部買うの』

『またアドバイスさん?』

「みぃー」『そうにゃの』

『そっかー。だったらメグちゃんの服もジョーちゃんの服もわたしの服も、みんなでいっぱい買おうよ。またお買い物ツアーに行こう』

「おかいものつあーいくのー」

「みぃー」『お買い物ツアー行きたいのー』

『そう言えばアドバイスさんって女の人なの? 男の人なの?』

「みぃー」『たくさんいるから聞いてみるの』

『たくさんいるんだ……』

「みぃー」『概念的には女の人が多いそうにゃの。あとはナイショにゃの』

『……概念的……ありがとね、メグちゃん』


 アドバイスさんの謎がまた深まったよ。

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