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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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20/90

20 いいもの

『メグちゃん、ジョーちゃん、おつかれー。なんとか倒せたみたい。2人がいなかったら無理だったよ』

「おてつだい、がんばったー」

「みぃー」『倒せて良かったの。途中で無理かと思ったの』

「メグちゃんもジョーちゃんも、お手伝い、本当にありがとう」


 わたしはうれしくなって2人を手のひらに乗せて、そっと頬ずりしてみたよ。

 後片づけがまだ残っている。わたしはアイテムボックスに収納した魔物を確認したら、魔物が入ってなかったよ。どういうことさ? ケルピーなんかのマネキンといっしょに消えた魔物の魔石や魔核も落ちてなかったよ。部屋の奥のモノリスの前には、いつの間にか宝箱が現れていた。でも宝箱歴3個目のわたしたちはあわてないよ。ひゃっほー。ジョーちゃんは宝箱に飛んでいってくっついていたけどね。


『『何が出るかな♪何が出るかな♪何が出るかな♪』』「みゃみぃーみゃ♪みゃみぃーみゃ♪みゃみぃーみゃ♪」「なにがでるかなー♪なにがでるかなー♪なにがでるかなー♪」


 みんなで何が出るかなソングを歌って、ジョーちゃんが宝箱をあけてみた。大きな宝箱の中には、テニスボールサイズの真紅のクリスタルが入っていたよ。うどんの麺を集めたようなウネウネした形をしている。


「みぃー」『すごーく、すごーくいい物だそうにゃの』

『いい物? なになに?』

「みぃー」『レギオンの転移秘宝にゃの。ダンジョンの外から、モノリスに登録ちたダンジョンの階層に直接転移できるの』

『マジで! これを使えば宿敵たちの巣窟を通らなくてもダンジョンに入れるんだ』

「みぃー」『それだけじゃにゃいの。まだあるの。ダンジョンの外で1地点の位置座標を記録しておくの。ダンジョンのにゃかから、その場所に転移できるの。すごいの』

「きれいにゃのー。てんい、しゅごいのー」

『ダンジョンからも外に直接出られるんだー。完璧じゃないか。これで宿敵たちの巣窟の前を全力疾走しなくて済むよ』

「みぃー」『秘宝にゃの。すごいの』

「ぴかぴかうねうねなのー。きらきらきれいなのー。たからものにちたいのー。みきちゃー、ちょうだいなのー」

『ジョーちゃん、転移秘宝が欲しいんだー。ちょっと待っててね。メグちゃん、転移秘宝はジョーちゃんに渡しておいて、使う時に借りるようにしてもいいかな?』

「みぃー」『わたちはいいの。ジョーちゃんのたからものにするの』

『ありがとね。転移秘宝もジョーちゃんとメグちゃんがいなかったらゲットできなかったからね。ジョーちゃん、転移秘宝をどうぞ。でも、ダンジョンの時に使いたいから、その時は借してね』

「ありがとうなのー。わかったのー。みきちゃーにかすのー」

『良かったねー。ジョーちゃんの宝物が増えたねー。ジョーちゃんに譲ってくれたえらいメグちゃんには、これをどうぞ』


 わたしはマネキンの跡に残っていた魔石と魔核、紅い宝石をアイテムボックスから出してみた。紅い宝石はアイテムボックスのリストではレギオン結晶になっていたよ。なんだろうね、これ?


『これはマネキンの魔石と魔核、それにレギオン結晶だよ。あのマネキンはレギオンという名前だったのかも』

「みぃー」『魔石も魔核も大きくてまん丸でキレイにゃの。こっちの紅い宝石もきれいにゃの。きらきらにゃの。美紀ちゃん、いいの?』

『いいよー。メグちゃんもお手伝いがんばってくれたからねー。2人がいないとわたし死んでたし』

「みぃー」『いいの。ありがとうにゃのー。わたちも宝物にするのー』

「えいっなのー。みきちゃー、できたのー。かすのー」


 ジョーちゃんの前にはウネウネしたレギオンの転移秘宝が2個浮いていたよ。増えてるね。


『もう借してくれるんだーありがとー。ジョーちゃんが増やしてくれたの?』

「だんじょんなのーかすのー。だからふやちたのー。れいそをいっぱいつかったのー。たいへんだったのー」

「みぃー」『霊素で複製した物もちゃんと使えるそうにゃの。本物といっちょなの』

『すごいねー。ジョーちゃん、ヨイコヨイコ』


 誇らしげな顔をしているジョーちゃんをそっと撫でながら、わたしは名作マンガ「カラスの仮面」を思い出していたよ。まず白目にしてと。


『ジョーちゃん、おそろしい子』

「おそろしいこなのー?」

「みぃー」『美紀ちゃん、変な顔にゃのー。くすくすなのー』

『ジョーちゃん、ごめん、違うんだよ。これはジョーちゃんがとーってもすごい、えらいという意味だよ。マンガでカラスの仮面というのがあって、それの真似をしたんだよ。養護院の本棚にあるから、帰ったら見せてあげるからね』

「みるのー。わたちもするのー。こんなかおなのー」


 ジョーちゃんの変顔を見てみんなで笑ってしまったよ。


「みぃー」『アドバイスさん情報にゃの。あのマネキンはレギオンというの。レベル150の魔物にゃの』

「レベルが150の魔物かー。倒すのが大変だったはずだよ。魔力たっぷりライトアローが効かなかったもんね。でもレベル150の割には戦闘がおかしかったよ。ライトアローを避けなかったり、途中で魔物を出さなくなったり、動きが途中で止まったりもしてたし。おまけにこっちへの攻撃も魔物まかせでレギオンは何もしなかったし』

「みぃー」『レギオンは作られてから初めての戦闘だったそうにゃの。経験がにゃくて、ただ与えられた能力を使っていただけだそうにゃの。レギオンは戦闘記憶を蓄積するタイプのボスだから、次に戦う時はもっと強くにゃってるの』

『……作られて……初めて……蓄積する……次に戦う……』


 なんでそんなことがわかるのさ? アドバイスさん。レギオンのストーカーもしてたの?


『もうレギオンとは戦わないから、強くなってくれていいよ。次からここのゲートキーパー部屋には入らないから』

「みぃー」『わたちももう戦いたくにゃいの。ちっ敗ちたら美紀ちゃんは、ちんでたの。見ていてずーっと心配だったの。もっと楽にゃ戦闘がいいの』

『楽な戦闘かー。わたしの攻撃がレギオンに障壁みたいなので、ずっと防がれていたもんね。魔力たっぷりライトアローは魔力を増やしても攻撃力が上がらなかったし』

「みぃー」『ライトアローは初級魔法だから、これが限界にゃの。中級以上の攻撃魔法の魔法陣はルールで教えられにゃいそうにゃの。どこかで見つけるか、自分で作るの」


 やっぱりアドバイスさん知ってるんだね。ルールって誰が決めてるの? 何のルール? そんな疑問をわたしに残しながら、31階層に移動したよ。もちろん空き宝箱はジョーちゃんが確保済み。今度は情報板領域じゃなくアイテムボックスに入れていたよ。新しいおウチに飾るんだそうな。


 ◇


 見上げると青い空にぷかぷかと浮かぶ白い雲そして黒い太陽。地上には緑の草原が広がっている。気持ちのいい風も吹いているよ。のどかだね。何より31階層はゾンビ階層の悪臭がないから、鼻ティッシュを装備しなくていいのがすばらしいよ。わたしは深呼吸してみた。草原の香りだ。

  草原にはウサギもいるよ。たまに黒いウサギが駆けよってきて、わたしに飛びついてくるんだよねー。やっぱり角攻撃だ。レベル41の魔物シャドウアルミラージだって。わたしのレベルと同じだね。わたしもさっきレベル150のレギオンを倒したから一気にレベルが上がったんだよ。


 〈黒ウサギを攻撃〉〈魔石と魔核を収納〉


『魔物が少ないねー』

「のんびりなのー」

「みぃー」『これくらいでいいの。今までの階層がおかしかったの』

『本当だよねー。ジョーちゃんなんか楽しそうに草をむしって遊んでるよ』

「みぃー」『階層も広くにゃってるの。今までの100倍の広さにゃの。ひろびろにゃの』

『めちゃくちゃ広くなったね。次のモノリスに行くまで大変かも』

「みぃー」『あっちの奥の方の森のにゃかにゃの。6キロくらいにゃの』

『メグちゃん、ありがとう。レギオンで疲れたから次回にするね』

「みぃー」『わたちも疲れたの。今日は早く帰って、のんびりラノベを読むの』


  草原の草の高さは大体芝生からくるぶしくらい。ところどころに膝までの高さや首くらいまでの高さの草むらが点在していて視界をさえぎっているね。今度ここにピクニックにくるのもいいかも。



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